【米ビルボード 2019年間アルバム・チャート】ビリー・アイリッシュがNo.1、女性アーティストによる作品が上位を独占

Billboard JAPAN



2019年の米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”年間チャートは、ビリー・アイリッシュの『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』が1位に輝いた。

4月13日付チャートでNo.1デビューしてから、非連続ではあるが通算3週の首位を記録し、集計期間終了の2019年11月30日付チャートまで、計34週TOP10に居座り続けたビリー・アイリッシュの『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』。アルバムからは、ソング・チャート“Hot 100”でも自身初の1位を獲得した「bad guy」が大ヒットし、ユニット数に大きく貢献している。「bad guy」は年間チャート4位にランクインし、シングル、アルバム共に年間TOP10入りを果たした。本作のヒットを受けて、2017年にリリースしたデビューEP『ドント・スマイル・アット・ミー』も、年間16位にランクインするロングヒットを記録している。

デビュー・アルバムが年間チャート1位を獲得するのは、スーザン・ボイルが『夢やぶれて』で記録した2010年以来、9年ぶり。女性ソロ・アーティストによる記録を振り返ると、キャリー・アンダーウッドの『サム・ハーツ』(2006年)、マライア・キャリーの『マライア』(1991年)、ホイットニー・ヒューストンの『そよ風の贈りもの』(1986年)の3作が、デビュー・アルバムとして年間1位にランクインしている。ビリー・アイリッシュは、それに続く5人目の快挙達成。

2010年代の年間首位獲得アルバムは、2011年と2012年が2年連続でアデルの『21』、2013年がジャスティン・ティンバーレイクの『20/20 エクスペリエンス』、2014年が『アナと雪の女王』のサウンドトラック、2015年がテイラー・スウィフトの『1989』、2016年がアデルの『25』、2017年がケンドリック・ラマーの『DAMN.』、2018年がテイラー・スウィフトの『レピュテーション』で、10年のうち7枚が女性ソロ・アーティストによる作品だった。6、70年代は該当なし、80年代は1作、90年代は4作、2000年代が3作で、10年間の記録としては、2010年代が最も女性アーティストによる首位獲得作品が多い。

続いて年間2位も、女性ソロ・アーティストによる作品。初登場の2月23日~3月2日付の2週トップに居座り、上半期上位をキープし続けたアリアナ・グランデの『thank u, next』も、2019年を代表する大ヒット・アルバムで、本作はストリーミング・サービスSpotifyで史上最速の再生回数1億回を突破し、今年リリースされたポップ・アルバム最大の週間ストリーミング3億7000万回を記録した(2月23日付チャート)。

アリアナは、これまでリリースした5枚のうち、3rdアルバム『デンジャラス・ウーマン』(2016年)のみ首位を逃しているが、本作『thank u, next』含め他4枚は全て1位を記録している。しかし、年間チャートでのTOP10入りは初の快挙で、ソング・チャートでも通算7週のトップを維持した「thank u, next」が、自身初の全米1位獲得曲だった。アルバムからは、この曲と年間7位にランクインした「7 rings」(8週1位)、3rdシングル「break up with your girlfriend」(最高2位)の3曲が大ヒットしている。

女性アーティストが年間1位、2位を独占するのは、2011年にアデルの『21』とテイラー・スウィフトの『スピーク・ナウ』が記録して以来、8年ぶり。また、年間3位には映画『アリー/スター誕生』のサウンドトラックがランクインしているが、これをレディー・ガガのアルバムとしてカウントすると、TOP3を女性ソロ・アーティストが独占したことになる。

『アリー/スター誕生』は、前年10月5日にリリースされ、2018年10月20~11月3日付チャートの3週1位を記録した後、下降と上昇を繰り返していたが、今年2月11日に開催された【第61回グラミー賞】と、同月2月25日に開催された【第91回アカデミー賞】のパフォーマンス・受賞効果により、3月9日付チャートでトップに返り咲き、通算4週目の首位獲得を果たした。サウンドトラックが4週以上1位を獲得するのは、続編が公開されたばかりの『アナと雪の女王』以来、約5年ぶりの記録更新。同日のソング・チャートでは、<主題歌賞>を受賞した「シャロウ」もNo.1を獲得し、ブラッドリー・クーパーは初、レディー・ガガは「ボーン・ディス・ウェイ」(2011年)以来8年ぶりの首位復帰を果たした。前年との期間集計割れがなければ、『アリー/スター誕生』と2位の『thank u, next』は入れ替わっていたかもしれない。

