山崎育三郎インタビュー 今夏リリースのアルバム『MIRROR BALL’19』から2020年のツアーまで“ひとりのエンターテイナー”が今思うこと

SPICE

2019/11/8 18:00

ミュージカルや舞台、ドラマへの出演、今夏には歌手としてアルバム『MIRROR BALL’19』をリリースするなど、様々なフィールドで活躍する山崎育三郎。「ライブをイメージして制作した」同アルバムを紐解きながら、来年の1月より開催される『山崎育三郎 LIVE TOUR 2020 MIRROR BALL』に向けて話を訊いた。


――2019年7月、前作から1年ぶりにリリースされたアルバム『MIRROR BALL’19』は、プロデューサーに迎えたヒャダインさんによってジャンルや世代を超えた名曲が大胆にダンスアレンジされ、山崎さんならではの豊かな表現で色鮮やかに描かれたカバー作品。発表から少し時間が経った今、『MIRROR BALL’19』という作品はご自身になにをもたらしてくれたと感じていますか?

バラードやオーケストラをバックにしたミュージカルソングを歌う人、というイメージを僕に対して持ってくださっている方が多いかと思うのですが、初めてタッグを組ませていただいたヒャダインさんが、「これまでになかった山崎育三郎を引き出したい」「“ミラーボール”というテーマが山崎育三郎にはまるんじゃないか」と言ってくださいまして。2人でいろいろと話しながら、1950年代以降1990年代までのダンスミュージックを蘇らせていったのが、『MIRROR BALL’19』という作品なんです。歌う僕としても発見がたくさんあったし、刺激もたくさん受けたし、これまでにない新しい自分をたくさん引き出していただけた作品になったな、という実感はあります。

――インド音楽的なアプローチにラップやタップを加えた「お祭りマンボ」、現役高校生ラッパーとのコラボでHIP-HOPに振り切った「高校三年生」、ご自身の声を加工して男女2役に挑戦された「雨に唄えば(Singin’ in the Rain)」などの斬新なアプローチに挑戦していくのは、山崎さんにとって楽しいことでもあって?

歌手・山崎育三郎として、いろいろなチャレンジをしながら自分のエンターテインメントを探していくのは本当に楽しいことで。ヒャダインさんと面白がりながら作っていく過程はワクワクしたし、そうやって音楽を作っていく場は一番自分らしくいられる場所でもあるな、ということも感じました。
山崎育三郎
山崎育三郎

――胸躍らせる新曲は札幌や名古屋、大阪などで行ったリリース記念イベントでも披露されていますが、ファンの方からの反響も大きいのではないでしょうか。

今回の新曲たちは華やかだし、もともとライブをイメージして制作したので、やっぱりイベントでは盛り上がるし、みなさんとの一体感も生まれますね。一緒に声を出したり、手を叩いてくれたり、楽しそうに聴いてくれるみなさんの反応を見て、僕もますます高まって。とてもいい相乗効果を生んでくれる曲たちです。

――「ライブをイメージして制作した」とのことで、2020年1月から始まる全10公演の全国ツアー『山崎育三郎 LIVE TOUR 2020 MIRROR BALL』も楽しみなわけですが、歌手としてステージに立つ際には、演出や構成に関して山崎さんも意見を出されるのでしょうか?

そうですね、いつもいろいろな意見を出しています。

――そうしたアイディアは、どういったインプットによって生まれてくるのでしょう。

これまでたくさんのエンターテインメントに触れてきているし、ミュージカルはじめ、ドラマや映画、声優、バラエティ、ディナーショーなどさまざまな場で得たもの・学んだことが生きているんじゃないかなとは思います。

――今年1月から2月にかけて行われた初の全国ツアー『山崎育三郎 LIVE TOUR 2019 ~I LAND~』でも見つけものがあって。

いろんな表現をしてきた自分だからこそできるコンサートにしたくて、オリジナル曲からカバー曲、弾き語り、トークでの落語、ミュージカル女優さんをお招きして『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』といったミュージカルナンバーの披露など、自分がこれまでやってきたことをほぼほぼ全部詰め込んだんですけど……。

――一粒で何度美味しいのでしょう!

