「スカーレット」55話。喜美子と八郎がいい感じ、一方信作は「お見合い大作戦!」をぶちあげる

エキレビ!

2019/12/3 08:30



(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)

連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第10週「好きという気持ち」55回(12月2日・月 放送 演出・鈴木 航)
喜美子(戸田恵梨香)のデザインした絵付け火鉢ができて、それを八郎(松下洸平)に見せにいくと、彼は熱心に陶芸に取り組んでいた。
集中した横顔は見たことのないもので……。

どこまでも夕暮れぽい色味の画面。秋になって背景に紅葉まで出てきて完璧にシックだが、逆に紅葉の赤みが強く色気が出て来た。ほんのり喜美子の頬や心が赤みを増していくような、そんな雰囲気。

できた絵付け火鉢を見て、深野先生が見たらなんて言っただろう?
「ええよぉ」とほほえみ合う喜美子と八郎。

八郎は若社長(本田大輔)に電気釜を用意してもらい、朝夕、2時間、自分の作品づくりをやれるようになったと嬉しそう。
じつは彼は陶芸家を目指していた。
が、陶芸家としてひとりだちできるには、4、5年、もっとそれ以上。
喜美子はゆくゆく陶芸家になることがインフォメーションされているので、喜美子はまた数年修業することになるのだろう。女中3年、絵付け3年、さらに陶芸4、5年……生きていくって大変だ。
だがまだ、喜美子の陶芸道は描かれない。描かれるのは八郎の陶芸道だ。

喜美子と八郎
八郎はいつか自分のつくった器を求める人が現れてくれることを夢に見つつ誰にも頼まれない器を懸命に作る。

「夢その1です」
「その3もあります」
「よう言わん」
「言わん 言わん」

喜美子と八郎はじゃれあうように楽しく会話する。水橋文美江のヒット作「ホタルノヒカリ」の主人公(綾瀬はるか)と部長(藤木直人)のじゃれあいのようだ。あのドラマは家でゴロゴロする干物女と呼ばれる主人公が職場では緊張感をもって接する部長にも家でゴロゴロを見せることができるようになるところが受けていた。そういえば、藤木直人と松下洸平は同じ事務所(キューブ)である。

「運命的な出会いをしたわけでも劇的な瞬間があったわけでもない、気ィついたら自然と好きになっていた」
「つまらん話やないわ ええ話や」
陶芸への思いを恥ずかしそうに語る八郎。それをしみじみ聞く喜美子。
やっぱり、このドラマは、いわゆるドラマにありがちな劇的な切り替えを書かず、自然な感情の流れを書こうとしているのだなあと確信した。だから、火まつりもあくまでも地元の人々の日常の一日として描いたのだろう。
そして八郎も、キラキライケメンではなく、いささか地味な、でも実直そうな青年。
面白いのは、「ホタルノヒカリ」の藤木はキラキライケメン枠に入る俳優で、松下は非キラキライケメンというところ。
シチュエーションは同じなのに出ているタイプは違う。それがどう出るか。

陶芸する八郎の真剣な手付きが器の縁を切り取る。テーブルにほかされたそのかけらは三日月のような弓なりで、喜美子は目が離せない。逆に、こういう描写のほうがドラマティックでドキドキする。

陶芸家と言って喜美子が思いした「慶乃川さん」とは、川島夕空時代に登場した村上ショージが演じていた人物。丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していた彼の作品を、喜美子は容赦なく「ゴミ」扱いした。あれは慶乃川がかわいそうだった。ところが今度は、誰にも求められていないけど自主的に作っている八郎の姿に喜美子は興味をもつ。
はたして貴美子が成長したのか、八郎の腕がいいのか。

お見合い大作戦
喜美子と八郎がしゃべりながらじょじょに仲良くなっていく感じが微笑ましい。明確なオチはなくてもなんとのう楽しい。そういう笑いも世の中には存在する。

その頃、川原家では、信作(林遣都)が「お見合い大作戦」をぶちあげていた。
それは「集団見合い」。現代で言うと「合コン」的なもの?

第10週は、「好きという気持ち」がサブタイトルなので、いろんな「好き」が描かれそうだ。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめとあらすじ (週の終わりに更新していきます)
●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。中学卒業後、大阪の荒木荘に女中として就職。三年働いた後、実家の経済事情の悪化により信楽に戻り、丸熊陶業に就職。深野心仙に弟子入りし、絵付けを学び、丸熊陶業初の女性絵付け師として一人前になる。

川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいる。家に泥棒が入り、
喜美子の給料を前借りに行く。オート三輪を無理して買ったうえに捻挫して働けなくなって喜美子を呼び戻す。

川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。東京の熨斗谷電機の工場に就職する。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉→住田萌乃 末っ子でおとなしかったが、料理もするようになり、直子が東京に行くと気丈になっていく。家庭科の先生になるため大学進学を目指す。

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。喜美子とは幼いときキスした仲。京都の短大を卒業後、婿をとり、身ごもる。

熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。娘には甘い。昭和34年、突然死。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母。敏春を戦死した息子の身代わりのように思っている。
熊谷敏春…照子の婿。 京都の老舗旅館の息子。新商品開発に意欲を燃やす。先代の突然の死により
社長となる。

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の幼馴染。子供の頃は心身共に虚弱だったが、祖母の死以降、キャラ変し、モテるように。高校卒業後、役所に就職する。

大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。マツの貯金箱を預かったことで離婚の危機に直面する。

●信楽で出会った人たち 幼少期
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を「ゴミ」扱いされる。

草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいて、帰国の際、離れ離れになってしまった妻・里子の行方を探している。喜美子に柔道(草間流柔道)を教える。大阪に通訳の仕事で来たとき喜美子と再会。大阪には妻が別の男と結婚し店を営んでおり、離婚届を渡す。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。
保…中川元喜  常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。
博之…請園裕太 常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。

●信楽 丸熊陶業の人々
城崎剛造…渋谷天外 丸熊陶業に呼ばれて来た絵付け師。気難しく、社長と反りが合わず辞める。
加山…田中章 丸熊陶業社員。
原下…杉森大祐 城崎の弟子。
八重子…宮川サキ 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。
緑…西村亜矢子 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。
西牟田…八田浩司 丸熊陶業の中堅社員。

深野心仙…イッセー尾形  元日本画で戦後、火鉢の絵付け師となる。喜美子を9番目の弟子にする。
若社長の代になり、長崎の若手陶芸家・森田隼人に弟子入りすることにする。
池ノ内富三郎…夙川アトム 深野の一番弟子。深野組解散にあたり、京都に就職。
磯貝忠彦…三谷昌登 深野の二番弟子。深野組解散にあたり、大阪に就職。

藤永一徹…久保山知洋 陶器会社で企画開発をやっていて、敏春に雇われる。
津山秋安…遠藤雄弥 大阪の建築資材研究所にいて、敏春に雇われる。
十代田八郎…松下洸平 京都の美術大学出身。祖父が買った深野の絵をお米に代えた過去がある。

森田隼人…長崎の陶芸家。深野が弟子入りを申し込む。

●大阪 荒木荘の人々
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対するが、辛抱して彼女を一人前に鍛え上げたすえ、引退し娘の住む地へ引っ越す。女中の月給が安いのでストッキングの繕い物の内職をさせる。
酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。妹を原因不明の病で亡くしている。喜美子に密かに恋されるが、あき子に一目惚れして、交際のすえ、荒木荘を出る。
庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者だったが、不況で、尊敬する上司・平田が他紙に引き抜かれたため、退社。女性誌の記者となり、琵琶湖大橋の取材のおり、信楽の喜美子を訪ねる。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて俳優を目指すが、デビュー作「大阪ここにあり」以降、出演作がない。

●大阪の人たち 
マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。
平田昭三…辻本茂雄 デイリー大阪編集長 バツイチ 喜美子の働きを気に入って、引き抜こうとする。
不況になって大手新聞社に引き抜かれた。
石ノ原…松木賢三 デイリー大阪記者
タク坊…マエチャン デイリー大阪記者
二ノ宮京子…木全晶子 荒木商事社員 下着ファッションショーに参加
千賀子…小原華 下着ファッションショーに参加
麻子…井上安世 下着ファッションショーに参加
珠子…津川マミ 下着ファッションショーに参加 
アケミ…あだち理絵子 道頓堀のキャバレーのホステス お化粧のアドバイザーとしてさだに呼ばれる。

泉田工業の会長・泉田庄一郎…芦屋雁三郎 あき子の父。荒木荘の前を犬のゴンを散歩させていた。
泉田あき子 …佐津川愛美 圭介に一目惚れされて交際をはじめる。

ジョージ富士川…西川貴教 「自由は不自由だ」がキメ台詞の人気芸術家。喜美子が通おうと思っている美術学校の特別講師。
草間里子…行平あい佳 草間と満州からの帰り生き別れ、別の男と大阪で飯屋を営んでいる。妊娠もしている。

あらすじ
第一週 昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
第二週 昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。
第三週 昭和28年 喜美子15歳 大阪の荒木荘で女中見習い。初任給1000円を仕送りする。
第四週 昭和30年 喜美子18歳 女中として一人前になり荒木荘を切り盛りする。
第五週 昭和30年秋から暮にかけて。喜美子、初恋と失恋。美術学校に行くことを決める。
第六週 昭和31年 喜美子、信楽に戻り、丸熊陶業で働きはじめる。
第七週 昭和31年 喜美子、火鉢の絵付けに魅入られ、深野心仙の弟子になる。
第八週 昭和34年 喜美子21歳 「信楽初の女性絵付け師ミッコー」として新聞に載る。
第九週 昭和34年夏、丸熊陶業の社長が亡くなり深野組解散。秋、喜美子の絵付け火鉢が完成する。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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