噂のド変態ラウドロックバンド「Ailiph Doepa(アイリフドーパ)」は良い変態だった。新譜含めた直撃インタビュー

SPICE

2020/1/9 21:14

ド変態エンタメメタル、ラウドロックシーンの危険分子、など彼らを形容する言葉はどうにも気になるものやパンチの強いものが多い。それもそのはず、とにかくその楽曲を一聴すれば納得するほど、狂気や変態性に溢れている。だがその中にも見え隠れする音楽性、重心の低い演奏の訳を知りたくなった。2018年にSiMのフェスである「DEAD POP FESTiVAL」のオープニングアクトとして抜擢され、そこにSPICEのクイックレポートとしてレポートを担当したところから出会い、ズッポリ気になってしまった彼らに、いよいよ直撃した。


――まずは、SPICE初登場ということもありますので、それぞれお名前をいただけますか。

アイガーゴイル:アイリフドーパのボーカル、アイガーゴイルです。よろしくお願いしやす!

ドナルディ・ケチャップ​:ドラムのケチャップです。よろしくお願いします!

レッド・ジブラ:ベースのレッド・ジブラです。お願いします!

パプリカ・パプリコ:ギター、まふりかまふりこです。

アイガーゴイル:……ん?

――なんか、僕が知ってる名前と違ったんですけど(笑)。

パプリコ:パプリカ・パプリコです!

アイガーゴイル:恥ずかしいのかな?

パプリコ:できれば言いたくない(笑)。

アイガーゴイル:恥ずかしい名前だもんね、パプリカ・パプリコって。

パプリコ:嫌だよね。20年後とかどうしよう。

――変えたいですか?

アイガーゴイル:まあ、変えられないよね。俺がバーミヤンで2時間考えて付けた名前なんですよ。自分で付けられないっていうから。

――あとのお2人の名前は?

ケチャップ:加入した日の夜にメールで送られてきました。本当はドナルドDケチャップって長いんですけど。

アイガーゴイル:それはもう長いから止めて、ドナルディ・ケチャップになって。

ケチャップ:最近はもう、“ケチャ”としか言ってない。

――たけし軍団スタイルなんですね。

パプリコ:そのとおりです!

他のバンドを参考にするというよりも、自分の可能性を掘り下げて曲をつくるタイプ

Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/アイガーゴイル(Vocal)
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/アイガーゴイル(Vocal)

――さて、ようやく皆さんと対面できました。初めてライブを観たのは、2018年の<DEAD POP FESTiVAL>でした。あの日のライブのインパクトがすさまじくて、これはもう、あちこちのレーベルが放っておかないだろうと思ってたんですが。

ジブラ:あれ以降、実は特には……(笑)。

アイガーゴイル:面白がってはくれるんですよ。でもね、やりたがらないんですよね(笑)。

ケチャップ:「売り方がわからない」とか。

アイガーゴイル:「面白いとは思うよ? だから、まあ……自由にやったらいいんじゃない?オトナが変に手つけちゃうとつまらなくなるから」って遠回しに、ね(笑)。

――体よく断られたと(笑)。まあ、かなり特殊な音楽性だし、ライブも普通じゃないですからね。皆さん、音大出身だそうですが、それでなんでこの音楽になるんですか?

アイガーゴイル:俺は最初、洗足学園音楽大学のギター科にいて、新入生歓迎会で出会った前のギターと前のドラムとiPodを交換したら、入ってる音楽がコーンとかシステム(・オブ・ア・ダウン)で、「めっちゃそっくりだね」ってところから、「じゃあ、リンプ(・ビズキット)のコピバンから始めてみようか」みたいな感じでバンドを組んだんです。ジブラは入学式のときに俺がコーンのTシャツ着てるのを見て話しかけてきて、最初は「気持ち悪いなあ」と思ったんですけど、バンドを組むときに存在を思い出して誘ったっていう感じです。

