田中美佐子、飯豊まりえらが、名作に新たな息吹をもたらす!タクフェス第7弾『流れ星』東京公演が開幕~ゲネプロ&囲み取材レポート

SPICE

2019/11/14 11:46



2019年11月13日(水)、サンシャイン劇場にてタクフェス第7弾『流れ星』東京公演が開幕した。本作は、宅間孝行が主催していた劇団「東京セレソンデラックス」の代表作で、2006年の初演、2009年の再演を経て、今回が3回目の上演となる。作・演出は宅間孝行。キャストは一新し、田中美佐子、飯豊まりえらを迎えて新しい作品へと生まれ変わっている。2019年10月17日(木)、栃木公演からスタートし、仙台や札幌、福岡と、全国各地を回ってきたカンパニーが、ついに東京でも公演をスタート。東京公演開幕に先立ち行われた囲み取材とゲネプロ(舞台総通し稽古)の様子をレポートする。
【あらすじ】
東京の片隅にある古びた下宿屋「徳秀館」。この下宿を営む星野謙作・夏子の熟年夫婦の関係は冷え切ってしまっていた。そんなある日、いつものように出かけた謙作は突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまう。
初七日を終えた夜、夏子の前に突然、魔法使いを自称するマリーという少女が現れ、夏子の願いを四つ叶えてくれるという。半信半疑の夏子だったが、人生をやり直すため、謙作と結婚をする前、昭和45年へタイムスリップをすることに。

囲み取材には、田中美佐子、飯豊まりえ、柳美稀、富田翔、三津谷亮、冨森ジャスティン、 川村エミコ(たんぽぽ)、松村優、越村友一、遠藤瑠美子、若林元太、ダンカン、宅間孝行が登壇した。



見所について尋ねられると、主人公・夏子の父を演じるダンカンは、「マスコミの皆さんの取材を受けるのは昨年の事務所騒動ぶりなのでドキドキしているんですけどね」と笑いを誘いつつ、「そんな中で(?)日本全国で公演をして盛り上がっている『流れ星』。ぜひ見て欲しいのは40代以上のご夫婦ですかね。長い間夫婦をやっていて、お互いを空気のように感じている方が見てくださったら、翌日から、ご夫婦の第二章が始まるはずです」と、作品の中心となる夫婦の関係性に言及した。

作・演出に加え、夏子の夫となる星野謙作を演じる宅間は、「今回の再演では、美佐子さんがやりたい放題やってくれている。大女優なのにこんな生き恥晒していいの?みたいなことをたくさんやっているので、お客さんもびっくりしている。本当に弾けてくれてるし、締めるところは締めてくれる。そんな美佐子さんを、最年少のまりえが手綱を握っている感じで。普通逆なんですけど、そのコンビが見所ですね」と、主人公を演じる田中と、ストーリーの鍵を握る飯豊を絶賛。

それを受けた田中が「すごくリアルな、冷え切った夫婦のお話。ここまできたら終わりじゃない?っていうとこから始まるので、自分がこうなったら嫌だなという思いがあった。でも、その中になぜかメルヘンが入っていて、まったく違和感がない。魔法使いが出てきても現実として受け止められるストーリーになっています。あんまり宅間さんを褒めたくないんですが(笑)、この脚本は実によくできてて。こんな脚本を書ける人は中々いない!」と物語を称賛すると、宅間が「なんでもっと稽古中に言ってくれないんですか!」と抗議をするなど、作中の二人とは違う、息の合った漫才のようなやりとりを披露してくれた。また、「メルヘンがあっても自然とお話に入っていけて、自分を投影しながら観られる。私もすごく勉強になることがたくさんありました」と、ファンタジーの要素がありつつ、多くの方が親近感を覚えられる物語だということをアピールした。



続く飯豊が「日常に当たり前のことってないんだなと気づかせてくれる作品。私は両親にこの舞台を見せたいなって思います。家族みんな、温かい気持ちになれる作品です。あと、宅間さんが健作を演じるのは最後ということなのでそれも見に来ていただきたいですね」と話すと、川村も「夫婦間もそうですけど、私みたいに独身でも、家族や友達など、手に届く範囲の人を大事にしたい、思ったことはその時言わなきゃいけないな、と思える本当に素敵な作品なので、みなさん見に来ていただきたいなと」と、人と人の繋がりや愛情といった作品のテーマに触れて見所を語ってくれた。

その後、川村が「ただ私、どうしてもアパホテルの社長感が……」と自らのビジュアルに言及し、カンパニーと取材陣から大きな笑い声が上がると、宅間は「みんな70年代のファッションや髪型なのでそこも楽しんでもらえると思います」と、ノスタルジックな衣装にも自信を覗かせる。実際、レトロなワンピースに身を包む川村、カラフルなヒッピーファッションが目を引く冨森と遠藤、ベルボトムの三津谷や松村など、時代を反映するオシャレなファッションも見どころの一つだ。



次に、マスコミによる質疑応答が行われた。

――今回は宅間さんの演出ですが、みなさんどうですか?

