日本でイスラム教徒にハラル給食を出すのは困難? 現状では仕方ないと思われる5つの理由

しらべぇ

2019/11/12 10:30




いま、日本に住むイスラム教徒(ムスリム)に、イスラム教の教えに対応した「ハラル給食」を提供しないのは不寛容ではないかという話題が盛り上がっている。

確かに宗教上の理由で子供が給食に出た特定の食品が食べられないことは気の毒に思えるが、アラブ人やムスリムの知人が数名おり、子供を持つ記者(私)は、かわいそうだけど出すのは難しいだろうな…と正直感じている。

実際にそう感じたのはアラブ首長国連邦に取材へ行ったり、アラブ人にムスリムについて詳しく話を聞いた結果思ったことなのだが、なぜそう思ったのかを5つの理由に分けて説明したいと思う。ちなみに、あくまでこれは記者個人の考えを書いたコラムであって、媒体の考えではない。

(1)その他の宗教にも配慮しなければいけない


ムスリムのみハラル給食を提供するのであれば、ヒンドゥー教やユダヤ教など、食べられないものがあるその他の宗教に配慮する必要がある。たとえばユダヤ教では「コーシャ」という厳しい基準が存在する。

ムスリムが増えていることによりハラル給食の是非を問われていることはわかるのだが、特定の宗教を優遇することで他の宗教を信仰している人に不満が出てくるのはあまり良い選択とは言えないだろう。


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(2)豚肉や酒を使わなければいいワケではない


イスラム教では豚肉とアルコールを摂取禁止というのは多くの日本人が理解していると思うが、単純にそれを出さなければいいワケではない。

おなじムスリムでもたとえば「固形の豚肉を食べなければOK、アルコール調理で飛んでいても酔わなければOK」という人もいれば、「豚肉に触れた調理器具で料理したものはすべてNG」という人もいる。

また、少数派だがムスリム以外が調理した物は食べられない(もしくは手袋をつけて調理が必須)場合もあるので、すべてのムスリムが食べられる給食を作るには専用の調理場や人員が必要になり、給食費の値上げなどに繋がってくるからだ。

(3)ほかの食材も将来的にNGになる可能性


もしハラル給食が全面的に普及したとすると、次に問題になるのが豚肉やアルコール以外の食材もNGになること。例をあげると日本人はあまり知らないかもしれないが、イスラム教では肉食獣を食べられない人も多い(イノシシもNG)。

そのため、一部の地方で提供されている狩猟肉を用いた日本料理も給食で出せなくなる可能性もあり、日本文化を給食で子供が学ぶことができなくなるかもしれない。

(4)給食以外の配慮で教育に影響が出る可能性も


現在は給食の問題が上がっているが、イスラム教では特定の時間に礼拝をしたり、年1回のラマダン(断食月)などがあり、ラマダンの月には日中断食をしなければいけないムスリムに体育の授業を見学してもいいとなっている学校もあるという。

たとえば日が上がる前に朝食を食べてもらい、体育の時間を1限目にするなどであれば問題ないと思うが、ムスリムが多い地域などで多くの児童が体育を1ヶ月見学になった場合、他の児童の指導にも少なくない影響は出てしまうはずだ。

(5)まずは給食以外でできることがあるはず


否定的な意見ばかり上げてしまったがその理由のひとつとして、まずは給食以外でもできることがあるはずだと考えていることもある。

たとえば給食センターや学校は原材料がすべてわかる献立表を事前に送り、親が確認して家庭で調理したもの、手間がかかるならハラルの冷凍食品やレトルト食品を使って食べられないメニューの代替として持たせるのはどうだろうか。

ほかにも日本にはハラル対応の料理店はあるので、その店と協力して子供にお弁当を作ってあげるなど、いまの給食制度を変えずに上手くやる方法はいくつもあると思う。

■これから皆が考えなければいけないテーマ


以上が記者がそう考えた理由だ。確かに配慮は必要だが、それによりムスリムでない子供たちに影響が出たり、教育費の値上げに繋がるのはムスリム以外から反発が出ても仕方ないことではないだろうか。

また、ムスリムと結婚した場合はイスラム教に改宗する必要がある場合も多いので、今後日本人のイスラム教徒も増えてくると思われる。

そうして数世代後、逆にいままでマジョリティだった非イスラム教徒の日本人がマイノリティになったとしたら、その人たちがどうなるのかも考えなければならない。

■アラブ人にも意見を聞いた


ちなみに、外国人が住民の多くを占めるアラブ首長国連邦に住む20代のUAE人男性にこの話を聞いてみたところ、「日本の学校の方針で決めるべき」と、そんな問題が起きていること自体を不思議がっていた。

確かに彼の住むドバイだとスーパーの見えない場所に豚肉売り場があったり、許可制で酒類を売ったりと最低限の配慮はしているが、元々いるUAE人の生活に影響が出るレベルの配慮はしていないし、する必要もないと考えているのだろう。

日本人は他国の人と比べて配慮することが多いかもしれないが、彼の言うように日本が方針を決め、できることとできないことをしっかり伝えないと、あとでさらに大きな問題が起こる可能性もあるのではないだろうか。

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(文/しらべぇ編集部・熊田熊男

当記事はしらべぇの提供記事です。

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