今年は映画のサントラ盤が豊作で、2月に映画『ボヘミアン・ラプソディ』のDVDとブルーレイが発売され売上を伸ばしたクイーンのベスト盤『グレイテスト・ヒッツ』が12位、日本でも大ヒットした『グレイテスト・ショーマン』が14位、ポスト・マローンの「サンフラワーwithスウェイ・リー」が年間2位の大ヒットを記録した『スパイダーマン:スパイダーバース』が15位に、それぞれ上位ランクインを果たしている。

レーベル移籍後、初のリリースとなったテイラー・スウィフトの『ラヴァー』は、8月のリリースだったにもかかわらず4位にランクインするスピード・ヒットを記録した。2019年度最大の初動ユニット867,000を記録し、たった3か月で200万ユニットに迫る高記録を叩き出したわけだが、集計期間が短ったこともありTOP3入りは逃した。これまでのオリジナル・アルバムは、デビュー作『テイラー・スウィフト』が2008年に年間5位、2ndアルバム『フィアレス』が2009年に年間1位、3rdアルバム『スピーク・ナウ』が2011年に年間2位、4thアルバム『レッド』が2013年に年間2位、5thアルバム『1989』が2015年に年間1位、前作『レピュテーション』が昨年の年間首位に輝き、すべてのアルバムが年間TOP5入りを果たしている。

年間5位にランクインしたポスト・マローンの『ビアボングス&ベントレーズ』は、2018年5月にリリースされた自身2作目のスタジオ・アルバムで、昨年の年間チャートでも3位にランクインする大ヒットを記録した。2016年12月リリースのデビュー・アルバム『ストーニー』も、2017年の年間7位、2018年は8位と2年連続でTOP10入りしている。今年は、9位にも最新作『ハリウッズ・ブリーディング』がランクインしていて、2年連続で2枚のアルバムを年間TOP10入りさせるという、史上初の偉業を成し遂げた。なお、ソング・チャート“Hot 100”の年間チャートでも、昨年と今年、2年連続で2曲をTOP10入りさせている。前述の『ストーニー』は、今年の年間チャートでも24位と上位入賞を果たした。

『ハリウッズ・ブリーディング』の初動ユニット数は489,000で、テイラー・スウィフトの『ラヴァー』に及ばなかったが、初動ストリーミング数としては同年最高の3億6,540万視聴を記録し、2019年度最高の週間ストリーミングを記録した。また、非連続ではあるが通算5週のNo.1をマークし、2019年度最長の首位獲得週も記録している。本作も『ラヴァー』同様、9月21日付チャートからの約2か月という短い期間でTOP10入りし、最新チャートでも上位をキープしている。おそらく本作も、次年2020年度の年間チャートで2年連続のTOP10入りを果たすだろう。

昨年の年間2位を記録したドレイクの『スコーピオン』も、『ビアボングス&ベントレーズ』同様、今年も年間6位と2年連続のTOP10入りを果たしている。累計ユニット数は500万を突破していて、集計が分散されなければ2018年の年間チャートを制したテイラー・スウィフトの『レピュテーション』を破り、1位を記録していただろう。100位内には、『テイク・ケア』(68位)、『ヴューズ』(69位)、『モア・ライフ』(83位)などの過去作もランクインしている。

今年の年間チャートは、5位から10位までの6作がすべてヒップホップ・アルバムで、それらのユニット数は半数以上がストリーミングによるものだった。1位のビリー・アイリッシュや2位のアリアナ・グランデ含め、今年上位にランクインした作品は、いずれもストリーミングの強いアーティストだったといえる。アルバム・チャートだけでなく、ソング・チャートにも同様の傾向がみられた。

