まつ毛美容液の副作用が問題に。危険なのか眼科医に聞いてみた

女子SPA!

2019/11/13 15:46

 まつ毛美容液といえば、まつ毛を長く・太くしたい女性にとっては必須アイテムの1つですよね。筆者も数年間、とあるまつ毛美容液を愛用していました。

しかし、2019年8月8日、国民生活センターが「まつ毛美容液による危害が急増!-効能等表示の調査もあわせて実施-」という調査結果を発表。PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)に、まつ毛美容液を使用して目の周りが腫れたなどの相談が、2015年度以降381件寄せられていたというのです。2018年度は相談が急増し、眼科医で角膜潰瘍の診断を受けたという事例もあったとのこと。

これには、他人事ではないと不安を覚えた女性も多かったのではないでしょうか。筆者自身もこの調査結果を知ってから、まつ毛美容液を使用することが不安になり、今では使用をやめています。安心して使用できるまつ毛美容液を選ぶためにはどうすればいいのか、冨田実アイクリニック銀座の、医学博士・日本眼科学会認定眼科専門医、冨田実院長にお話を聞きました。

◆まつ毛美容液による副作用とは

――まつ毛美容液を愛用しているという女性の中で、調査結果の報道後、不安から使用を一切しなくなった人も多いと思います。まつ毛美容液によって実際に副作用が発生した場合、どういった症状が考えられるでしょうか。

冨田実院長(以下、冨田):まつ毛美容液の主な副作用としては、まつ毛が抜ける・結膜炎・角膜炎・アレルギー症状などが見受けられます。

化粧品に分類されるまつ毛美容液は、個人でも購入できるため、含まれている成分や副作用の確認については、購入した個人の責任が大きくなってしまいます。使用上の注意事項や副作用の有無、配合されている成分などをすべて理解して使用している人は少ないでしょう。使用中にどのような副作用が現れて、何が原因になっているのかを特定しづらいところが怖い所です。

また、効果がはっきりしない商品も多く、とくに海外からの輸入品には、化粧品として販売できない成分が含まれていたり、同じ成分でも質の落ちるものが使用されていたりするものもあります。使用する人は、化粧品という認識で、おしゃれの一環として気軽に購入されていると思いますので、そこが最も危険性を感じる部分になります。

◆副作用を引き起こすまつ毛美容液の成分は?

――市販のまつ毛美容液は、気軽に購入できるだけに危険性も高いのですね。具体的に、まつ毛美容液に含まれる、どの成分から副作用は引き起こされるものなのでしょうか。

冨田:医薬品に分類される睫毛貧毛症(※まつげひんもうしょう)の治療薬には、ビマトプロストという成分が含まれています。この成分を含む製品は、医薬品扱いになりますので、国内では化粧品として販売することはできません。ここが、化粧品と医薬品の大きく異なる部分です。

ビマトプロストが配合されている睫毛貧毛症の治療薬は、もともと緑内障の治療薬をヒントに開発されたものです。緑内障の点眼薬は、眼圧を下げる効果がありますが、開発の途中で睫毛が成長する副作用が確認され、これを応用して睫毛貧毛症の治療薬として改良されました。医薬品に含まれるビマトプロストは、メラニン色素を増加させて、虹彩(黒目)の色が濃くなることがあります。また、薬を塗った周辺部の皮膚に色素沈着が見られることもあり、目の充血や痒みなどの症状が現れることもありますので、医師の指導の下で使用する必要があります。

一方で、市販されているまつ毛美容液は、植物エキスや海藻エキス、潤い成分、タンパク質成分などが配合されています。医薬品と比較すると効果は弱くなりますが、価格的にも安価で、通販などでも手に入れられますので、気軽に使用できる利点があります。

しかし、海外から個人で購入した場合は、ビマトプロストが含まれているまつ毛美容液もあり、医薬品と同様の副作用が現れることが考えられます。また、化粧品には防腐剤やエキスなどが含まれているため、防腐剤による目の充血、炎症、痛みといった副作用が生じることがあります。主な防腐剤としては、エタノールやパラベンなどですね。人によっては、含まれているエキスでアレルギー症状が出る場合もあります。