――そこからコーンみたいなニューメタルを追わずにこれだけオリジナリティのあるスタイルを確立できたのはすごいですね。

アイガーゴイル:いや! 俺ら、めちゃめちゃ紆余曲折ありましたよ。最初はラウドをやりたくて、日本ではホルモンがそのへんのシーンを開拓してるのを見て、「お! 今、日本でもこの音楽性イケる!」ってなって。でも、最初は全然面白くない曲ばかりつくってたんですよ。ポップをメタルでサンドイッチしたようなヤツとか。当時はそれがイケてると思ってたんですけど。それで、最初は前のギターと俺が半々で曲を書いてたんですけど、だんだん俺のカオティックな部分が目立ってきて、前のギターが辞めてからは完全に俺が作曲するようになりました。

――なるほど。

アイガーゴイル:俺は他のバンドを参考にするというよりも、自分の可能性を掘り下げて曲をつくるタイプなんですけど、今の自分がやりたいことをその場その場でピックして、バババッとごった煮にしてつくって、気付いたら「Machu Picchu」(アイリフドーパの代表曲)みたいな、自分のなかで新しい境地にたどり着いて。自分でも先が見えないから曲をつくってて面白いですね。

――じゃあ、自分でつくったデモを他のメンバーに渡すと。

ケチャップ:全パート打ち込んだものを持ってきてくれます。

――とんでもないデモがやってくるわけですよね。

ケチャップ:人間技じゃないものが(笑)。

――どうするんですか?

ジブラ:いっぱい練習します(笑)。

――最初はやっぱり、「これは弾けない!」って感じですか。

ジブラ:拍子とかテンポチェンジがすごいんで、「これ、どうなってんのかなー?」っていうのはありますね。でも最近はそれが普通になってるんで、「あ、今回はこういうアプローチなんだ」って思うぐらいです。いつも新しい感覚のものを持ってきてくれるので楽しいですね。「またこれか」とはならない。

アイガーゴイル:俺の曲はよく悪くも風呂敷を広げ過ぎなんですよね。いろいろ詰め込みすぎて疲れるから、聴く人をかなり選ぶと思う。「俺はメタルだと思って聴いたのに、なんで急にJ-POPみたいなことやってんの。腹立つ」って思われたり。

――「なんでいきなりトロピカルなノリになってんだよ」みたいな。

アイガーゴイル:そうそう。そういう人には向いてない。俺、いろんなインタビューで言ってるんですけど、まず、アイリフドーパというコアの部分があって、その周りにメタルとか邦ロック、ハードコア……っていういろんなゲートを用意して、そのなかのどれかひとつでも好きになってくれたらいいんですよ。「この曲は好きだけど、他は嫌い」でもいい。

――自分の可能性を掘り下げるとは言いつつ、そういう戦略もあるんですね。

アイガーゴイル:戦略っていうほどでもないけど、結果そうなったっていうか。自分で風呂敷を広げ過ぎちゃったんで、お客さんにどう好きになってもらえるか考えたときに、曲によって盛り上がる人が違ったら面白いなって。

――じゃあ、アルバムもトータルで好きになってもらおうという気持ちはないんですか。

アイガーゴイル:トータルで好きになってもらえたら一番いいですけど、最低でもどれか1曲でも引っかかってもらえたら。捨て曲はつくりたくないし全部主力だけど、そのどれかに食いついてもらえたらいいかなっていう気持ちです。

クリックなのに食ってたりしますよ。コンコンコンココンコンって(笑)

Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/レッド・ジブラ(Bass)
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/レッド・ジブラ(Bass)

――話は戻りますけど、アイガーゴイルさんがつくる曲を演奏するほうは大変ですね。レコーディングやライブを重ねていくうちに演奏が異常に上手くなるんじゃないですか。

ジブラ:なります。とってもなります。

ケチャップ:でも、ちょっと特殊かもしれない。ドーパ以外では使えないテクニックがめちゃめちゃ増えていくっていう。

――例えば?

