今さらだけど『十二国記』エピソード1を読んだら人生めちゃくちゃ後悔した。新参者の読書感想文

「おたスケ」。それはオタクのスケジュールであり、あなたのお助けとなるスケジュール。
本コラムではオタクライフを満喫したい方に向けた時間の過ごし方や情報を、アニメ大好きライターのハシビロコがお届けします。

うろ覚え『十二国記』

こんにちは、ハシビロコです!秋といえば食欲、芸術、そして読書。……いつもオタ活で網羅している気がします。

さて、先日『十二国記』18年ぶりの新刊が発売され、話題となっていましたね。友人やめるも編集部員Nがいろんな意味で号泣しておりました。

しかし私、『十二国記』に関してはまったくの素人。衛星アニメ劇場で放送されていたときもちらほら見ていましたが、当時小学校低学年だったため言葉が難しく……。

覚えているのは、かわいい声の少年とやたらいい声のネズミ、そしてポニテのお姉さんが出てきたことくらい。気になっていたものの、長編だったため二の足を踏んでいました。

読んだら秒で後悔した

アニメから約17年後にやってきた新刊発売の知らせ。そして紀伊国屋書店新宿店で遭遇した特別展示。……あ、これ完全にタイミングなのでは。

さっそく文庫版1巻を購入したところ、読み始めてすぐに激しく後悔しました。

「なぜもっと早く沼に落ちなかったのか」と。

『十二国記』を知らないなんて、人生半分以上損してたじゃん。みんなもっと早く教えてくれよ。

そこで私のような人を少しでも減らすため、初心者なりに『十二国記 月の影 影の海』の読書感想文をしたためました。古参ファンの方にはあたたかく見守っていただけたら……!

『十二国記 月の影 影の海』感想文:救いはない。それでも生きることはやめたくない。

ラスト1ページを読んだとたん、全身が粟立ちました。それは少女が王に、そして歴史になった瞬間。まるで走馬灯のように主人公・陽子の旅路が思い出され、「成長したなあ」と娘の成長を喜ぶ母のような気持ちになりました。私は独身ですが。

陽子はもともと、どこにでもいる高校生。親や友人の顔色をうかがい、波風を立てないように生きている、内向的な少女でした。優等生であろうとする姿は痛々しいほど。

正直なところ、上巻は読み返すのも苦しい……。冒頭は高校ならではの息の詰まるような閉塞感。むっとした空気がまとわりつき、すべてがスローに見えてしまいます。

しかし28ページでイケメン不審者・景麒が登場してから、物語が一気に加速しました。……主に悪い方向に。
強制的にわけのわからない契約を結ばされ、使ったことのない剣を与えられ襲い来る敵を倒せと無理難題を押し付けられる。「許す」なんて言わなければよかった。
日常を壊し、常識を壊し、そして価値観を壊す展開。それは無力な少女にはあまりにもつらいものでしょう。少なくとも私ならバッキバキに心と骨が折れます。

「次のページをめくれば救いがある……!」と読み続けるものの、いつまでたっても救いは来ない。裏切りに次ぐ裏切りに、陽子だけでなく私の心も疲弊していきます。なるほど人間不信になるはずだ。

ようやく光が差したのは、下巻で楽俊が登場してから。そう、子ども心に覚えていた声のいいネズミです(CV. 鈴村健一さん)。
足音の表現が「ほたほた」って……!200点満点!一家に一人楽俊がいたら世界が平和になるのに!

……失礼、あまりのかわいさに取り乱しました。

とにかく、楽俊の登場は衝撃的でした。陽子と同じように「どうせこいつも裏切るのだろう」と信じることをやめていたので。
そんな空っぽの心を満たしてくれたのが楽俊。「裏切られてもいいんだ」(下巻84ページ)と陽子に言わせるだけの善を、行動で示してくれました。


陽子だって、決して善人ではありません。盗みも殺しも嘘も、生きるために覚えて実践しました。
しかしなぜ生きているのかわからない。ただ、死にたくないから剣を手に取る。惰性で生きているともとられかねないこの思いは、共感できる方も多いでしょう。
(その点、オタクは生きる目的がはっきりしている気が。最終回を見るまで死ねない作品が多すぎる。)

だからこそ、陽子が将来を考えるときのセリフ「でもここでみんなの都合に負けて自分の生き方を決めたら、わたしは責任を負えない。だから、ちゃんと考えたい」(下巻214ページ)が心を打ちます。涙で蝕を起こせそう。
流されて生きてきた少女が、初めて自分で決めた道を進んでいく。これを応援せずにいられますか。私には無理です。

そしてラスト1ページ。物語の区切りは、思っていたよりもあっさりと描かれました。しかしその演出がまたニクイ。大河ドラマを見たあとのような、歴史のうねりを体感したような感慨深さ。作者は天才に違いありません。

救いのない展開が8割ほどを占めますが、読了後の気分はすがすがしい。これほどの名作を今まで手に取らなかったことを、激しく後悔したのでした。

座右の銘にしたいセリフ

最後に、作中でとくに胸を打たれた楽俊のセリフを紹介させてください。

「どっちを選んでいいか分からないときは、自分がやるべきほうを選んでおくんだ。(中略)後悔するなら、少しでも軽いほうがいいだろ」(下巻246ページ)

 

 

――オタ活するときの座右の銘にしたい。

 

投資への罪悪感が薄れまくり、『十二国記』のエピソード2『風の海 迷宮の岸』を買いに行くハシビロコなのでした。待ってろ泰麒(CV. 釘宮理恵さん)!


『十二国記』新潮社公式サイト
https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/


 

WRITER

  • ハシ ビロコ
  •        

  • アニメとドイツ語とハシビロコウを愛するフリーライター。アニメ好きの両親のもとに生まれたオタク2世で、幼少期はCCさくらとガンダムSEEDを見て育った。趣味でハシビロコウブログを運営中。

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