「スカーレット」40話。戸田恵梨香と北村一輝のちゃぶ台の攻防が熱い 

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(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)

連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第7週「弟子にしてください!」40回(11月14日・木 放送 演出・小谷高義)
これまで、家事をちゃっちゃと切り盛りしている感じでもなく、何をしてるのかいまひとつよくわからない母・マツ(富田靖子)であったが(百合子が赤ちゃんのときは産後の肥立ちが悪いということだったが、成長後も貧血を起こすなど病弱なのかなと思う)、喜美子(戸田恵梨香)のために、絵付けを教えてくれる会社を、大野陽子(財前直見)から聞いて、見つけ出す。
喜美子が大阪から成長して帰ってきて、家長第一の川原家もじょじょに変わっていくのかもしれず、その萌芽としてマツも自立心が出てきたというところか。

火に油を注ぐ結果に
とはいえ常治(北村一輝)が許すわけがない。そこでマツはお酒で酔わせていい気分になったところで説得する策に出るが、39回で、喜美子が薄めた酒だったため、作戦は失敗に終わる。
「火に油を注ぐことになった」とマツは肩を落とす。

このとき、水で薄めた酒だと気づいた直子(桜庭ななみ)が背後でわたわたして、喜美子も続けてわたわた、ジェスチャーゲームをするところが面白かった。一瞬無音になるところも。
もっといえば、常治と喜美子がやいのやいのいがみあっているとき、マツが思い切って割って入るときの決死の様子も良かった。

……思えば、その前に、常治がせっかく連れてきた縁談相手・宝田三郎(石田明)が、いきなり、他に結婚したい相手がいるからと謝って去ってしまい、タイミングが良くなかったと思われる。
「浅はか」 ではあるが、そんな人達が愛おしくなるのが「スカーレット」。

宝田三郎役のNON STYLEの石田明は、その後、「あさイチ」に出て、出番はこれだけであると笑っていた。

今日は間合いが面白い日だった
喜美子がフカ先生(イッセー尾形)の工房にお茶を替えに入り、熱心に作業する先生の背中をじーっと見るところのカメラの動きが喜美子の視線と心のように動いて、セリフがなくても楽しめる。

そして、ほとんど水の酒を飲む常治の後ろの娘たちのあたふた。怒った常治がまたちゃぶ台返しをしようとするのを必死で抑え込む喜美子の攻防。

マツと陽子が話していると、信作(林遣都)がやって来て、女の子が一緒で、なんともいえない空気になるところなども。
今週の演出は小谷高義。「母、帰る~AI の遺言~」(19年)の演出も手掛けた人物。リズム感の良い人だなと感じる。
もちろん、イッセー尾形の背中の芝居、戸田恵梨香のじわじわ変わる表情、富田靖子と財前直見のコミカルな芝居が良いからこそすべてがうまくまとまって成り立っているのだが。

いろいろあったが、マツのおかげで喜美子は決意をする。縁側でその話をするかと思えば、マツと直子、百合子と喜美子がつくったおはぎを食べながらにしようというマツの提案で、場所を室内に移動。一回、場面を変え、さらにおはぎという小道具を使うことで、単調さがなくなる工夫。ホームドラマは家の中という変わらない場所で延々しゃべっていて、退屈に感じることもあるが、理由をつくって家のなかを移動させることで回避できるという良い見本だ。いまどきの時短(働き方改革?)を考えたら同じ場所で一気に撮ってしまうほうが良いのだろうが、手間をかけているところに好感がもてる。

水の酒ではお父ちゃんの機嫌はよくならなかったが、甘いおはぎは女子たちの表情をうんっと和らげる。
考えを語る前にお茶を一口飲む喜美子。この動作もあるのとないのとでは全然印象が違う。

