『アニー』クリスマスコンサート2019 レポート~2018アニーズが卒業!

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【THE MUSICAL LOVERS】Season 2 ミュージカル『アニー』
【第35回】『アニー』クリスマスコンサート2019 レポート~2018アニーズ卒業!


丸美屋食品ミュージカル『アニー』クリスマスコンサート2019」(通称:クリコン)が、2018年12月21日(土)・22日(日)に行われた。上演された最新年(2019年)とその前年(2018年)のアニー&アニーズ(孤児たち、ダンスキッズ)がショーを担当、最後に翌年(2020年)のアニーズをお披露目するコンサートで、今回で21回目を迎える。筆者は21日(土)18時の回と22日(日)15時の回(千穐楽)を鑑賞した。

今回は2018年・2019年・2020年のアニー&アニーズ、そして2017年・2020年ハニガン役のマルシア、2017年・2018年・2019年・2020年ウォーバックス役の藤本隆宏、2015年・2016年グレース役の木村花代が出演。ミュージカル『アニー』の本編と同様に、佐橋俊彦が音楽監督を、福田光太郎が指揮をつとめた。構成・演出は小川美也子、振付は小山みゆき、ダンスキッズ振付はNABE(LDH JAPAN)。振付助手には2017年ダンスキッズだった永利優妃の名前もある。

前半はミュージカル『アニー』の曲を中心に、後半はクリスマスの曲を中心に華やかなショーが展開された。
【セットリスト】
1.「ダンサブル・トゥモロー(Tomorrow)」
2.「ハードノックライフ(It's The Hard-Knock Life)」
3.「メイビー(Maybe)」
4.「リトルガールズ(Little Girls)」
5.「N.Y.C.」
6.「アニーアニー~2人でいればいい(I Don't Need Anything But You)」
7.「You're Never Fully Dressed Without A Smile(from "Annie"2014)」訳詞:リサリーサ
8.「Funky Jingle Bells!」
9.「クリスマスなんて大嫌い!! なんちゃって」
10.「クリスマスソング・メドレー(「Santa Claus is Coming to Town」「ママがサンタにキッスした」「All I Want for Christmas Is You」「Winter Wonderland」)」
11.「ジャズコーラス スキャットメドレー」
12.「JOYFUL JOYFUL」
13.「クリスマスキャロル・メドレー(「もろびとこぞりて」「あめには栄え」「もみの木」「ひいらぎかざろう」「荒れ野にみ使い」)」
14.「ハピネス」
15.「O Holy Night」
16.「ニューディール・フォー・クリスマス(A New Deal For Christmas)」
17.「トゥモロー(Tomorrow)」 “Opening”「ダンサブル・トゥモロー(Tomorrow)」 ((C)NTV)
“Opening”「ダンサブル・トゥモロー(Tomorrow)」 ((C)NTV)

ヒップホップ調のリズムに乗せた「ダンサブル・トゥモロー(Tomorrow)」で開幕した2019年クリコン。2018年アニー&アニーズ、2019年アニー&アニーズ、オーケストラが紹介された。カラフルな掃除道具での「ハードノックライフ(It's The Hard-Knock Life)」では、モリー3人(尾上 凜・三浦あかり・石井瑠菜)がバケツを太鼓に見立ててリズムをとる姿が、何とも可愛らしい。

両親はもういない、とわかっている孤児たちが、その中で最大限の願いを唱える。4人のアニーたち(2018年アニー 新井夢乃・宮城弥榮、2019年アニー 岡 菜々子・山﨑玲奈)が、「家族」への憧れが詰まった「メイビー(Maybe)」をアカペラで歌い上げる(冒頭写真)。その想いを支えるように、孤児たちが後半にコーラスで加わる。

続いてゲスト・マルシアの登場だ。マルシアは、山田和也が演出に就任し、アニー役を野村里桜(チーム・バケツ)・会 百花(チーム・モップ)が演じた2017年に、孤児院長ハニガン役を演じた。彼女は来たる2020年も3年ぶりにハニガンを演じることが決定しており、その前にクリコンで久々のマルシア節が炸裂した。死んだネズミを見つけ、孤児たちが騒ぎ出す様を蹴散らすように歌われた「リトルガールズ(Little Girls)」は大迫力! とある回では、曲が終わるやいなや、客席の子どもが「怖いよぅ」と泣き出してしまったとか!! 本気をぶつけるマルシアだが、「ハニガンは、怖いだけではない。その時代を一所懸命生きている人」だと言い、「(クリコンのみならず)2020年の本編も観てください」とのアピールも、もちろん忘れなかった。