宅間:みんなそれしか聞かない(笑)。

田中:え、それ答えるの?(笑)。

ダンカン:すごい厳しいよ。怖くて厳しい先生だけど後になっても記憶に残るみたいなのってあるでしょう。その現代版っていうのかな。心に刺さりますよ。

田中:噂で聞いていた通り、厳しい方だなというのはありました。あと、こうるさいです。生まれて初めて息継ぎまで教えていただいたんですよ。家帰ってから主人に向かって「あんなとこ息継ぎしちゃいけないの!?」ってキレた(笑)。でも、それをやってみると上手くいく。舞台の経験が少ないのでそういう初歩から教えてもらいました。

飯豊:大きな舞台に出演するのは初めてです。厳しいイメージが強かったんですけど、すごく愛があると思ったし、自分で悔しい部分があって泣いてしまったこともあったけど、宅間さんが「(舞台を通して)たくさんのお土産を持って帰って欲しいから」って優しい言葉をくれて。みんな大好きです!。

宅間:ここで何て言うかって相談してるんですよみんな(笑)。厳しくないって言うと乗り越えた感ないよねーみたいな。厳しいって言わないと宅間さん厳しくないって今後舐められますよ!みたいな。記者会見では厳しいでいきましょうって(笑)。

川村:宅間さんは器用な方なので、全員分できるんです。だからもう宅間さんが全部やればいいと思ってました(笑)。丁寧に、伝えたいことを真摯に伝えてくれます。ただちょっとお口が悪いです(笑)。



――飯豊さんの初舞台について、「なんの色もついていないからいい」というお話をしていましたが、稽古を通じての印象は。

宅間:相当びびって入ってきたみたいなことを言っていたけど、意識がすごく高い。最初は声も出なくて正直心配だったし、稽古場に早く来るわけでも残るわけでもないからやる気あるのかないのか……と思ってたんですけど、ちゃんと言ったことをやってくるんです。多分影で相当やってたんでしょうね。稽古中はどんどん良くなっていくんですよ。美佐子さんが結構いい加減なので、まりえ頼んだぞみたいな。やってもらいたい演出の方向性もすっとやってくれた。21歳の初舞台の女優なので、もしかしたら不安に思っている人もいるかもしれないけど、みごとに裏切ってくれると思います!

――楽しみにしている皆さんへ一言お願いします。

田中:本当に素敵なお話で、夫婦の方だけでなく、これから結婚する方、結婚に夢を持っている方、いろんな人に見てほしい。私は自分が出ていない時、袖で見ているんですけど、本当に涙が出るくらいみんな一生懸命やってる。みんながこの時代に必死に生きている姿にいつも胸を打たれているし、それで私も頑張れる。みんなが一生懸命生きている姿が客席からも見えると思うので、ぜひみなさんに来てほしいと思います。

次に、ゲネプロの様子をお届けしよう。
※以下公演の写真あり。

まずは三津谷と遠藤が登場し、物語の舞台やセット、楽しみ方の説明をしてくれる。この部分は写メタイムとなっているため、最初は携帯の電源ONにしたままで、二人の前説を楽しもう。

本編は2010年、夏子(田中美佐子)と謙作(宅間孝行)のギスギスとした日常からスタート。
愛情を一切感じさせない夏子の態度と、歩み寄ろうとするも相手にされない謙作の姿に、冒頭からハラハラさせられる。哀愁漂う謙作の姿に、思わず同情してしまう方や、自らの過程を省みる方も多いのではないだろうか。だが、どこかの家庭で実際に起こっていそうな日常の中に、突如魔法使いのマリー(飯豊まりえ)が現れると、物語は大きく動き出す。



このマリー、ファンタジーなステッキとSFちっくな服装、かわいらしい見た目とは裏腹に、サバサバとした話し方なのがクセになる。登場人物たちの心に切込み、時にはアドバイスをして、場を明るくする魅力たっぷりな魔法使いだ。
また、「人生をやり直したい」という願い通り時間を巻き戻した先で、若い頃の自分(柳美稀)や、初恋の人である中富先生(三津谷亮)らを見て大はしゃぎする夏子と、諫めようと奮闘するマリーのやりとりはテンポが良くて楽しい。





爽やかな好青年の先生をはじめ、就職活動に勤しむ一平くん(松村優)、詩人の田渕兼子(川村エミコ)、東大を目指して浪人を続けている駒村さん(若林元太)、ヒッピーのカップル・ボン(冨森ジャスティン)と小田ヨウコ(遠藤瑠美子)など、下宿の住人はみな個性豊かだ。さらに、借金の取り立てにやってきた星野謙作と、謙作の弟分である内藤ヨージ(富田翔)、タイムスリップしてきた現代の夏子とマリーも仲間入りし、ますます賑やかになる。







大真面目な顔でおかしな挙動を見せる駒村、テンション高くラブ&ピースを宣言するボンとヨウコなど、インパクトの強い登場人物による笑えるシーンが目白押しだが、中でも兼子による詩の朗読会は抱腹絶倒間違いなし。彼女が朗読する詩と、それを受けたキャスト陣の反応に、ゲネプロでありながら客席からは大きな笑い声が上がっていた。ここで客席を笑いの渦に巻き込んでおきながら、その後は一気に切ないシーンに変わる緩急の付け方もにくい。ヨージの話にぐっと心を掴まれ、彼がなぜ謙作を慕っているかが理解できるとともに、見ているこちらもどんどん謙作を好きになっていく。





また、先生への恋を叶えるために奔走する夏子とは裏腹に、なぜかマリーは謙作に協力的。その理由、後半の流れはネタバレになるため伏せるが、不器用で言葉足らずで純粋な人々の姿は涙なしには見られない。マリーの正体、夫婦に起きた奇跡の結末は、ぜひその目で確かめて欲しい。

東京公演は2019年11月13日(水)~24日(日)まで。その後、名古屋(11月28日(木)~12月1日(日)ウインクあいち)と大阪(12月4日(水)~8日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)でも上演される。



また、全日程で開演前の「ふれあい」があるほか、日程限定で終演後にアフタートーク、ダンスタイム、徳秀館見学会(ミニトーク&バックステージツアー)も行われる。それぞれ、日程や参加キャストは公式HPをチェックしよう。

取材・文・撮影=吉田沙奈

当記事はSPICEの提供記事です。

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