【特集】リアルでアイドルを育てたいお前らへ 第1回 地下アイドルのプロデューサーは簡単になれる!? 現役Pに聞いた


全国におよそ3,000組(?)いるといわれている、地下アイドルグループ。業界ではインディーズアイドルやライブアイドルと呼ばれているが、グループの運営方針や楽曲を決め、メンバー1人ひとりのモチベーションを支えているのが地下アイドルプロデューサーだ。

いったい、どのようにしてなれるのか? この特集では、現役プロデューサーの実態を紹介する。

今回は、地下アイドルプロデューサーになるために必要な基礎知識。お話を伺ったのは、本業はWebメディアの編集・ライターで、「アオハル since2015」「gigi」というアイドルのプロデュースもしている名原広雄さん。

音楽経験がなくてもできる

アイドルのプロデューサーといえば、まず思い浮かぶのは、秋元康やつんくだ。共通するのは、自らがアイドルグループの作詞や作曲を手がけていることである。やはり、地下アイドルプロデューサーにも音楽的センスや知識は必要なのだろうか。

名原さん「なくてもできます。以前、私はアイドル雑誌の編集などをしていたので、芸能事務所とのつながりはありますが、自分では詞や曲は作れないですし、音楽やバンド活動の経験もありません。大事なのは、やっぱりやる気だと思います」。

実際、音楽業界関係者やバント経験者ではなく、「アイドルの衣装づくりをしてみたい!」「アイドルグループ運営を通じて、自分を表現してみたい」という想いを持った人や、お寿司屋さんやスキューバダイビングショップなどのスタッフや経営者がお店のブランディングも兼ねて異業種から入ってくる人も少なくないようだ。

自分に合ったやり方で「地下アイドルを集める」

次に気になるのは、地下アイドルグループのプロデュースを行う上で、必ず押さえておくべきこととは、いったい何だろうか。名原さんから返ってきたのが「人集め」「資金繰り」である。

「人集め」の対象となるのは、「地下アイドルの卵たち」と「曲作りに欠かせない作曲家や振り付け師などのクリエイター」である。それぞれ、どのような方法があるのだろうか?

名原さん「彼女(アイドルの卵)たちを募集する際の方法としては、『事務所や専門学校からのレンタル』『スカウト』『Web公募』の3つがあります。私がプロデュースしている『アオハルsince2015』の立ち上げ時には、昔から付き合いのあったグラビア系の事務所や専門学校から紹介してもらいました。

スカウトは、自分が気に入った子に声をかけられますが、断られることも多いので、私は非効率な作業だと判断してやっていません。それと、買い取り制ですが、スカウトマンから直接紹介してもらうパターンもあります。モデルのポテンシャルによって、紹介料が10万~100万円とひらきはありますが、資金に余裕のある方は、スカウトマン経由でメンバーを集めています。

Web公募では、自分のWebサイトや、アイドルオーディション情報サイトを使いましたが、グループの知名度がないと集めるのに時間がかかり、ある意味『運頼み』。うちの場合は、週に1人応募があるかないかですね。むしろ、メンバーの追加募集などで活用しました」。

一方、クリエイターの募集では、アイドルの採用と違って、積極的にSNSなどを活用したという。

名原さん「作詞家や作曲家などのクリエイターを募る場合、『同業のプロデューサーや芸能事務所からの紹介』と、Twitterなど『SNSの活用』がありますが、僕は後者を選びました。皆さん常にチェックされているようで、求人情報をアップすると、レスも早く、応募者数も多く、すぐに見つけることができました」。
100万円あればデビューできる?

もう1つの押さえるべきポイントである「資金繰り」とは、地下アイドルグループを円滑に運営するための利益をコンスタントに生み出すこと。どのようにして収益を上げるのだろうか。

名原さん「事務所やグループの規模によって変わりますが、大手芸能事務所のビジネスモデルとほぼ変わりません。例えば、チェキ(写メ会)やTシャツ、タオルなどライブ会場での物品販売。その他に楽曲のダウンロードやサブスクリプション(定額聞き放題サービス)、CDからの配当。さらにcheezの画像投稿アプリやshowroomという動画配信サービスからの課金による収益、ライブでのチケットバック、撮影会などがあります」。

なお、チケットバックとは、呼んだお客さん(ファン)の数に応じてチケット売り上げからお金が支払われることで、通常、チケット1枚目から500円が支払われる。対して、ファンを多数抱えるユニットには1枚目から1,000円、なかにはハーフバック(※)の条件で出演しているユニットも少なくないそう。

※チケットの料金の半分、つまりチケット代が2,000円だと半分の1,000円を出演料として1枚目から出演者に支払うという条件

また、チェキは原価だけで考えると、1枚70円を1,000円で販売でき高利益率。安定したグループ運営のためにも、こうした物販をうまく活用して、しっかりとした収益構造を作れるかがポイントのようだ。

名原さん「また、グループ運営を軌道に乗せるまでは、ダンスレッスン料、スタジオ利用費、ライブ会場への交通費など、日常的にいろんな費用がかさみます。特に、ライブでは持ち歌が最低2~3曲は必要なので、メンバーの人数にもよりますが、楽曲制作費、衣装代、振り付け代、ウェブサイト制作費なども考慮すると、初期投資として100万円は欲しいところです」。

分業プロデューサーが多い

プロデューサーは、「人集め」「資金繰り」以外にも、グループのコンセプト決めからライブの構成、曲やMVのアイデアなど、次々と企画を考え、実行していく必要があります。いろんなことが求められるプロデューサーは1人でやっているケースが多いのだろうか。

名原さん「業務が多岐にわたるので、私のように1人でなく、2人で役割を分担しながらプロデュースしているケースが多いですね。例えば、1人が曲やイベントなどの企画を考えたり、外との交渉を行ったりしていれば、もう一方がお金まわりやメンバーの教育を担当するなど、それぞれ得意な役割を担ったりしています。そうなれば、方向性の違いなどによる物別れも起こりません」。

自分の得意領域をベースに活動できるなら始めやすいだろうし、本業の仕事を持ちながらでも、負担なくできそうだ。

ただし、地下アイドルのメイン活動は土日と祝日なので、土日休みか、あるいは有給が取得しやすい仕事(本業)であることは必須になるという。自身のプライベートをプロデュース業に費やせる意欲が有るか、無いかが問われそうだ。

次回は、アイドルデビュー後に必要となる、プロデューサーの業務について紹介したい。

○取材協力:名原広雄(なばら・ひろお)
出版社2社を経てフリーに。雑誌・Webメディアの編集をてがけながらライブイベントの制作、アイドルプロデュースを行う。平日はおもに編集業、週末はアイドルプロデュース・イベント制作業、というワークスタイル。GWや夏季休暇など長期連休中は地方遠征もしばしば。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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