ディナーショーを開くたびにお客様にアンケートをとってみると、ミュージカル作品はもちろん、実写映画『美女と野獣』やNHKドラマの『昭和元禄落語心中』、バラエティ、歌手活動など、僕を知ってくださったきっかけが本当にバラバラなんですよ。ということは求めていることもバラバラなわけで、だったらみなさんが飽きないもの、楽しめるショーにしたいなという想いがあったんです。

――そこまで“応えたい”と強く思い、さらに受け手の期待を上回ってしまえるのは、なぜなのでしょうか。

自分自身、いろいろなことに興味があるし、さまざまな表現を全部引っくるめて山崎育三郎だ、と思うし……ミュージカル俳優を目指して12歳でデビューして、歌とダンスとお芝居すべてをやらなくてはいけないという環境でトレーニングをしてきて、作品によって手品やピアノ演奏をするシーンがあればそのための練習もしますし、どれだけ活動歴があっても基本的にミュージカルはオーディションなわけで、そうやって鍛えられてきたおかげだろうなとも思います。加えて、20代前半からはディナーショーを始めて、洗練された大人のお客様たちを前にトークをする場面も多々あって。そうしたさまざまな場面で経験値を積んできたからこそ、今の自分があります。「ミュージカル俳優なのか、歌手なのか、声優なのか、肩書きは?」と問われることもありますけど、僕が目指すのは、そういう垣根を超えた“ひとりのエンターテイナー”。それに、お客様がいてこそ僕たちのステージは成立するわけですからね。会場に足を運んでくださるみなさんの気持ちに応えたい、期待を上回りたい、という想いは常に持っています。
山崎育三郎
山崎育三郎

――さすが、としか言いようがありません。なお、『山崎育三郎 LIVE TOUR 2020 MIRROR BALL』はどんな公演にしたい、と考えているのでしょうか。

『山崎育三郎 LIVE TOUR 2020 MIRROR BALL』は、『山崎育三郎 LIVE TOUR 2019 ~I LAND~』とはまたちょっと違った演出をしたいなと思っていて。「お祭りマンボ」のMVさながら、1950年代から2010年に至るまでの名曲たちを歌いながらタイムスリップする、というストーリー性のある流れの中で、ミュージカル俳優たちにダンスや歌、芝居でも彩ってもらいながら、曲それぞれを面白く魅せたいですね。

――なかでも、山崎さん的に音源に増してライブで輝きそうだなと思う曲を挙げるなら?

そうですね……やっぱり、「フレンド・ライク・ミー」かな。

――加工なしで目まぐるしく声色を変えてエンターテイナーの本領を発揮している、映画『アラジン』挿入歌でもあるナンバーですね。

僕は子どものころから『アラジン』が大好きで、ジーニーといえば山寺宏一さんしか考えられないとずっと思っていたから、自分が歌うことになってどうアプローチすればいいか悩んだりもしたんですね。でも、ヒャダインさんと相談しながら、たとえば以前ドラマ『昭和元禄落語心中』で演じた落語家っぽく、アホな小学生っぽく、ミュージカル『プリシラ』で演じたドラァグクィーンを彷彿とさせるようなオネエっぽくとか、フレーズごとにキャラクターを変えて演じ分けていくことにして。それをライブで1曲通して歌ったときに、どこまで魅せられるかが勝負だし、自分自身、とても楽しみです。

――こちらとしてもワクワクしてしまいます。ちなみに、ライブは生もの、なにかハプニングが起きることもあると思いますが、これまでどう乗り越えてきたのでしょうか。

収録のカメラが入っているときに、手元も映されていたから意識しすぎてしまったんでしょうね、ピアノを弾く曲で頭のフレーズを間違えまくって、「すいません、もう1回やらせて!」っていうのを何回か繰り返したことはあります(笑)。

――そこで頭が真っ白になってしまってもおかしくないですが……。

そういうときも、不思議と緊張はしないんですよ。お芝居やミュージカルの場合は、チームプレイだし、脚本がある中での表現だから失敗はできないですけどね。歌手としてステージに立つときは、自分をよく見せようとせず、ハプニングも含めて自分らしくいることが正解なのかなとは思っています。