ケチャップ:2種類のクリックを同時に鳴らしながらめっちゃテンポチェンジする、とか。

――んん?

ジブラ:ギターはこっちのクリックを聴いて、ドラムはこっちのクリックを聴いて、って。

――えっ!?

ケチャップ:だから、クリックがキンカンカランコロン、キンカンカランコロンって(笑)。

――やべえ(笑)。

アイガーゴイル:クリックなのに食ってたりしますよ。コンコンコンココンコンって(笑)。

ジブラ:そうやってテンポチェンジも含めてクリックを覚えることが前提なんですよ。それは特殊技能ですね。

パプリカ:本当にそうですね。ギターが上手くなってる実感はないですけど、ドーパの曲は上手くなってます。「こんなのぜってー弾けねえだろ」って思うようなものでもなぜか弾けるっていうのはあります。

アイガーゴイル:速弾きとかソロがすごいとかそういうことじゃなくて、単純に無理してるんです(笑)。

パプリカ:楽器を知らない人がつくるフレーズはマジ怖いッス(笑)。

アイガーゴイル:俺、ギターで曲つくってないんで。

――でも、最初はギター科だったのでは?

ケチャップ:彼はギター専攻で入ってますけど、1年でギターは止めて、ずっとボーカルに専念してますから。

アイガーゴイル:ギターは下手くそなのでもう弾いてないです。それにギターでつくるといかにも“ギターでつくった曲”になるんで。

――じゃあ、どうやって曲づくりを?

アイガーゴイル:バイクに乗ってるときに浮かんだ10秒ぐらいのフレーズを信号で止まっるときにフフーンって録音して、それを家に帰って風呂でシャワーを浴びながらつないでいって、「あ、ここはAメロ、ここはBメロ」みたいに頭のなかで1曲つくって、それをまた録音して、自分のなかで噛み砕いて、「よし、打ち込める」っていう状態になったら曲を打ち込んで、それをメンバーに渡すっていう流れです。

――ほうほう。

アイガーゴイル:でも、その段階では楽器の音色までは鳴ってなくて、ボーカルとリズムだけなんですよ。ギターとかベースは考えるのが面倒くさいから、すごくこだわってるところ以外は雑な感じです。だからリズムとかテンポに無理が出ます。打ち込んでるうちに、「これは頭のなかで鳴ってるテンポ感と違うな。Aメロはこれでいいけど、Bメロはもっと速くしたい」ってことで無理なテンポになっちゃって。

――じゃあ、楽器と向き合って曲を完成させることはないんですね。

アイガーゴイル:ないですね。だから、頭のなかで鳴ってるときが一番カッコいいんですよ。でも、曲を打ち込んでみて「なんか違うな……」ってなっても、レコーディングして曲が出来上がるとそのへんの違和感がなくなってきて、改めて「ああ、やっぱいいな」って。だから面白い曲ができるんですよ。音楽的じゃない。
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/アイガーゴイル(Vocal)
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/アイガーゴイル(Vocal)

――曲作りはどこで完成になるんですか? 例えば、「Machu Picchu」は最後の<チュピチュピチュピチュ>以降のパートがなくても曲としては成立しますよね。

アイガーゴイル:俺も最初、いらないなと思ったんですよ。ライブでもあの部分はやるつもりなかったんですけど、MVを公開したらあの部分が一番人気だったので、結果オーライだったっていう。

ジブラ:でも、こっちに(デモを)降ろしてくるときにあそこのパートはあったし、彼のなかではあそこまで含めてひとつの曲になってるから、最後まで一貫した世界観で聴けるんだと思います。