富田靖子、すごい
40回で俄然、富田靖子が輝きを増してきた。とりたてて何か役に立つわけではないが、生き物として魅力ある人物をみごとに演じている。無垢ながら、相手に反応するときの素早さは野生の動物のようである。大阪出身ではないながら関西弁を早くしゃべろうと心がけているように感じるから余計にそう感じるのかもしれないが、それがマツの懸命さ、可愛さにもなっている。どこか掴みどころがなく、でも何か強く純粋なものをもって、包容力もあり、ユーモアもあるマツの姿に、大林宣彦監督の「さびしんぼう」などに主演していたときの富田靖子を思い出した。常治も野性的だし、マツとふたり、どこか野生のつがいのような感じがする。理屈を超えた生き物としての強さを演じられることってすごいことだと思う。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめとあらすじ (週の終わりに更新していきます)
●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 絵がうまく金賞をとるほどの腕前。勉強もできる。とくに数学。学校の先生には進学を進められるが中学卒業後、大阪の荒木荘に就職する。やがて、美術学校に進学を考えるが、実家の経済事情の悪化により信楽に戻り、丸熊陶業で働くことになる。

川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいる。家に泥棒が入り、
喜美子の給料を前借りに行く。オート三輪を無理して買ったうえに捻挫して働けなくなって喜美子を呼び戻す。

川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。東京に行きたいと思っている。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉→住田萌乃

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。高校生になっても友達がいないが、楽しげな様子を書いた手紙を大量に喜美子に送っている。喜美子とは幼いときキスした仲。高校卒業後、京都の短大に進学予定。

熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。高校で友達は照子だけだったが、ラブレターをもらう。いつの間にかモテるようになり、祖母の死以降、キャラ変する。高校卒業後は役所に就職する。

大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。

●滋賀で出会った人たち
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を「ゴミ」扱いされる。

草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいた。帰国の際、離れ離れになってしまった妻・里子の行方を探している。喜美子に柔道を教える。大阪に通訳の仕事で来たとき喜美子と再会。大阪には妻が別の男と結婚し店を営んでおり、離婚届を渡す。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。

保…中川元喜  常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。
博之…請園裕太 常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。

城崎剛造…渋谷天外 丸熊陶業に呼ばれて来た絵付け師。気難しく、社長と反りが合わず辞める。
加山…田中章 丸熊陶業社員。
原下…杉森大祐 城崎の弟子。
八重子…宮川サキ 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。
緑…西村亜矢子 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。

深野心仙…イッセー尾形

●大阪で出会った人たち
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対するが、辛抱して彼女を一人前に鍛え上げたすえ、引退し娘の住む地へ引っ越す。女中の月給が安いのでストッキングの繕い物の内職をさせる。

酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。妹を原因不明の病で亡くしている。喜美子に密かに恋されるが、あき子に一目惚れして、交際のすえ、荒木荘を出る。

庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者で不規則な生活をしていて、部屋も散らかっている。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて俳優を目指すが、デビュー作「大阪ここにあり」以降、出演作がない。
静 マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。

平田昭三…辻本茂雄 デイリー大阪編集長 バツイチ 喜美子の働きを気に入って、引き抜こうとする。
不況になって大手新聞社に引き抜かれた。

石ノ原…松木賢三 デイリー大阪記者
タク坊…マエチャン デイリー大阪記者
二ノ宮京子…木全晶子 荒木商事社員 下着ファッションショーに参加
千賀子…小原華 下着ファッションショーに参加
麻子…井上安世 下着ファッションショーに参加
珠子…津川マミ 下着ファッションショーに参加 
アケミ…あだち理絵子 道頓堀のキャバレーのホステス お化粧のアドバイザーとしてさだに呼ばれる。

泉田工業の会長・泉田庄一郎…芦屋雁三郎 あき子の父。荒木荘の前を犬のゴンを散歩させていた。
泉田あき子 …佐津川愛美 圭介に一目惚れされて交際をはじめる。

ジョージ富士川…西川貴教 「自由は不自由だ」がキメ台詞の人気芸術家。喜美子が通おうと思っている美術学校の特別講師。
草間里子…行平あい佳 草間と満州からの帰り生き別れ、別の男と大阪で飯屋を営んでいる。妊娠もしている。

あらすじ
第一週 昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
第二週 昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。
第三週 昭和28年 喜美子15歳 大阪の荒木荘で女中見習い。初任給1000円を仕送りする。
第四週 昭和30年 喜美子18歳 女中として一人前になり荒木荘を切り盛りする。
第五週 昭和30年秋から暮にかけて。喜美子、初恋と失恋。美術学校に行くことを決める。
第六週 昭和31年 喜美子、信楽に戻り、丸熊陶業で働きはじめる。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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