テレビ解説者・木村隆志の週刊テレ贔屓 第94回 『ダウンタウンなう』金曜22時台にハマり、軽減税率も追い風に


テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第94回は、25日に放送されたフジテレビ系バラエティ番組『ダウンタウンなう』(毎週金曜21:55~)をピックアップする。

2015年のスタート時は、タイトル通り「ほぼ生放送」を売りに、週替わりのテーマゲストから際どい話を引き出すスタイルだったが、わずか半年でリニューアル。ダウンタウンと坂上忍がゲストとお酒を飲みながらトークする「本音でハシゴ酒」に変わり、17年からは内容に合う金曜22時に移動して現在に至る。

次回のゲストはROLAND(ローランド)と、どぶろっく。カリスマホストの笑いを誘う名言はダウンタウンに通じるのか? 『キングオブコント2019』王者の下ネタはお酒の力で加速するのか? 盛り上がりそうな人選で期待大。

○■ROLANDの名言を受け入れる松本人志

番組冒頭に映し出されたのは、「この日の内容をすべて見せてしまうのか」と思ってしまうほど、ボリュームたっぷりのダイジェスト。

まずROLANDは、「今アツい男!ホスト界の新帝王ROLAND」「『本当にキモいんだけど』って言われて、そこからちょっと疎遠になってしまい…」「ホストになるまでの苦悩&家族を語る。『勘当されて…』」「世の女性を虜にする名言連発!『俺にやってもらうためにホスト業界が生まれたんだよ』『俺、交通ルールは守れねえんだ。お前だけしか守れねえんだ』」「ホスト仲間からのクレームでキャラ崩壊!『名言っぽく語るけど、ただの言い訳』」

次に、どぶろっくの映像に切り替わり、「キングオブコントの覇者どぶろっくは超ネガティブ!?」「今夜だけの新ネタも!!『もしかしてだけど~』」。さらに、今夜の宴は人形町と目黒で、1軒目は「うなぎや串焼きなどが味わえるサラリーマンに人気のお店」、2軒目は「飲みながら生演奏が聴けたり歌ったりできる音楽好きが集まるバー」であることが明かされた。

内容のチラ出しどころか、構成の大半やオチまでたっぷりと。あおり映像の枠をはるかに超え、「ここを見ただけで『見た』」と言い切れそうなオープニングだった。もったいぶらず、手の内をさらけ出すような演出は、「お酒を飲みながら気楽に見たい」という金曜夜の視聴ニーズにフィットするのではないか。

ダウンタウン、坂上忍、夏菜が、ROLANDと合流すると、人物紹介の映像が流れる「18歳でホストデビュー。お酒を飲まない接客などホスト界の常識を覆してきた男」「1日に1人で6,000万円以上を売り上げ、歌舞伎町では伝説に」「全国8都市で開催されたイベントに女性ファンが殺到し、のべ10万人を動員」「名言を集めた著書は発行部数15万部超えの大ヒット」。トークの前振りにするとともに、ダウンタウンと絡むにふさわしいキャラクターであることをしっかり印象づけていた。

トークでは、ROLANDらしい名言と、意外な人物像という両輪が機能。

名言1「(ホストになった理由は)歌舞伎町が呼んでた」
名言2「俺にやってもらうためにホスト業界が生まれたんだよ」
名言3「女性を落とすんじゃなくて、『お前が上がってこい』ってスタンスで待ってるよ」
名言4「結局、服は誰が着るか、俺が着るか」
名言5「俺、交通ルールは守れねえんだ。お前だけしか守れねえんだ』」
名言6「薔薇のように咲いて、桜のように散りたい」
名言7「(後輩が起こしに来てもなかなか起きず)起きてるよ。今はただまぶたの裏側を見ているだけだ」
名言8「(カラオケが苦手なことに)俺は音程という鳥かごの中に飼われるんじゃなくて大空を羽ばたきたいタイプ」
名言9「(落ち込んでいる後輩に)カニでも俺が接客したら前向きに歩く。だからお前も前を向け」

名言がさく裂するたびに、4人とも爆笑の連続だったが、松本は「思う」「そう、それ」「面白い」と誰よりも楽しげに軽いツッコミを入れていた。「芸人のホスト風コントはときどき見るが、本物がやるとこんなに笑える」ということなのか。ともあれ、名言で笑いを取れたら、ROLANDの起用は成功したようなものだ。