※睫毛貧毛症(まつげひんもうしょう):異物の侵入から目を守ってくれるまつ毛が、不足していたり、不十分な状態のこと。まつ毛ケアによるダメージや、加齢や皮膚疾患、抗がん剤などの副作用などによって、発症することがある

◆安全なまつ毛美容液を選ぶコツは

――安全に使用することができて、なおかつ効果のあるまつ毛美容液を選ぶことはなかなか難しそうですね。選ぶコツを教えてください。

冨田:安全に使用することに着目するのであれば、医師によって処方される医薬品を選ぶことです。含まれている内容も成分表に記載がありますし、効果や副作用についても記載されています。また、万一のトラブルにも対応できますので、安心感も違うと思います。

また、パッチテストをしてから使用するという方法もあります。パッチテストとは、使用する化粧品や薬剤でアレルギー反応や炎症、かぶれなどの症状が出ないかを、あらかじめチェックする方法です。使用したいと思っているまつ毛美容液を綿棒に取り、腕の内側に10円玉程度の大きさに塗布します。一定の時間が経過して、赤みなどの症状が現れたら、そのまつ毛美容液は、お肌に合わないということです。

どの美容液にも似たような成分が入っているので、自分に合ったものを見つけるのは難しいと思いますが、簡単にできるチェック法です。ただし、お肌の状態にも個人差があるので、誰にでも100%安全と言いきれるわけではありません。市販のまつ毛美容液を購入する際は、配合されている成分を確認できる物を使用し、海外製品など内容が不明なものは避けた方がよいでしょう。

◆市販のまつ毛美容液を使用せず、病院を受診した方がいい基準は

――パッチテストでしたら誰にでも試すことができますもんね。市販のまつ毛美容液を使用せず、病院を受診したほうがいい基準などはあるでしょうか。

冨田:基本的には、医師によって処方される医薬品のほうが安心度は高いです。とくに、アトピー性の疾患をお持ちの方、肌が弱い方、薬剤に対してアレルギー症状をお持ちの方などは、市販のまつ毛美容液はトラブルが起こりやすいと思います。普段市販のまつ毛美容液を使用している方も、皮膚に異常を感じたら、使用を中止して医師に相談されることをおすすめします。

目の周りは、皮膚が薄いので、お肌の中でも非常に敏感で弱い部分になります。そのため、本来はお肌にいいはずの化粧品であっても、赤みが生じたり、炎症を起こしたりすることがあります。

化粧品に分類されるまつ毛美容液でも、効果が強いものや、刺激が強いものを使用すると、お肌にトラブルが起こる可能性は否定できません。お肌の弱い方向けに、敏感肌用化粧品などがありますが、それでも赤みやかゆみが生じることもあります。お化粧品を使いはじめるのも低年齢化してきていますが、マツエクや着けまつ毛などは、まつ毛にダメージを与え、睫毛貧毛症の原因にもなりますので、根本的な知識を持つことが大切だと思います。

――貴重なお話を誠にありがとうございました。

意外なことに、まつ毛美容液を使用する際に、必ずしも医療機関の受診が必要とは限らないようです。だからこそ、市販のまつ毛美容液を使用するのであれば、自分に合うまつ毛美容液を選択し、違和感が生じた場合は、すぐに使用をやめる判断をできることが必要ですね。

<冨田実院長プロフィール>

1972年に大阪府生まれ。医学博士・日本眼科学会認定眼科専門医、冨田実アイクリニック銀座院長。1998年に愛知医科大学を卒業後、関西医科大学附属滝井病院で眼科研修医となる。1999年に関西医科大学大学院に入学し、2003年に修了した後、米国ハーバード大学眼科にフェローとして留学する。2005年にはハーバード大学スケペンス眼研究所で最優秀論文を受賞。2005年に帰国し、国内外の学会での活躍、2014年に東京都中央区に冨田実アイクリニック銀座を開設する。

<文/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】

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