アイガーゴイル:最後の<この放送はMachu Picchuの提供でお送りしました>っていうセリフも最初から入れてます。

――えっ!録りの段階で付け加えたわけじゃないんですね。じゃあ、他のメンバーも最初からそういう曲なんだという認識で。

ジブラ:そうです。

ケチャップ:スタジオでデモを聴いてて、「あ、これで終わりだな……あ、まだあった!」って(笑)。

ジブラ:でも、「Machu Picchu」ってサビっていうサビはほとんどないですよね。それがすげえなと思って。

アイガーゴイル:サビはあそこだよ(と歌い出す)。

ジブラ:……っていつも言うんですけど、4小節しかないんですよ(笑)。

一同:(笑)

ジブラ:だから、何メロっていう数え方をするとGメロぐらいまでいっちゃうんで、そういう解釈をなくして、頭から最後までフルで覚えるというスタイルでやってます。

――じゃあ、レコーディングではどうするんですか?

ジブラ:クリックは最初から最後まで完成してるので、「テンポチェンジのここのパートを録り直します」みたいな感じでやってます。

――テンポチェンジを基準にして録ってるんですね。

アイガーゴイル:レコーディングは楽しくないです。始めた頃は楽しくて仕方なかったけど、今は苦行でしかない(笑)。

――アイガーゴイルさんにとっては脳内で鳴ってる音が正解だから、レコーディングはある意味、劣化した状態で録ることになってしまうんですよね。

アイガーゴイル:そうですね。俺の頭のなかでは半音と半音の間の音が鳴ってたりするんですよ。だから、打ち込んでるときに「レなのか、ミなのか、レ#なのか、どっちだ?」って。だから、誰かもっとやべえピアノ開発してくんねえかなって。

ジブラ:曲のキーもないに等しいんですよ。基本、ドロップCなんですけど、いきなりBの音が出てきたり、いきなりDになったりお構いなし。しかも、ゼロフレットの1/4チョーキングとか出てくるんですよ(笑)。でも、そんなことはできないから「これで妥協するね」っていうところがあったり、それは申し訳ないなと思ってます。

――アイガーゴイルさんからすると、音の表現が制限されてるわけですね。

アイガーゴイル:制限されてますね。あとは、音がぶつかるだとかぶつからないだとか、うざってえなって。

――そういう音楽理論を音大で学んでるはずなのに。

アイガーゴイル:いやいや、俺はそういうのを避けて通ってきたので。

全然狂ってないし、普通です。

Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/ドナルディ・ケチャップ(Drums)
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/ドナルディ・ケチャップ(Drums)

――音大とは・・・(笑)。それにしても、「Machu Picchu」のMVはアイリフドーパというバンドの性格をよく表していますよね。

ケチャップ:名刺代わりになるMVっていうのは考えてましたね。

――映像にこだわるバンドですよね。MVの本数も多いし。

アイガーゴイル:全曲にMVがあってもいいかなと思ってたことがあって。

――でも、あれだけつくるのは大変なんじゃ。

アイガーゴイル:最初の頃は全く金をかけてなかったんですけど、「Machu Picchu」でお金をかけてからはお金をかけてラクすることを知ってしまって。低予算でつくってたときは「自分でつくったほうがええわ」って思ってたんですけど。

――クラウドファンディングで「Lemon」(2018年10月リリースのアルバム『OXYGEN』の収録曲)のMVも制作しましたよね。

アイガーゴイル:あのMVは絵コンテを俺が書いて、「こうやってつくってくれ」って映像クリエイターに言ったら、最初はやれるってことだったんですが、だんだん実現が難しいということになったりして大変でした。

――頭の中に完成図が出来上がってる人からの発注ほど大変なものはないですからね。

アイガーゴイル:「Machu Picchu」は半投げで、半分は自由にやってもらったんですけど、「Lemon」は俺が全指定して。

――今作「Cocoon」収録の「Galactic Kamadouma」のMVは?

