偽造した時間が縛る、ずっと真夜中でいいのに。「秒針を噛む」の意味

UtaTen

2019/11/10 15:00

偽りの生活




“生活の偽造”

このフレーズが意味するものは、表面上は何も問題は無いが、お互いの気持ちが全く通じ合っていない二人の関係を指している言葉だといえる。

本来、生活を共にするということは、お互いのプライベートをある程度共有する行為であり、其々の心を通わせて成り立つものである。

だが、この二人の関係は、お互いに心を閉ざしながらも、表面上は心を通わせた姿を偽った生活をしている。

見せた泣き顔とは真逆の感情を持つような、本当の事は隠して偽造し続けている事実をお互いに分かりながらも、イマの関係を壊すことが出来ずに、ただいつも通り過ぎていく事を待っている関係なのだ。

お互いの想いが通じ合っているフリを積み重ね続ける二人の心の中には、嘘に固められた本当の気持ちが延々と溜まっていってしまう。

その真実を伝えたい想いはあるが、現状を変える勇気もキッカケもない自分には、伝えるだけの資格もないと今日も塞ぎこんでしまうのだ。



無駄に過ぎて死んでいった時間が灰となり溢れ、イマを進む時間を見えなくさせてしまっている。

その灰に潜って、進む時間を止めて壊して、全てを無かったことにしたいが、現実はただ無情に進み続けてしまうことが、ここで唄われている。

ただ、本当に届かない嘘の時間が流れて止められないまま、イマを生きるしかないのだ。

ここでは、イマを流れ続ける偽りを、全て忘れてしまいたいと願う想いがストレートに伝えられている。

お互いに本当に共有できたものが一つもない現実を、そこに至ってしまった事実丸ごと忘れてしまいたい。

その願いの裏にあるのは、偽造した想いに対する限界と、それでもそこから動くことのできない、どうしようもない想いなのである。

このままでは




出会ってすぐの頃はまだ、お互いの事を意識して、心を通わせていたことを、この人物は認識している。

その事実があったことが、もしかしたら関係が元に戻るかもしれないという、淡い希望となって、幕を下ろす決断を惑わせてしまっているのだ。

その後遺症の様な光は、もし、あの時から既に偽りの想いであったかもしれないという疑いの中からも希望を導きだそうと働きかけているのである。

下らないもしもや、こうなった原因を、外部からの情報が届かないほどに内部であれこれ考え続ける自分にだけは、どうか気づいてほしくない。

その想いの意味は、みっともない自分を見せたくない事だけじゃなく、それが意図しないタイミングでバレてしまえば、元になんて戻れず、イマの関係が、予想している最悪の形に向かうことが分かっているところから来ているのであろう。

自分の内部で考え続けて、反省を繰り返しても、時間が止まってくれることはない。

しかしこの人物は、偽りの時間を止める方法には気づき出している。

本当を隠し続け、相手も自分の心も全てを騙し続けた演技を止めれば、その秒針は簡単に壊れることを。

夜は明けていく。




たとえ一方的に激昂しても、たとえ無様に感情をぶつけても、二人が偽ってきた時間が途絶えることはない。その結果離れ離れになってしまっても、空虚な秒針は絶えず動き続けてしまう。

本当に二人に必要な時間を動かすには、まず、互いが偽った原因を互いのせいにする事を止め、偽造してきた事実の全てを共有することなのかもしれない。

互いが互いを必要としてきたこと自体が、偽りのものであった。その事実の共有こそ、互いに必要な本当の秒針を動かし、離れることになっても、信じられる心を持てる“本当”なのである。

その“本当”を共有したいと願ったとき、これまで進んでいた秒針にヒビを入れることができるのだ。



本当は“本当”を共有したい。

その真実が見せるのは、偽造した生活の破綻であり、光の満ちた絶望かもしれない。

それでも、その願いが望む方に進むのは、これまでの偽りを溜め込み続け、互いに何処にも行けない夜を終わらせるためである。

求めた真実がどれだけ残酷でも、嘘の雨が降り続ける真夜中にはいたくない。

その心からの想いこそ、どんな結果であれ、過去に引きずられない未来の朝を迎えられる願いだ。

歌詞の最後に出てくるレイラとは、アラビア語で“夜”、そして“女性”を意味する。

“ハレタ レイラ”とは、

この人物が、偽造し続ける嘘の雨が降る真夜中を終わらせ、迷いの雲のない夜を通り、やがて光の包む未来の朝を迎えることができることを示唆しているのではないだろうか。

もしかしたら、『ずっと真夜中でいいのに。』と名乗る本バンドの真意もここにあるのかもしれない。

TEXT 京極亮友

当記事はUtaTenの提供記事です。

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