セ・リーグ新人王を獲得した村上宗隆の足跡。高校時代は強打のキャッチャーだった

日刊SPA!

2019/12/4 08:50

 日本プロ野球の今年のセ・リーグ新人王は東京ヤクルトの高卒2年目野手・村上宗隆が受賞した。36本塁打&96打点を筆頭に数々の高卒2年目以内、未成年での打撃記録を塗り替えた実績が評価された形だが、多くのプロ野球ファンは今季のこのブレイクに“村上って何者?”と思うのではないだろうか。

そこで今回は高校時代の村上の足跡を、栄光と挫折を交えて辿ってみたい。

◆入学直後に即4番&県予選最初の打席で超ド級の満塁弾デビュー

2015年に高校進学した村上は熊本の強豪・九州学院に入学。するといきなり4番&ファーストのレギュラーの座を獲得に成功。さらに甲子園をかけた夏の熊本県予選の初戦。東稜戦の初回での第1打席であまりにも鮮烈なデビューを飾っている。

なんと満塁弾を放ったのだ。しかもその一打は中堅までの距離が約121.9メートルと国際試合開催規格を有し、プロ野球界でも“本塁打が出にくい野球場”として有名な藤崎台球場のバックスクリーン左の芝生席に叩き込んだ当たり=推定飛距離にして120メートル超だった。

さらにこの試合で村上は4打数3安打の固め打ちで、チームのコールド勝ちに貢献している。初めての夏の県予選を最高の形でスタートした村上。このときから“持っていた”のかもしれない。

◆ただ一度の夢舞台で全国の壁を痛感

村上は1年夏の熊本県予選全6試合で4番を務め、22打数9安打で打率4割9厘、1本塁打、8打点をマーク。この活躍もあり、チームは5年ぶりの夏の甲子園出場を決めた。だが、その本番で村上は全国の厚い壁に跳ね返されてしまう。

初戦の遊学館(石川)戦で、県予選同様に4番・一塁で先発出場も打っては4打数無安打。守っても3回裏に2失策を犯し、決勝点を献上してしまう。チームも3-5の逆転負け。村上にとっての初の甲子園は力を出し切れないままわずか1試合で終えることに。

◆早稲田実・清宮の前で高校第1号となる超ド級のホームラン

打者・村上の最大の魅力は左打席から繰り出される長距離砲としての実力だ。そしてその魅力を語るうえで欠かせない試合が高校時代の2つの練習試合である。最初は1年5月の早稲田実(西東京)との一戦。このときの早実は同じ1年生で注目の強打者・清宮幸太郎(北海道日本ハム)が入学したばかり。

怪物1年生打者対決となったこの試合でなんと村上は高校1号となる推定飛距離130メートルの左中間弾を放っている。2つめが3年6月の慶応(神奈川)戦。国内6球団のスカウトが視察するなか、今度は逆方向となる右翼上段へまたも推定飛距離130メートルの2ラン。

この脅威の打球に当時の某球団のスカウトは「力強さだけでなく、柔らかさもあるし、1球で仕留めるのがいい」とベタ褒め。すでに村上はドラフト指名上位級の注目の強打者となっていた。

◆実は高校時代は“強打のキャッチャー”だった

高校時代の村上は身長187センチ、体重95キロ。この恵まれた体格を武器に本塁打数は高校通算52発を誇っていた。加えて1年秋からは守備の要である捕手を任されチームを引っ張っていた。二塁送球タイムは最速で1秒86、平均で1.9秒台を計測し、捕手としてはまずまずの肩の持ち主。盗塁を10度(二盗9、三盗1)仕掛けられた2年夏の県予選決勝の秀岳館戦では3つの捕殺をマークしている。

つまり、村上は強打の大型捕手だったのだ。だが、そんな村上が全国的にあまり知られることがなかった理由としては甲子園出場経験が前述した高1の夏、ただ1回だけだった点が大きい。実は同時期の県内には’16年春から4季連続出場を果たすこととなる強豪校・秀岳館が君臨しており、村上のいる九州学院の前にことごとく立ちはだかっていたのだ。特に高2と高3の夏はともに2年連続で決勝戦で対戦し、無念にも連敗。村上にとって2度目の甲子園出場は結局叶わなかったのである。

◆ドラフトの外れ1位で高校生野手としては異例の3球団競合

最後の夏は終わったものの“高校生No.1捕手”との評価が揺らがなかった村上。だが、その前に1人の同学年捕手が彗星のごとく現れる。村上が無念にも出場を逃した3年夏の甲子園でこれまでの夏の甲子園1大会の最多本塁打5(保持者はPL学園〈大阪〉の清原和博〈元・埼玉西武など〉)を更新する6本塁打を放った広陵(広島)の中村奨成(広島東洋)だ。

この快挙によって世間は一気に中村に注目。たちまちこの年の“高校生No.1捕手”との認識が定着することに。当然のように中村はドラフトで目玉選手の1人となり、2球団競合のすえ、広島が指名権を獲得。

そして一方の村上は……というと、最初の指名では一度も名前を呼ばれることはなかったものの、なんと“高校生No.1スラッガー”清宮の1位指名を外した東京ヤクルト、読売、東北楽天の3球団が競合。外れ1位指名での3球団競合はドラフト史上でも珍しい現象なのだが、それが高校生野手となればなおさらのこと。その素質の高さが証明された瞬間だった。

――今季は本塁打&打点で見事な数字を残した村上。だが、一方で打率は2割3分1厘に終わり、三振数は184個を数えた。長距離砲の宿命ではあるが、この2部門の数字を向上させることが、来季のさらなる飛躍のカギだろう。<文/上杉純也>

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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