7位にランクインしたミーク・ミルの『チャンピオンシップス』もストリーミングが強く、初動229,000ユニットと高記録を打ち出し、昨年12月にNo.1デビューを飾った。アルバムからは、ドレイクをフィーチャーした「ゴーイング・バッド」が最高6位のヒットを記録し、アルバムのユニット数に繋いでいる。ミーク・ミルのアルバムが年間チャートでTOP10入りするのは、本作が初。続いて8位には、2018年8月18~25日付チャートの2週1位を記録した、トラヴィス・スコットの『アストロワールド』がランクインしている。本作も、昨年の年間チャートでは7位にランクインし、ポスト・マローン、ドレイク同様2年連続のTOP10入りを果たした。アルバムからの先行シングル「シッコ・モード」(最高1位)も、ソング・チャート年間9位と大健闘した。

上位9作は、アルバムからのシングルがいずれも1位獲得ないしはTOP10入りしている。2014年末のチャート編成以降、アルバムに収録された曲が1500回再生されるごとに、アルバム一枚のセールスに換算して計算されるようになった。つまり、シングルがヒットすると、アルバムのユニット数も上昇する仕組みになったということ。2019年度は、その傾向が前年以上に強まり、「購入して聴く」よりも「ストリーミングする(視聴する)」率が高まったことに付随する。

その点で言うと、予想外のヒットとなったのがア・ブギー・ウィット・ダ・フーディの『Hoodie SZN』。1月5日付チャートの初登場は、年間18位にランクインしている21サヴェージの『I Am > I Was』(年間)に阻まれ2位だったが、『I Am > I Was』が2週1位をキープした後、1月19日付チャートで巻き返しの首位を獲得し、通算3週間トップを維持した。本作からは、「ルック・バック・アット・イット」が自己最高の27位を記録したが、大ヒットというには微妙なところで、シングル曲に頼らずヒットさせたアルバムと評価できるだろう。

カントリー・アルバムでは、ルーク・クームスの『ディス・ワンズ・フォー・ユー』が年間最高の11位にランクインしている。本作は、2年前の2017年6月にリリースされたデビュー・アルバムだが、5月に放送されたジミー・ファロンの『ザ・トゥナイト・ショー』出演し、売上が再浮上した。2018年は、アルバム・リリース1周年を記念した5曲追加のデラックス盤が発売され、最高位を4位に更新。年間チャートでも20位にランクインするヒットに至った。今年11月にリリースしたばかりの新作『What You See Is What You Get』は、自身初のNo.1獲得を果たし、カントリー・アルバム・チャートでは2作連続の首位に輝いている。

純粋なR&Bアルバムとしては、カリードの『フリー・スピリット』が最高位となる年間13位を記録。4月20日付チャートで自身初のNo.1デビューを果たし、下半期までTOP10に滞在し続けるロング・ヒットに至った。アルバムからは、「トーク」が年間ソング・チャート8位、「ベター」が20位の大ヒットを記録し、前作『アメリカン・ティーン』も年間36位にランクインしている。その他のR&Bアルバムでは、クリス・ブラウン『インディゴ』が37位、エラ・メイの『エラ・メイ』が41位にランクインしているが、ヒップホップ陣と比較すると勢いは弱い。

今年3番目に高い初動ユニット(414,000)を記録し、6月にNo.1デビューしたジョナス・ブラザーズの『ハピネス・ビギンズ』は年間25位にランクインしたが、初週の数字からみると年間チャートでの順位は低い。2月に23万ユニットを獲得して首位デビューしたバックストリート・ボーイズの『DNA』に至っては、100位圏外だ。この結果からも、ストリーミングの弱いアーティストは上位をキープできず、年間チャートでも思った結果が残せない。前述にもあるように、2019年は前年迄以上に「ストリーミング重視」のチャートだったといえる。

既に集計がスタートした2020年度のアルバム・チャート。記念すべき2020年代のはじまりということもあり、ビッグ・スターたちがこぞって新作をリリースすることが予想される。年間チャートでは、今年以上に華やかな面々が上位にランクインするのではないだろうか。

Text:本家一成

◎【Billboard 200】2019年年間チャートTOP10
1位『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』ビリー・アイリッシュ
2位『thank u, next』アリアナ・グランデ
3位『アリー/スター誕生』サウンドトラック
4位『ラヴァー』テイラー・スウィフト
5位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
6位『スコーピオン』ドレイク
7位『チャンピオンシップス』ミーク・ミル
8位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
9位『ハリウッズ・ブリーディング』ポスト・マローン
10位『Hoodie SZN』 エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディ

当記事はBillboard JAPANの提供記事です。

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