アイガーゴイル:あれは全投げです。最近、“観るドラッグMV”みたいなものが流行ってるじゃないですか。そんな中Paleduskの「NO!」っていうMVを観たらめちゃめちゃカッコよくて、誰がつくってるのかなと思ったら、Vision of Fatimaっていうバンドのギターの人だったんです。それでその人の会社に連絡して、「僕、なんも言わないんで、そのままの世界観でお願いします!」って。なので、これは初めて監督の世界観に委ねた作品ですね。

ジブラ:だから、あの女の子は僕らの意向ではないんですよ。あの映像を観ると僕らが狂ってると思われがちなんですけど、あれは全部監督が作ったものなんで、そんなことはないって言いたいですね。全然狂ってないし、普通です。

――そのメイクで言われても説得力ゼロですよ。曲に関してはどうですか?

アイガーゴイル:この曲はめっちゃ好きなんですよ。売れ線だと思ってつくったんですけど、「どこの層に売りてえんだ」みたいなコメントがあって、自分と世間の感覚はズレているんだなって。

ジブラ:最初聴いたとき、「めっちゃキャッチーだ!」って思いました。

アイガーゴイル:「こんな聴きやすいドーパの曲ないわ!」って。サビがちゃんと2回くるし、構成も難しくない。

――『Cocoon』収録の3曲はドーパにしてはストレートなつくりですよね。最近の流行りなんですか?

アイガーゴイル:いやいや、俺の曲のつくり方がラフになってきて、今はそこまでこだわらずに曲を量産している時期なんですよ。

――「DANGEROUSMAMA」はメロディがいいですよね。

アイガーゴイル:本当ですか?メロディはだんだんよくなってきてるんですよ。今までの曲はそんなにメロディがなかったんですけど、『OXYGEN』あたりからメロディがある曲が増えて。今はメロディが一番大事だなって思ってます。

――今回の3曲で一番好きなのは「DANGEROUSMAMA」ですよ。これが一番キャッチーだなと。

アイガーゴイル:ああ、そういうつもりでこの曲はつくってますね。キャッチーに振り切りました。そこに違和感を覚える人はいると思うんですよ。「あれ? なんか……うぜえな」って(笑)。

――メロディメーカーとして影響をウケている人はいるんですか?

アイガーゴイル:やっぱりシステムオブアダウンですかね。あの中東っぽい感じがどうしても出てきちゃうから、がんばって抑えながらもたまにポロッと出ちゃったり。あとはフェイス・ノー・モアとかね。マイク・パットンのミスター・バングルってバンドが大好きで、あの遊園地観に憧れてた時期はありました。ウザいくらいキャッチーで、鼻につく歌い方。ただいいメロディを歌うんじゃなくて、不気味さと気持ち悪さがにじみ出てるんですよ。ああいうボーカルがすごいなと。

――そういう影響はドーパでもしっかり感じられますね。

アイガーゴイル:そうですかねえ。自分の歌を聴いてるとまだ表情が足りないと思うから、もうちょっと出せたらいいなと思ってるんですけど。

――ニヤついてる感じは出てると思いますけど。

アイガーゴイル:声を聴いて顔が浮かぶようなボーカルになりたいなとは思いますね。シャウトとかデスボイスって表情が見えづらいじゃないですか。だから俺は、地声を歪ませる感じで、誰が歌ってるかわかるシャウトを心がけてます。小賢しいテクニック……ピッグスクイールとかグロウルみたいなカッコつけた名前じゃなくて、俺のは“うんこ踏ん張ってる声”です(笑)。「どうやってそのデスボイス出してるんですか?」「デスボイスじゃねえよ、うんこ踏ん張ってる声だよ!」って(笑)。

最初は(ドラムの)「ドゥクドゥン、ジャーーン!」みたいなのとか死ぬほど嫌いでしたけど

Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/パプリカ・パプリコ(Guitar)
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)/パプリカ・パプリコ(Guitar)

