月が綺麗な夜にポルカが紡ぐラブソング「阿吽」

UtaTen

2019/12/3 12:00

「阿吽」で切り開いたポルカの新境地



ポルカドットスティングレイは、2015年に活動を開始した4人組ロックバンドで、彼らの楽曲の魅力は、テクニカルなギターにドラマチックなメロディが重なって生まれる独特な世界観や、ライブでのポップなパフォーマンスなど多岐に渡る。

加えて、YouTubeに投稿されているMVは毎回各方面から様々なゲストをオファーすることでも話題を呼び、動画の再生回数を伸ばすことで新規のファンを獲得するその方法は『次世代のロックバンド』の形といえるだろう。

そんな彼らの活動は、各種雑誌やインタビューで特集を組まれ取り上げられることも多い。また、その話題性から各種ストリーミングサービスの公式プレイリストに登場することも多々ある。

かく言う筆者も、プレイリストの楽曲一覧からポルカドットスティングレイに出会ったリスナーの一人だ。


そして、彼らの魅力を語る上で欠かせない要素の一つが歌詞だ。ポルカドットスティングレイのほぼ全ての楽曲の作詞を担当しているVo.雫は、これまで様々な世界観の歌詞を書いてきた。

例えば、映画『スマホを落としただけなのに』の主題歌である『ヒミツ』は、現代社会の風潮や人々の意識に一石を投じるようなスパイスの効いた歌詞が特徴だ。

話題作とのタイアップであることからも各種ストリーミングや売り上げランキングで名を馳せたこの曲の魅力は、映画のストーリーに寄り添いつつ、ポルカドットスティングレイの味をしっかり残したまま世界観を描いているところだ。

2019年10月にリリースされたEP『ハイパークラクション』は、前作のアルバム『有頂天』から約半年という短いスパンでリリースされたにもかかわらず、ポルカドットスティングレイの世界観をまた一回り広げてくれる作品になっている。

その中でも、ストリーミングで先出し解禁され、EPの顔として注目される『阿吽』という楽曲についてその歌詞から、ポルカドットスティングレイが本作で新たに開拓した世界観を紐解いていく。

甘い葛藤の心地良さを描く



月が綺麗な夜に好きな人を誘い出して、曖昧な愛を伝える。

そんな甘酸っぱい情景がまず始めに浮かんでくる。

“月が綺麗ですね”という往年の口説き文句を楽曲の冒頭に使用することで、楽曲の甘いラブソングとしての世界観が明確になるだけでなく、語尾が『でしょ』になっていることでポルカドットスティングレイらしいポップさを心地よく取り入れている。



片想いの鳴り止まない鼓動を、鳴り止まない音楽と喩えて描かれるこの曲では、疾走感のあるアレンジに乗せて、純な恋をする気持ちの強さやひたむきさが描かれている。

“同じリズムで、同じ歩幅で過ごしていたい”という思いを『阿吽の呼吸でいたいのさ』というフレーズで描いた『阿吽』は、ピュアなラブソングとして真っ直ぐな恋心を描いている。

『阿吽の呼吸でいたいのさ』という、一聴しただけではその意味がすぐに馴染まないフレーズの後に『あれから、君からずっとさ、目が離せない』というあまりにもストレートすぎるフレーズが続くことで、どんどん熱を増していく恋心を鮮明に描いている。



きっと、この曲で描かれている恋愛は手練れの恋愛マスターの恋ではなく、慣れない恋愛に身を投じてその甘さに翻弄されてしまうような、不器用な恋だろう。

「好きになってしまって、ずっとその人のことしか考えられなくなって、上手く伝えられないこの思いがもどかしい」そんな葛藤すらも心地良い。

急展開する恋愛よりも、小説のページを一枚一枚めくっていくようなスピードで進んでいく甘酸っぱい恋を思い浮かべてしまう。

ポルカの新しい魅力とは?



好きな人といるだけで世界が輝いて見える。そんな恋心を美しい情景とともに想像できる『阿吽』の歌詞はポルカドットスティングレイの楽曲としては、新しい一歩となっているように感じる。

これまで彼らがリリースしてきた楽曲の中にも、情景が浮かぶ歌詞が特徴といえる楽曲はあるが、『阿吽』ほど明確に“少女漫画然”とした楽曲は初めてだろう。

決して情報量の多い歌詞ではないのに、曲を聴いたときに映像として情景が浮かぶ。それがこの『阿吽』という楽曲の魅力だ。

『ついさっきまで一緒にいたのに 踵返して君に会いに行く』

「またね」と言葉を交わしたばかりなのにもう会いたくなってしまう。きっとそんな気持ちに共感できる方も多いだろう。等身大の恋愛の、キラキラ輝く部分を上手く切り取った歌詞は、物語の続きを想像させる形で幕を閉じる。

『阿吽』という一見堅苦しいタイトルの内側に隠されている、甘酸っぱくて柔らかいラブストーリーに触れたとき、また一つ新しいポルカドットスティングレイの魅力に出会うことができるのだ。

TEXT D

当記事はUtaTenの提供記事です。

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