「2017年からウォーバックス役を演じ、すっかり『アニー』が板についた藤本隆宏様が、ニューヨークへの熱い思いを歌います」とマルシアに紹介されて歌われたのが、藤本リードボーカルによる「N.Y.C.」。本編でこの曲は、ウォーバックスが秘書グレースとともにアニーを映画に連れ出す際に歌われる。2018年ダンスキッズがトレンチコート姿でニューヨークの住人を装う様は、まるで映画のワンシーンのよう。『アニー』の舞台は1933年で、ちょうどその頃、トレンチコートは男性の冬の定番ファッションになったといわれ、当時の空気感も楽しむことができる。そしてグレースのパートでは、2015年・2016年にグレース役を演じた木村花代が登場し、美しいソプラノを響かせた。2019年のダンスキッズも加わり、本編同様の衣裳に転じて華を添えたかと思えば、さらに孤児たちも加わって、ニューヨークの賑わいがシアトリカルに表現される。そこへ4人のアニーが順々に「未来のスター」のソロ部分を担当し、ニューヨークという街が持つ煌めきを際立たせた。
「N.Y.C.」 ((C)NTV)
「N.Y.C.」 ((C)NTV)

ゲストの木村は、ジョエル・ビショッフ演出時代(2001年~2016年)の『アニー』グレース役(2015年・2016年)だ。2018年アニー新井・宮城は、「ジョエルさんの演出時代は、子どもたちは片方のチームの稽古を見ることはできなかった(無意識で影響されたり、いいところ取りをしてしまうことを防ぐため)」という木村の話に驚いていた。木村から「2018年には、サンディの犬種が変わったんだって? 何犬から何犬に変わったの?」と問われると、「オールド・イングリッシュ・シープドッグから、ラブラドール・レトリーバーとスタンダードプードルのミックス犬に変わりました!」と、双子のように声をそろえて答える新井・宮城。大型犬ゆえの苦労について、「最初は自分もひっくり返されていたけれど、賢い犬だからすぐに慣れました」と答える新井。今だから言えることについて、宮城は「アニーは何もかもが特別。"Tomorrow"を歌えたのも素晴らしい経験」、新井は「アニーは明るいので、日常でも前より明るくなった」と答える。

「そんなアニーを讃える歌です!」と藤本が紹介したのが、「アニーアニー~2人でいればいい(I Don't Need Anything But You)」のメドレー。「アニーアニー」は2018年アニーの新井・宮城と孤児たちが担当した。ここで、昨年のクリコンまでは無かった演出が! 本編で大階段を誇らしげに降りるアニーの曲(「アニーアニー」と「2人でいればいい」の間をつなぐ曲)に合わせて、2018年アニーの新井・宮城が足を高く上げる。その後ろで、2019年アニーの岡・山﨑、そしてウォーバックス役の藤本までもが、このメロディに合わせて左右の腕を交互に上げながら誇らしげに歩く振付で出てきたのだ! 何を隠そう、本編の中で筆者が最も好きなシーンが、この、アニーが階段を降りてくるシーンなのである。本編ではウォーバックスは階段の下でアニーを迎える立場なのだが、この振付をやってみたかった藤本の気持ちは、わかりすぎるほどにわかる。「2人でいればいい」の弾むメロディとともに、心の盛り上がりが抑えられない筆者だった。

「You're Never Fully Dressed Without A Smile」(from "Annie"2014)は、2014年(日本公開は2015年)の映画『ANNIE』で、Siaが歌っていたヴァージョンのアレンジだ。過去の当連載でも述べたが、もともとの「You're Never Fully Dressed Without A Smile」は男の子向けの歌詞で、日本版の翻訳が女の子向けの意訳となっているのだ。Siaヴァージョンは現代的なアレンジで、女の子のおしゃれを鮮やかに歌っている。「おしゃれの仕上げはスマイル!」リサリーサによるポップな訳詞、カラフルなスマイルマークの傘をくるくると回すスタイルで、極上の楽しさに仕上がっていた。
「You're Never Fully Dressed Without A Smile」(from "Annie"2014) ((C)NTV)
「You're Never Fully Dressed Without A Smile」(from "Annie"2014) ((C)NTV)
「You're Never Fully Dressed Without A Smile」(from "Annie"2014) ((C)NTV)
「You're Never Fully Dressed Without A Smile」(from "Annie"2014) ((C)NTV)

