強烈な感情が自分をつくる。理屈を追いかけても自分は見つからない

日刊SPA!

2019/11/13 15:50

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第134回

ロバート・アンソニー著 『自信エネルギー開発法』(日本教文社)という自己啓発書がある。「自己信頼」をテーマにして目標設定や人間関係、時間管理について説いた内容だ。この本の序章にこんなくだりがある。

「なにが私たちを羊のように互いの後に従わせるのだろうか。例えば、なぜ人は結婚するのか。なぜ学校を卒業すると住まいを構えるのか。友達と同じことを同じ時にしようとするのはどう言うわけか。自分にとってそれは今必要なことではないかもしれない。もしかしたら、もっと前にすべきことだったかもしれないし、永遠に不必要なことかもしれないのだ。羊の群れから離れ、仲間と違ってしまったと自分を責めることはない。神から与えられた人間としての権利を主張し、盲目的協調や画一化によって人生が汚されることを拒むなら、私たちの悩みははるかに軽くなるだろう」

このくだりを読んだ時、中学生だった私はとても心を揺さぶられた。ごく当たり前に学校に通っていた私には、「周りと同じことしなくてもよい」という発想が微塵もなかったからだ。それ以来、自己啓発書をよく読むようになり、さらに二十年以上経って自分が「人生を変えるマインドレコーディング」と言う自己啓発書を書くことになった。

自己啓発は自分を知るためにある。では、ここでいう自分とは何か。それは感情だ。強烈な感情を体験すると、それが自分の価値観になり、その後の行動や発言が規定される。もちろん、この仕組みがプラスに働くとは限らない。勇気は勇敢な自分を生むが、恐怖は臆病な自分を生むからだ。大切なのは、自分の感情を自覚できていることだ。

どんな感情も次第に薄れていく。どんな感動も、一週間や一ヶ月や一年といった時間が経つと、「そんなこともあったな」とフラットになる。しかし、それは感情がなくなったわけでも、その影響がなくなったわけでもない。フラットになった感情は潜在化して、自分でも気づかない心の奥から、自分の言動を規定するのだ。

ただ、感情はコントロールが難しい。いきなり「怒れ」と言われても怒れないし、「悲しめ」と言われても悲しめない。これは仕事やスポーツで、「やる気を出せ」とか「情熱を持て」と言われても、「はい、わかりました」とは行かないことに通じる。

◆どうすれば自分の感情を自覚できる?

では、どうすれば自分の感情を自覚できるのか。そのためには、感情そのものではなく、その感情を体験した状況を思い出すことだ。そうすれば、その時の感情が自然と浮かんでくる。たとえば私の場合はそれがたまたま自己啓発で、「中学生の時に『自信エネルギー開発法』を読んだ」という状況だった。感情には原風景があり、焦点を当てるべきは感情そのものではなく原風景なのだ。

心はとても繊細微妙だ。「感情を思い出そうとする」のか「感情を体験した状況を思い出そうとする」のかで結果が変わってしまう。仕事でも趣味でもかまわない。あなたが長続きしていることを振り返ってみてほしい。きっと強烈な感情と、その感情を取り巻く状況がきっかけとしてあるはずだ。この感覚がわかるようになると、「前りよも自分のことがわかるようになった」と思えるようになる。

「自分とは何か?」という問いに決まった答えはない。たとえば感情ではなく、「自分は大学生だ」とか「自分は会社員だ」といった肩書きを答えにすることもできる。しかし、そうした「自分がすでに知っていること」を答えにしても発見はない。「知りたい」というのは「知らないことを知りたい」ということであり、そして自己啓発に関しては、感情に着目すると発見しやすい。ぜひ意識してみてほしい。理屈だけを追いかけていたのでは、見えないものが見えてくるはずだ。

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

【佐々木】

コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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