「100フェス」に学生殺到 - 歴史がある老舗企業は何が違う?


老舗企業と学生を繋げるイベント、100年企業フェスティバル「100フェス」が11月30日、東京家政大学で開催された。長い歴史を誇る企業に対する学生のイメージに対して、企業は変革の歴史と現在の取り組みを説明。老舗企業と学生、相互の交流が図られた。

○老舗企業の若手社員と学生がタッグ

100年企業フェスティバル「100フェス」は、老舗企業と学生の交流を深めることを目的として開催された、企業と学生の合同イベント。人手不足が叫ばれるようになって久しい昨今、企業は新入社員を集めるのが難しくなっている。このような状況に陥っているのは、長い歴史を誇る老舗企業といえども変わらない。

その要因の1つとして考えられるのが、学生との関わりの減少だ。長く続く企業では、企業に対するイメージが固定化してしまっていたり、そもそも老舗企業であるという情報が伝わらなかったりしている。だが、老舗企業には長く続いている理由があり、それは学生にとって魅力的な情報になるはず。

このような学生側の「社会や企業を知りたい」「リアルな声を聞きたい」、企業側の「学生さんのことを知りたい」「日本の伝統・良さを知ってもらいたい」という思いから、本イベントが実現した。企画したのは、老舗企業の若手従業員と東京家政学院大学の金森研究室キャリア・バームだ。
○目で耳で舌で知る老舗企業ブース

「100フェス」にブースを出展した老舗企業は計14社。くず餅で知られる「船橋屋」やすき焼きで知られる「人形町今半」などの食品メーカーのほか、オーダーメードスーツの「英國屋」、クリーニングの「白洋舎」、さらに写真館「光潮社」、鉄工業を営む「小出ロール」、金融「千葉興業銀行」などをはじめとした幅広い業種が出揃った。

イベント前半は「100年企業王」と題したクイズ大会を開催。企業ブースを回って話を聞いていくことで自然に解答が分かっていく仕組みで、学生たちは各企業自慢の食品に舌鼓を打ったり、高い技術力に支えられた展示を体験したりしながら、企業の情報を得て回っていた。

○老舗企業の本音が聞けるトークセッション

イベント後半には、老舗企業と学生が語り合う「社会人×学生トークセッション」を実施。企業からは代表として5名が参加し、学生らのさまざまな質問に対し真摯に答えた。

学生からの「イベントに参加した理由は?」という問いに対して、英國屋の小林氏は「今回参加した企業を5社以上知っていた方はどれくらいいらっしゃいますか?……そうですよね、まずはみなさんに会社を知っていただこうというのが最初です」と回答。

白洋舎の井口氏は「わが社はどうしても“クリーニングの”白洋舎といわれます。しかし実は売り上げの半分はクリーニングではなく、時代のニーズに合わせたユニフォームレンタルなどの事業です。このような表に出ないところを知っていただきたく参加しました」と答えた。

「長寿企業として誇りに思っていることは?」と聞かれると、船橋屋の渡辺氏は「長く続いている企業はみなさんブランドを持っていると思います。ブランドとは何かというと、その会社が社会に出した幸せの総量なんですよ。お客様が幸せだと感じた積み重ねがブランドであり、長寿企業はどこもお客様がどれだけ幸せにできるのかという点に注力していると思います」と語る。

更科堀井の堀井氏は「僕が若いころに子供として来ていただいた方が親御さんになって子供を連れてきてくれています。お客様にも代々ご愛顧いただけるというところが老舗ならでは。こういうものはご先祖様から頂いたお客様のありがたさであり、プライドを感じます」と長寿企業だからこそ知り得る体験を話した。

「老舗企業は変化をどのように捉えているか?」という質問に対しては、山本海苔店の山本氏が「『伝統は革新の連続である』という言葉があって、変化は“恐れるどころか、しなければならないもの”ですね。変化したそのときはわかりませんし、外から見ても変わっていないように見えるでしょう。ですが何年か経って後ろを振りかえると『あれが革新だった』と気づくものなんです」と答える。

○変革を続けてきた老舗企業

トークセッション中盤には、老舗企業の若手従業員も登壇。学生からは「どのようなときにやりがいを感じるか?」という問いが投げかけられた。

質問に対し、船橋屋の従業員は「『ありがとう』『おいしかったよ』といわれたとき」、山本海苔店の従業員は「初めて通販で商品を購入されたお客様から『また頼みます』といわれたとき」、白洋舎の従業員は「お客様に名前を覚えてもらったとき」、更科堀井の従業員は「このイベントでお店以外で初めて卵焼きを焼いたが、おいしいといわれてうれしい」、英國屋の従業員は「テレビなどに英國屋のスーツを着て出演している方を見たとき」と喜びの1シーンを率直に語った。

後半は逆に経営者から学生へ「職種など以外に会社を選ぶポイント」「どういう会社に入りたいと思っているか?」「イベントで老舗企業のイメージがどう変わったか?」という質問が行われ、学生らの思いを探っていた。

こうして大盛況のうちに終わった「100フェス」。企画した学生は「学生のうちにイベントの企画・運営をしたり社会人の皆さんと話したりする機会はなかなかありません。自分を成長させる大きなチャンスになりました」とイベントを振り返る。

またトークセッションに参加した学生は「日本の文化に興味があり、老舗企業さんがどういった思いで事業を続け、変革を起こされているのか知りたいと思って参加しました。『今やっていることをさらに良くしていこう』という考えで事業を行っているとイメージしていましたが、例えば船橋屋さんが健康方面にアプローチしているように、既存の商品の質をあげるだけでなくもっと広い枠組みで考えているんだと驚きました」と、イベントで得た知見を話した。

学生らの口コミで広がった「100フェス」は、当初定員100人の予定が150人になり、当日は最終的に全国各地のさまざまな大学から180人の学生が参加。老舗企業に対する深い関心が伺えるイベントとなった。

企業が10年、20年と事業を継続することは非常に難しく、統計上も少なくない企業が廃業に至っている。そのような厳しい資本主義社会において、老舗企業が長い歴史を刻み、顧客に愛されてきたことには「伝統」以外の理由があるだろう。学生の皆さんは、企業と直接触れ合えるこのようなイベントを活用しつつ、有意義な就職活動を行ってほしい。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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