――だから、山崎さんの歌やパフォーマンスは受け手を楽しくさせてくれるのでしょうね。

そう、表現する人間が楽しんでいないと、受け取ってくださる方も楽しめないと思うので。どんなプレッシャーを背負っていても前向きに楽しむこと、これはいつまでも大事にしなきゃいけないことです。

山崎育三郎
山崎育三郎

――2020年春スタートの連続テレビ小説『エール』では主人公・古山裕一の幼なじみでのちの音楽仲間・佐藤久志を演じるなど、山崎さんは役者やタレントとしてのお仕事も多くこなされています。そうしたなかでツアーを行う際、コンディションを保つために欠かせないもの、必ずしていることはあるのでしょうか。

ライブツアーでもミュージカルでも、1公演ごとに出しきってしまうので、毎回ぎりぎりなんですけど(苦笑)……それでいいのかな、とは思っているんですよね。この公演が最後になってもいいと思えるものにする、という誓いはいつも胸にあります。あとは、ライブ前やツアー中、ロングラン公演中はお酒を飲まないようにして、喉のためにも加湿をして、ちゃんと睡眠を取って、規則正しい生活をすることは心がけていますね。

――しっかり自己管理をしてこそ、歌とパフォーマンスで魅了できるわけですね。では、ツアーに出る前の荷造り、真っ先に鞄に入れるもの、これは絶対に忘れられない!というものを挙げるとしたら?

必ず持っていくのは、譜面。移動中とかに見たいので。あとは……荷物は最小限に、なるべく軽くしたいんですよね。衣装はあるわけだから着替えは一組でいいや、とか。ツアー中、ステージ以外ではジャージでいることが多いです(笑)。

――普段は思いがけずラフ(笑)。ツアーで全国各地に行く際、その土地その土地ですること、楽しみにしていることはあるのでしょうか。

各地で美味しいものを食べるというのは、楽しみのひとつですね。『山崎育三郎 LIVE TOUR 2020 MIRROR BALL』でもいろいろな場所に行かせていただくので、その土地ならではの美味しい食べ物との出会いにも、期待感がふくらんでいます。それから、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の大阪公演会場でもあり、音響が素晴らしくて、いつか歌手として立ちたいと思っていた場所だった大阪・フェスティバルホールでライブができる、というのもうれしいことで。ほかの場所にしても、待っていてくださるみなさんと一緒に、最高のライブを作り上げていきたいです。1950年代から2010年まで、時代ごとの名曲を中心にお届けする今回のツアー、どの世代の方に来ていただいても楽しんでいただけると思いますし……。

――今回のツアー『山崎育三郎 LIVE TOUR 2020 MIRROR BALL』は、親子二代、三代でも一緒に楽しめそうです。

そうなんですよ。ありがたいことに、最近は親子やご夫婦、それこそご家族みなさんでいらしてくださったりもするし、特に今回のツアーは、いろいろな世代にとっての思い出の曲があったり、「この曲知らなかったけどいい曲だね」という新たな発見もあったりすると思いますので。ダンスあり、ミュージカル俳優ならではの演出もありと、振り幅の広い、山崎育三郎ならではのエンターテインメントをぜひ体感しにいらしてください。

――そんな“令和のエンターテイナー”である山崎さんの魅力を堪能できる『山崎育三郎 LIVE TOUR 2020 MIRROR BALL』で幕を開ける2020年は、どんな年にしたいと考えていますか?

ひとつの目標でもあった朝ドラに出させていただくことになり、しかも『エール』で僕が演じるのは、日本を代表する歌手・伊藤久男さんをモデルにした佐藤久志。きっと歌う場面もあるでしょうし、自分の個性を生かしながら、役にしっかり向き合っていきたいなと。そして、音楽活動、ミュージカルと、さまざまなエンターテインメントの場所で輝いていきたいな、と思っています。

文=杉江優花 撮影=大塚秀美
山崎育三郎
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当記事はSPICEの提供記事です。

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