電気自動車「走りが楽しくない」問題にマツダが出した答えは?

日刊SPA!

2019/11/3 08:51

 現在開催中の東京モーターショーの目玉の一つが、各社が披露している電気自動車(EV)。トヨタやホンダは発売予定の市販モデルを展示し、マツダも同社初の量産EVを公開。日産は軽規格の試作車を初披露している。特にホンダのEVは、’20年夏にはEVシフトが進む欧州で発売予定だ。今度こそEVは本当に普及するのか?イマドキのEV事情をまとめてみた!

西村直人=文 Text by Nishimura Naoto

◆東京モーターショーだけじゃわからない!電気自動車最新事情

2020年は電気自動車(EV)が本格的に普及する――。こう言われても、これまで何度も普及すると言われてきたので、それなりの裏付けがなければ信じる気にはなれないだろう。それもそのはず、’17年に世界で販売されたクルマ(ガソリン&ディーゼル車、ハイブリッド&プラグインハイブリッド車、EV)の合計生産台数9500万台のうち、EVはたったの1%に満たない約90万台に過ぎず、このうち日本では約2万4000台の販売にとどまる(数値は国土交通省調べ)。

ちなみに、よく言われるEV(Electric Vehicle)とは電気自動車のこと。日産のリーフなどがこれに当たる。一方、トヨタのMIRAIなどはFCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)と呼ばれ、電気自動車ではなく燃料電池車に分類される。なお、これが電動化車両という枠組みになると、電気自動車、燃料電池車に加えて、プリウスに代表されるハイブリッド車まで、すべてが含まれる。

◆2020年に向けて量産EVが続々登場!?

このうち、’20年以降、普及が加速すると考えられているのがEVだ。なぜ、’20年を境に普及するのか? 根拠はいくつかある。

例えばマツダは、リーフやテスラなど既存のEVとは違う走行性能を目指して普及を画策している。

今では「速くて静か」というイメージが定着しているEVだが、EV大国ノルウェー(新車販売の半数以上がEV)でヒュンダイのEV「アイオニック・エレクトリック」に乗るハンス氏を取材したところ、「快適で速い。しかもオスロ市内の公共駐車場では充電が無料!でも、走りは楽しくない……」など、ユーザーには不満もある。

そんな不満を解消すべく、マツダは走りの楽しいEVを開発している。具体的には、慣れ親しんだガソリン&ディーゼル車の運転操作のまま、思い通りに走らせることができるEVの開発だ。

「人の感性に合わせた走行性能を突き詰めると、運転操作に対する反応時間の遅れに答えがあることがわかりました。そこで我々は速さだけを売り物にせず、運転操作に対する車両反応を内燃機関車両に近づける(要するに、あえてEVに反応の遅れを付加する)ことでマツダらしさを演出します」(マツダ商品開発本部・田中松広氏)。

実際に、マツダが目指すEVのプロトタイプ「e-TPV」に試乗してみたところ、e-TPVはよくできたガソリン&ディーゼル車の動きに似ていて、自然と体に馴染む特性があった。

これまで筆者が乗ってきた乗用・商用のEVでは、いずれも繊細なアクセルペダル操作が求められ、右足の操作に神経の大部分がもっていかれることがあり気疲れも感じたが、e-TPVはそれがない。というより運転操作に対するクルマの動きは、筆者の愛車マツダ・ロードスターにとても近いと感じた。それもそのはず、運動性能の開発者はロードスターと同じ担当者だったのだ。

一方で、今年のフランクフルトモーターショーでVWが発表した「ID.3」は、大衆車を得意とするVWならではの大衆向けのEV。当然、日本にも’21年後半~’22年前半あたりでの導入が期待されている。VWと言えば「ビートル(タイプ1)」、「ゴルフ」など、世界に名を残すクルマを立て続けに送り出しているが、ID.3はそれに続く第3弾の新世代大衆車なのだ。

’15年のディーゼル不正問題から生き残りをかけたVWは、わずか4年半の間にID.3を考え出し、3万ユーロ(約358万円/執筆時)という戦略的な価格で販売にこぎ着けるところまできた。日本ではゴルフ(338万円~)とほぼ同額だ。

◆ホンダ初の量産型四輪EV「Honda e」

そしてホンダからも「Honda e」というEVが登場する。居住スペースを大きくし、メカニカルな部分を小さくするクルマづくりにも共感が持てるが、充電機構を設けた路上の街灯を使った“継ぎ足し充電”ありきの設計思想にも将来性が感じられる。これは外出先の路上で短時間充電を繰り返すことで実用性を高めるという考え方だ。

もちろん、EVにはまだまだ課題もある。それは、リチウムイオンバッテリーに使用するコバルトなどレアメタルの大量採掘、高効率な全固体電池の早期開発、自然エネルギーによる電力確保だ。それでも魅力的なEVの登場は、世界のクルマの販売台数の内訳に、大きな変化をもたらすに違いない。

【MAZDA】ガソリン車のような感覚で運転OK!運転が楽しいEVを目指して

マツダのEVプロトタイプ「e-TPV」は35.5kWhのリチウムイオン電池を搭載。2020年以降にはこのEVをベースに、ロータリーエンジンを組み合わせたレンジエクステンダーEV/プラグインハイブリッド/シリーズ式ハイブリッドシステムの登場が控えている。

【VW】みんなが買える価格のEVが登場。ビートル、ゴルフに続けるか?

発売当初に設定される特別限定モデルの「ID.3 1 ST」は、100kWの急速充電器を使用した場合、30分間で約290㎞(WLTP モード)走行分の電気エネルギーが得られる。またVWでは、充電する外部電源にできるだけ風力や水力などの自然エネルギーを活用するための策も開発中だ。

【HONDA】ホンダのEVはスマホのように気軽に短時間充電で使える!

「Honda e」はホンダ初の量産型四輪EV。フランクフルトモーターショーで発表され、東京モーターショーでも展示されている。35.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し充電と給電の双方に対応。フル充電時には200㎞以上の走行が可能だという。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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