「Funky Jingle Bells!」では、2018年ダンスキッズの髙橋有生がセンターをとって、リズムを創り出す。生まれゆくビートに合わせ、ダンスキッズがタップ、アクロバット、ストリートダンスの技をバシバシ決めてゆく。身体がノリノリになる音楽、次々と繰り出されるエナジーあふれるダンスの数々に、会場から声援が飛び、自然に手拍子が沸き起こった。会場が一体となる恍惚感にシビれる。曲の最後には、場内に割れんばかりの拍手が響いた!
「Funky Jingle Bells!」 ((C)NTV)
「Funky Jingle Bells!」 ((C)NTV)

続いてクレイジーケンバンドのナンバーである「クリスマスなんて大嫌い!! なんちゃって」を、藤本がお茶目に歌い上げ、歌詞の中の少年や初々しいカップルの気持ちを、ダンスキッズがコミカルかつロマンティックに表現。「クリスマスソング・メドレー」は、「Santa Claus is Coming to Town」で始まり、「ママがサンタにキッスした」「All I Want for Christmas Is You」「Winter Wonderland」と続く。キュートなサンタ姿のモリー3人、緑色のワンピースで溌溂と歌い踊るアニーズに、観ているこちらの心も踊る。
「クリスマスソング・メドレー」 ((C)NTV)
「クリスマスソング・メドレー」 ((C)NTV)
「クリスマスソング・メドレー」 ((C)NTV)
「クリスマスソング・メドレー」 ((C)NTV)

ここで2019年アニーの岡・山﨑がMCとして登場。今年、たくさんのTV番組に出た中で最も印象に残ったのは、岡「THE MUSIC DAY」。山﨑「あの、ハイトーン・メドレー!」と返すと、岡「いえ、恐竜に追い回されたことです……」、山﨑「そっち!?」。山﨑は「世界一受けたい授業」で、徳島の大塚国際美術館に行ったことを挙げる。岡が「米津玄師さんの"Lemon"を歌いましたね!」と返すと、山﨑「いえ、あの時食べたマグロが美味しかった~」、岡「そっち!?」。ここで漫才は終わりかと思いきや、「シューイチ」でのいちごビュッフェも忘れられなかったと満面の笑みで話す山﨑に、岡が「玲奈ちゃんは食いしん坊ですからね」と続ける。どうやら次の「ジャズコーラス スキャットメドレー」に登場する先輩アニーズの着替えの時間稼ぎをしていた模様。千穐楽には、準備ができていない先輩の声にこたえ、「世界一受けたい授業」同様、「Lemon」のアカペラを披露する一幕も。

白セーター・赤ボトムスのサンタカラーに着替えた2018年アニーズによる「ジャズコーラス スキャットメドレー」は、昨年のクリコンから先輩世代のアニーズがチャレンジする曲となった。ビング・クロスビーの「WHITE CHRISTMAS」や「ジングルベル」を、ジャズのスキャット(歌詞ではなく「ラララ」「ルールー」「ドゥワー」」など意味を伴わない音で歌う手法)で聴かせ、曲の終盤にはスウィング感あふれる「ダバダバ」コーラスの中から、旧世代の人間には懐かしい日テレ深夜番組「11PM」のテーマの一節が飛び出す。演出・構成の小川と、音楽監督・佐橋による遊び心あふれるアレンジが楽しめるのが、クリコンの醍醐味だ。
「ジャズコーラス スキャットメドレー」 ((C)NTV)
「ジャズコーラス スキャットメドレー」 ((C)NTV)

「JOYFUL JOYFUL」は、レオパード柄のトップスにジーンズで、クールにキメたマルシアがソロをとり、アニーズが迫力いっぱいに乗ってくる。酒井禅功と山﨑玲奈が、ラップのソロを、英語で元気よく聴かせる。
「JOYFUL JOYFUL」 ((C)NTV)
「JOYFUL JOYFUL」 ((C)NTV)

