『アナ雪2』あからさまなステマ投稿、なぜ「#PR」を軽んじてしまうのか

wezzy

2019/12/6 16:15


 11月22日から公開中のディズニー映画『アナと雪の女王2』(以下、『アナ雪2』)。公開10日目で興行収入40億円を突破し前作に引き続きヒットしているが、Twitterを使っての「ステマ」が発覚し水を差した。

「ステマ(ステルスマーケティング)」とは、消費者にPRだとわからない形で商品やサービスの宣伝をすることだ。
7人の漫画家が同じ日の同時刻に『アナ雪2』の感想漫画を投稿
 今月3日の午後7時ごろ、Twitterを中心に活動する漫画家7人が、ほぼ同時刻に『アナ雪2』の感想漫画を投稿した。以下はその投稿の一部だ。

7人もの漫画家が同時刻に同じ映画の感想を投稿したことは、偶然の一致ではなく『アナ雪2』の宣伝だと捉えるのが普通だろう。しかしすべてのツイートに「PR」表記はなかった。

どう見てもPRであるのに、「PR」表記がない。この不自然さから、「ステマではないか?」と指摘する声がTwitterで多発。結局、投稿から数時間後にそれぞれの漫画家たちが、「映画の試写会に招待されPRとして描いた漫画」「PRタグをつけ忘れていた」と似たり寄ったりの謝罪文を投稿することとなった。

なぜ全員の漫画家がPRタグを“つけ忘れた”のか、これも不思議でならない。そもそもPRタグを必須とする指示が、宣伝を請け負った漫画家たちに行き渡っていなかったのではないか。

「ねとらぼ」によれば、ウォルト・ディズニーの担当者はこの件について、<本来PR表記を行う予定だったが、どこかでコミュニケーションミスがあり抜け落ちてしまった><ステマという認識はない>と回答している。

たしかにディズニーほどの大企業が、「PRと明記せずに、良い感想を広めてほしい」などと依頼するとは思えない。だがPR会社などの伝達ミスが招いた事態だと矮小化はできない。ディズニー側がこれを<ステマという認識はない>としてしまうことは、消費者を軽んじ、自社の社会的責任を放棄していないだろうか。

依頼されてギャラも発生し、原稿チェックなどもおそらくあったであろうPR案件であるにもかかわらず、あたかも自分自身が心からすすめているもののように「これは良いものだよ」と投稿するクチコミは、典型的な「ステマ」といえる。わざわざそのような広告手法をとらなくとも、『アナ雪2』というコンテンツはその持魅力によって自然と大ヒットにつながっただろう。

映画のプロモーションに関するステマ疑惑は、今年8月に公開された映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』でも持ち上がっていた。Twitter上で複数のアカウントが、<倉敷に映画見に行ってきまーす ドラゴンクエスト ユアストーリー! ドラクエ全然分かんないけど!>という文章をツイートしていたのだ。一言一句同じ、まさにコピペツイートだった。

この文章を投稿した複数のアカウントは、それぞれ「別人」のていで更新されているものの、過去の投稿や画像まで一致しており、業者が管理している架空の人物のアカウントとみて間違いないだろう。
「明記なしでもPRだとわかるはず」?
 SNSでの宣伝を依頼する側も、依頼を受けて投稿する側も、「ステマはよろしくない」という意識がさほどないのか、「これくらい何が悪いのだ」と開き直っているのか。今年10月に発覚した、京都市と大手芸能プロダクション・吉本興業のステマ騒動も同様だった。

京都市と吉本興業は、所属芸人が市の施策やイベントのPRをTwitterに1ツイートするごとに25万円、計100万円を支払う契約をしていたという。実際に、京都市出身の人気お笑いコンビ・ミキが市に関するツイートしている。

<京都最高ー♪ みんなで京都を盛り上げましょう!! 京都を愛する人なら誰でも,京都市を応援できるんです! 詳しくはここから!>
<#京都市盛り上げ隊>
<#京都国際映画祭2018>
<#京都市ふるさと納税>

このような内容のツイートをミキは計4回投稿したが、いずれも京都市からの依頼だと明示しておらず「PR」表記はなかった。

しかし「ステマだろう」と指摘する声に対して吉本興業と京都市は、<今回のツイートが京都市のためのプロモーション業務であるということは世間一般にご理解いただける>として、ステマには当たらないとする見解をみせた。

プロモーション業務であることが明らかだというのならば、それこそ一言「#PR」と付け加えておけばいい。ただそれだけのことが、なぜできないのか理解に苦しむ。そして“世間一般”にはそれほどネットリテラシーは浸透していない。怪しい美容商品でも「有名人が使っている」「このシミがすぐに消えた」などという文句や画像一枚で、飛ぶように売れてしまうような時代だ。

企業から報酬をもらいSNS上で商品をPRする「インフルエンサー」という職業もある。だが、インフルエンサーが自発的にオススメしている商品なのか、企業から宣伝を依頼された商品なのか、「#PR」なしで判断することは出来ない。そして宣伝案件に必ず「PRです」と明記しない以上、すべての投稿が疑わしくなる。

様々なステマ騒動で、「SNS上にはステマが横行しているのでは?」という不信感を覚えた消費者もいるだろう。広告宣伝上のルールを守らず無法地帯化すれば、そこにある「オススメ情報」は信用を失っていき、いずれはPRの場としても機能しなくなるだろう。

当記事はwezzyの提供記事です。

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