「スカーレット」36話。絵の学校を諦めた喜美子だったが、火鉢の絵付けの仕事に出会う

エキレビ!



(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)

連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

喜美子、絵付けに興味をもつ
「空が明るい」
「夕焼けや」
「空襲や」
「花火ちゃうん」

喜美子が帰ってきたため、直子(桜庭ななみ)の空襲トラウマがまたあらわれる。
こわい夢を見たとおびえる直子と、手をつないで寝ようと言う喜美子。百合子(住田萌乃)もいっしょに。三人姉妹がぎゅっと布団のなかに固まって。
「3人でいるときは子供でええよ」と言う喜美子はまるでお母さんみたい。
父母がダメだと長女がしっかりしてしまう。共同体とは補い合うようにうまくできているものだ。

「楽しいこと好きなことええこと考えながら寝なさい」
と言ったものの、喜美子は火鉢の絵付けをはじめて見て興味津々で眠れなかった。

三人姉妹のいい感じの夜が明けて、その後の喜美子が絵付けをやりたいと思いはじめる流れには、単調にならない工夫がされている。

まず、喜美子は照子(大島優子)に絵付けについて尋ねる。
その途中、就職にあたり、スーツをつくってもらった信作(林遣都)が現れ。自慢をはじめたり、酸っぱい飴を出してきたりして喜美子の話を邪魔する。
林遣都の出番を作りつつ、幼馴染のきのおけない感が存分に滲む。
喜美子は信作の話を無視してさっさと自分の話に戻すと、照子が絵付けの工房につれていってくれる。そして、デザイン画を見ることができた。
いまは、絵のついた火鉢が高級品として売れていると信作が説明する。だからこそ、丸熊陶芸は繁盛していて、喜美子を雇う余裕もあるのだろう。

話はトントン拍子に進む。こわい親方・城崎(渋谷天外)が社長とうまくいかずやめることになった。
ここで、いったん、喜美子が家路につき、でもどうしても絵付けに興味があって会社へと引き返す。
そして思い切って、絵付けのしごとをしたいと相談するが、照子は女はやったことがないから無理だと頭ごなしに否定。でも婦人警官だって最初は男のものだったじゃないかと喜美子は粘る。実際、丸熊陶芸にだって、女性が就職できるようになっているのだから、可能性はないはずない。

折れた照子を、喜美子はぎゅーっと抱きしめる。
「おれも」と信作までぎゅー。でも信作は邪険にされる。照子と喜美子の関係性のなかには信作は入れない。ここにもそこはかとなく、男女差がある。まだ未成年とはいえ、やっぱり女の子同士のぎゅーと、男の子と女の子のぎゅーは違うのだ。

こうして絵の勉強を諦めたはずだった喜美子に、再び、絵に関係する新たな道がみつかって大喜びしたものの、作業場にはまたこわそうな人(イッセー尾形)が……。で、つづく。

第六週は毎日、しっとりと小説のような週だったが、予告を見ると、第七週は、ちや子(水野美紀)との再会、結婚話、常治(北村一輝)のちゃぶ台返しとにパッションありそう。

しっとりした話、落ち着いた画調、ドイツで録音したらしい劇伴…でついついいい気分になるが、よく考えてみると、喜美子は女中がいやで新聞社に入ろうとしたが入らなくて結果オーライだったし、絵の学校を諦めたらすぐに絵のしごとができそうだし、とやっぱり朝ドラヒロインあるあるの恵まれた人生を送っているのだ。「しおらしさ」をちょっとプラスするだけで受け取られ方はだいぶ違う。これがテクニックであろう。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめとあらすじ (週の終わりに更新していきます)
●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 絵がうまく金賞をとるほどの腕前。勉強もできる。とくに数学。学校の先生には進学を進められるが中学卒業後、大阪の荒木荘に就職する。やがて、美術学校に進学を考えるが、実家の経済事情の悪化により信楽に戻り、丸熊陶業で働くことになる。

川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいる。家に泥棒が入り、
喜美子の給料を前借りに行く。オート三輪を無理して買ったうえに捻挫して働けなくなって喜美子を呼び戻す。

川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。東京に行きたいと思っている。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉→住田萌乃

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。高校生になっても友達がいないが、楽しげな様子を書いた手紙を大量に喜美子に送っている。喜美子とは幼いときキスした仲。高校卒業後、京都の短大に進学予定。

熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。高校で友達は照子だけだったが、ラブレターをもらう。いつの間にかモテるようになり、祖母の死以降、キャラ変する。高校卒業後は役所に就職する。

大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。

●滋賀で出会った人たち
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を「ゴミ」扱いされる。

草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいた。帰国の際、離れ離れになってしまった妻・里子の行方を探している。喜美子に柔道を教える。大阪に通訳の仕事で来たとき喜美子と再会。大阪には妻が別の男と結婚し店を営んでおり、離婚届を渡す。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。

保…中川元喜  常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。
博之…請園裕太 常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。

城崎剛造…渋谷天外 丸熊陶業に呼ばれて来た絵付け師。気難しく、社長と反りが合わず辞める。
加山…田中章 丸熊陶業社員。
原下…杉森大祐 城崎の弟子。
八重子…宮川サキ 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。
緑…西村亜矢子 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。

深野心仙…イッセー尾形

●大阪で出会った人たち
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対するが、辛抱して彼女を一人前に鍛え上げたすえ、引退し娘の住む地へ引っ越す。女中の月給が安いのでストッキングの繕い物の内職をさせる。

酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。妹を原因不明の病で亡くしている。喜美子に密かに恋されるが、あき子に一目惚れして、交際のすえ、荒木荘を出る。

庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者で不規則な生活をしていて、部屋も散らかっている。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて俳優を目指すが、デビュー作「大阪ここにあり」以降、出演作がない。
静 マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。

平田昭三…辻本茂雄 デイリー大阪編集長 バツイチ 喜美子の働きを気に入って、引き抜こうとする。
不況になって大手新聞社に引き抜かれた。

石ノ原…松木賢三 デイリー大阪記者
タク坊…マエチャン デイリー大阪記者
二ノ宮京子…木全晶子 荒木商事社員 下着ファッションショーに参加
千賀子…小原華 下着ファッションショーに参加
麻子…井上安世 下着ファッションショーに参加
珠子…津川マミ 下着ファッションショーに参加 
アケミ…あだち理絵子 道頓堀のキャバレーのホステス お化粧のアドバイザーとしてさだに呼ばれる。

泉田工業の会長・泉田庄一郎…芦屋雁三郎 あき子の父。荒木荘の前を犬のゴンを散歩させていた。
泉田あき子 …佐津川愛美 圭介に一目惚れされて交際をはじめる。

ジョージ富士川…西川貴教 「自由は不自由だ」がキメ台詞の人気芸術家。喜美子が通おうと思っている美術学校の特別講師。
草間里子…行平あい佳 草間と満州からの帰り生き別れ、別の男と大阪で飯屋を営んでいる。妊娠もしている。

あらすじ
第一週 昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
第二週 昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。
第三週 昭和28年 喜美子15歳 大阪の荒木荘で女中見習い。初任給1000円を仕送りする。
第四週 昭和30年 喜美子18歳 女中として一人前になり荒木荘を切り盛りする。
第五週 昭和30年秋から暮にかけて。喜美子、初恋と失恋。美術学校に行くことを決める。
第六週 昭和31年 喜美子、信楽に戻り、丸熊陶業で働きはじめる。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

当記事はエキレビ!の提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