「クリスマスキャロル・メドレー(「もろびとこぞりて」「あめには栄え」「もみの木」「ひいらぎかざろう」「荒れ野にみ使い」)」で、クリスマス気分は最高潮。指揮の福田をはじめ、楽団メンバーたちもサンタ帽子をかぶって盛り上げるのも、もはやクリコンの風物詩と言っていいだろう。

某清涼飲料水のクリスマスキャンペーンCMソングにもなった、AIの「ハピネス」では、「本当に君に会えて良かった」と、両隣のアニーズが顔を見合わせ微笑み合う様に、観ている筆者の目頭が熱くなる。お互いを共演者として慈しみ合い、困難も乗り越えてきた仲間同士の気持ちがまぶしい。さらに客席通路にアニーズが飛び出し、会場いっぱいに真っ白な光が広がった。それはアニーズが灯した幸せの光のよう。

「君が笑えば この世界中に もっともっと 幸せが広がる」

すると舞台上に、光の精のように、きらめく純白のドレスに身を包んだ木村が現れた。「O Holy Night」で、天にも届きそうな木村のソプラノが響き渡り、4人のアニーも厳かにコーラスで加わる。ヴァイオリンのソロがしみじみ美しい。
「O Holy Night」 ((C)NTV)
「O Holy Night」 ((C)NTV)

おめかししたマルシアと藤本も加わり、アニー4人への質問タイムだ。クリコンはアニーズが新しいことに挑戦する場。「O Holy Night」は英語なので、岡は「私以外は中学生なので、皆に『菜々子頑張れ!』って言ってもらいました」と絆を明かす。ラップに初挑戦した山﨑は「ラップのソロはオーディションで勝ち取りました。すっごく楽しくてノリノリでした!」と語り、「YO!YO!」と続けると、土曜夜は木村が、日曜千穐楽は藤本が「YO!YO!」と応戦していた。ダンスが得意な宮城は、小山みゆき及びNABE(LDH JAPAN)の振付を「すごく楽しかった」と振り返る。普段やらない曲への挑戦として披露された「You're Never Fully Dressed Without A Smile」の映画ヴァージョンは、新井が「本編でアニーが出ていない曲です」と述べると、ハニガン役マルシア・ウォーバックス役藤本・グレース役木村も「私も出ていない」「私も出たい」と口々に乗っかり、場内の笑いを誘った。

そんな楽しいクリコンにも別れの時間が迫る。名残惜しい中、「ニューディール・フォー・クリスマス(A New Deal For Christmas)」が披露される。グレースのパートを、木村のみならずハニガン役のマルシアも担当するレア・バージョンとなった。間奏ではダンスキッズが踊ると孤児たちが声援をおくる微笑ましい場面も。

さてクリコンは、翌年のアニーズがお披露目されるとともに、前年のアニーズが卒業する場でもある。2020年アニーズが紹介されると、卒業する2018年アニーズにも言及する大人キャストたち。これからミュージカルや役者の世界に行く子、他の世界に行く子、未来のスターである彼らを応援してほしいという言葉、その心遣いに、こちらの気持ちもあたたかくなる。先輩として舞台を引っ張った2018年アニーズ、卒業おめでとう!
2020アニーズ ((C)NTV)
2020アニーズ ((C)NTV)

ラストはもちろん、「トゥモロー(Tomorrow)」で〆られ、「私たちの歌で、皆さんに一足早いクリスマスを楽しんでもらえたら嬉しいです」「すてきなクリスマスが訪れますように!」という声とともに、2019年クリコンはおひらきとなった。丸美屋食品のお土産と、来年のアニーカレンダーを手に、音楽とダンスの楽しさを胸いっぱいに吸い込んだ2019年の暮れ。今年もアニーズに会えて良かった……!来年もまた会いましょう!
2020年、『アニー』は35周年、丸美屋の「のりたま」は60周年を迎える (撮影:ヨコウチ会長)
2020年、『アニー』は35周年、丸美屋の「のりたま」は60周年を迎える (撮影:ヨコウチ会長)

次回に続く

文:ヨコウチ会長  写真:©NTV

当記事はSPICEの提供記事です。

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