――ドーパはライブも面白いですよね。出番前のファンタジックなBGMからドーパの世界がすでに始まってるという。

アイガーゴイル:あれは夢の国感を意識してて。

ジブラ:前はもっとショーに寄ったライブをしてたんですよ。

アイガーゴイル:それで、実際に夢の国に行って、キャストの人の演技を参考にしてみて、「いぃぃよぉこそぉぉ!」みたいなMCをしてみたり。一度、ミュージカルみたいなレベルまで突き詰めてライブをやってみたことがあるんですけど、いざ曲が始まると、お客さんはノるというよりもステージをじっと観ちゃうんですよ。それで「これじゃねえな。俺はライブがしてえんだ」と思って、最近はギリギリ素が出るか出ないかぐらいの喋り方にしてます。

ケチャップ:周りのバンドに影響された部分もあるかもしれないですね。ライブ感を重視してる人たちが多かったんで。

アイガーゴイル:最初は(ドラムの)「ドゥクドゥン、ジャーーン!」みたいなのとか死ぬほど嫌いでしたけど、今はバキバキやりますから。そうやって無駄な尖りをなくしていってます。

――「ドゥクドゥン、ジャーーン!」が嫌いなバンドなんて初めて聞きましたよ。

アイガーゴイル:周りのバンドがやってるようなことがマジ嫌いで、昔は子供とおじいちゃんの語りから始まるSEを使ってたんですよ。「昔、アイリフドーパという巨人がいて……」みたいな。その頃は一番尖ってましたね。俺も全身迷彩のタイツ着てましたから。

ケチャップ:煽りとかも一切やらずに、どんだけお客さんを引かせるかっていうことを重視してる時代が5、6年ありました(笑)。

アイガーゴイル:人間じゃなかったですもん。こんなに喋れなかったですもん。マジで目の焦点が合ってないし、薬物やってるわけでもないのに人じゃなかったもん。

ケチャップ:その頃は対バンの人とも喋らなかったけど、最近はバンドにおいて人間力って大事だなと思って(笑)。

アイガーゴイル:そうそう、今は友達も作れるようになってね。

ケチャップ:うん、バンド活動がより楽しくなったよね。

――以前に比べると丸くなったとは言え、ダークファンタジー感はしっかり出てると思いますよ。

アイガーゴイル:ならありがたい。大事にするところは大事にしてるので。

――でも、ドーパは楽曲、ビジュアル、ライブ、映像、全てにこだわってますけど、そこにはどういう理由があるんですか。

アイガーゴイル:うーん、そんなにこだわってないです、実は。

ケチャップ:人と違ったことをしたいっていうのが根底にあるとは思いますけど。

アイガーゴイル:中途半端に手を出してるんですよ。映像とか、ショー仕立てのライブとか、全部中途半端なんですよ。こだわろうとして挫折した名残りが今のライブに集約されてる。本当に映像にこだわるなら打首獄門同好会みたいな感じになると思うし、ああいうのはいいなあって思うけど、今から自分たちではやらない。だから今は、単純にやべえ曲をつくって、ドーパでしか味わえないようなキモい曲展開で、邦楽では出会えないタイプのおもろい音楽を感じてもらえたらいいかなぐらいの気持ちでやってます。

――あちこち手を出した結果が今のバンドのカラーになってるんですね。

アイガーゴイル:V系になりたくないし、ミュージカルにもなりたくないし、結局、一番こだわってるのは音楽なんですよ。そこを一番大事にしねえで何がバンドじゃって自分のなかで行き着いたんですよ。昔、自分たちのことを“遊園地ハードコア”とか“ド変態エンターテイメントメタル”とかいろいろ言ってましたけど、小賢しいわと。音楽頑張れと。だから、今は自分たちのことを“ロックバンド”って言ってます。
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)
Ailiph Doepa(アイリフドーパ)

取材・文=阿刀 “DA” 大志 撮影=菊池貴裕

当記事はSPICEの提供記事です。

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