田代まさし5度目の逮捕、薬物依存症報道は変わりつつあるか?

wezzy

2019/11/8 17:05


 11月6日、元タレントの田代まさし容疑者が覚せいを所持していたとして、覚せい剤取締法違反の罪などで宮城県警に現行犯逮捕された。田代容疑者が薬物事犯として逮捕されるのは5回目で、二度の服役経験がある。

最近では、薬物依存者のリハビリ支援団体「ダルク」の一員として講演会などに積極的に出演していた田代容疑者。今年7月にNHK『バリバラ~障害者情報バラエティー~』の特別編「教えて★マーシー先生」に出演し、薬物をやめられずに苦しんだ実体験を赤裸々に語ったことは大きな話題にもなった。

今回の逮捕報道を受けてだろうか、NHKは番組公式サイトのアーカイブから、田代容疑者が出演した回の動画を削除した。しかし、SNSでは「田代さんはこれだけ苦しんでもやめられなかったんだなって分かる」「残しておくべき」などと、公開再開を求める意見が相次いでいる。

7日放送の『ひるおび!』(TBS系)では、コメンテーターの八代英輝弁護士が、田代容疑者の再犯逮捕について「治療の技術も海外にくらべると日本は理解がまだ進んでいない部分があります」「これだけ同じ事を繰り返していると、本人の意思じゃどうにもできる問題じゃないんだろう。治療の問題も考えていかないといけないと思います」と言及。再発防止の重要さや依存症の治療への理解を呼び掛けた。

違法薬物の取り扱いによる逮捕や薬物依存症患者について、これまでマスメディアでは「薬物がいかに恐ろしいものか」を重点的に報じてきた。また、何度も逮捕される薬物事犯には、「またか」「嘘つき」と罵声を浴びせることも珍しくなかった。田代容疑者が2011年にコカインと覚せい剤で逮捕されたときは、かつての仕事仲間たちが「本当にあいつは大馬鹿」「残念ですけど終わりですね。復帰なんてもうない」「頭にくる」等と突き放すコメントを出していた。

しかし強い意志の力で依存症を克服できるというのは誤った思い込みだ。必要なのは批判ではなく治療である。今回、『ひるおび!』で八代弁護士が「治療の問題も考えていかないと」とコメントしたことは、マスメディアの小さな前進といえるだろう。
「がっかりした」「反省してほしい」はNG
 とくに、今回のような著名人の薬物問題においては、メディアによる報道に十分な注意が必要とされる。これは今年3月、ピエール瀧がコカイン使用のため麻薬取締法違反で逮捕された際にも議論となったことだが、メディアが著名人の薬物逮捕をセンセーショナルな話題として取り扱ったり、その人格を叩いたりすることは、本人の依存症治療の妨げになりかねないからだ。また、他のリハビリ中の依存症者を間接的に苦しめることも懸念される。

薬物依存症や著名人の薬物使用の逮捕に関する報道には、有志団体が策定した「薬物報道ガイドライン」が存在する。そこには「避けるべきこと」として、次のような項目が定められている(一部抜粋)。

<「白い粉」や「注射器」といったイメージカットを用いないこと>
<「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと>
<逮捕された著名人が薬物依存に陥った理由を憶測し、転落や堕落の結果薬物を使用したという取り上げ方をしないこと>
<「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと>

メディアがすべきことは、薬物依存患者を晒し者にしたり、違法薬物への興味関心を誘うような記事をつくることではなくて、社会における依存症への偏見や誤解をほどくべく、理解を求めていくことだろう。

また、SNS全盛のいま、意見を発信する個人もまたひとつのメディアである。安易に揶揄するツイートは控えたい。

当記事はwezzyの提供記事です。

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