さらに、ROLANDは「もともと男子校育ちで帝京高校のサッカー部だった」「昨年で現役引退して、実業家としてホストクラブ、美容商品プロデュース、脱毛サロン、シャンパンの輸入、タピオカ店を手がけている」「物欲がなく服は1着しかない。パンツやタンクトップはユニクロの3着を着回し」「父は音楽家でお坊ちゃま育ち」「双子の妹を溺愛しすぎて恋人と別れさせてしまい疎遠になった」「特定の誰かとお付き合いしたことが1回もなくて。彼女というものを作ったことがない」とイメージをぶち破るトークを連発。

そのたびに「オチを用意し、笑いで終える」という芸人クラスのトーク力を見せ、人物像の幅も広がったことで、タレントとしての可能性を感じさせる。松本が「ROLANDは頭いいし、『R-1(ぐらんぷり)』とか出たらいいのに。あっ、MC(宮迫博之)がおれへんのや」と笑わせたところで終了した。
○■どぶろっくのトークは下ネタなし

2組目は、飲み仲間が田中みな実になり、目黒の店にいるどぶろっくが登場した。

どぶろっくのトピックスは主に5つ。

1つ目は、「僕らあんまりトークが得意じゃないんですよね」というトーク下手。松本から「すべらない話、持ってるんじゃないの?」と振られた坊主&胸毛がトレードマークの江口直人は噛みながら「本当無いんです…」だけで終わってしまう。

2つ目は、事務所先輩のずん・飯尾和樹からのタレ込みで「江口が超ネガティブ」「江口はトークの声が小さい」。ただ付け焼刃のキャラなのか、トークはまったく広がらなかった。

3つ目は、「多いときは年間、百何十本」という営業の儲け。しかし、金額を聞かれた江口は「4,000円くらいで」と中途半端に返し、松本から「ホンマにフリートークできへんな」とボヤかれた。

4つ目は、ギターの森慎太郎の浮気がバレて修羅場!? しかし、「女性たちと飲んでいるときに携帯電話が通話中になっていて妻に叱られた」というだけの話で、浮気はしていなかった。

5つ目は、「もしかしてだけど」の田中みな実バージョン。ど真ん中の下ネタで本領を発揮したが、逆にそれまでのトークでは下ネタゼロだった。「下ネタは歌ネタの中だけで、トークでは言わない」というキャラクターを浸透させたいのか。試行錯誤中なのかもしれない。

ともあれ、ミュージックバーでの生演奏も含め、「ネタで番組を締めくくる」というキレのある構成が後味のよさを感じさせた。
○■『ぴったんこ』より正統派のトーク番組

ダウンタウン+坂上忍のおじさん3人は、終始おだやかな表情で談笑。とりわけ浜田は力を抜いて楽しんでいる様子が見られた。ふだん「圧が強い」と言われる浜田のおだやかな姿勢が「ゲストたちにプレッシャーをかけない」ことにつながっているのではないか。

この日の店は人形町の「鮒忠」と目黒のミュージックバー「TIME OUT」で、出演者たちが飲んでいたのはバイスサワー420円とアーバンナイト1,000円。ともに庶民的なものであり、「今週の仕事を終えた金曜の夜にダウンタウンたちと一緒に飲んでいる」という感覚で見ている人も多いだろう。

演出サイドも、CM明けに「ROLAND様、かなりお酒がまわってきたようなのですが…」というナレーションを入れ、しかもその声は呑んべえの佐藤仁美であるなど、ほろ酔いムードを盛り上げている。

ただ、酒こそ飲んでいるが、番組内容で見ると、極めて正統派のトーク番組。同じ金曜のトークバラエティである『ぴったんこカン・カン』(TBS系)と比べれば、グルメよりもトーク志向であることが分かるだろう。

今回もROLANDと、どぶろっくのキャラクターを多面的に掘り下げていたが、それはダウンタウンと坂上の手堅いMC力にほかならない。ゲストの人選次第かもしれないが、できればダウンタウンと坂上が番組の構成や撮れ高を忘れてしまうくらい、「もっとベロベロになって話すシーンを見たい」という視聴者は多いのではないか。

この日の世帯視聴率は11.1%を記録し、同時間帯に放送されたドラマ『4分間のマリーゴールド』(TBS系)7.6%、『金曜ロードSHOW! 億男』(日本テレビ系)6.0%、『ドラマ10 ミス・ジコチュー』(NHK)5.3%、『たけしのニッポンのミカタ!』(テレビ東京系)5.0%を上回り、報道番組の『報道ステーション』(テレビ朝日系)12.0%を除けば断トツトップ(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。

「番組内容が金曜22時台にハマる」という意味に加え、「家で食べ飲みする“中食”が軽減税率適用」という追い風もあり、まだまだ伸びしろを感じる番組だ。
○■次の“贔屓”は…原点回帰の生放送、「ラブメイト10」も復活『FNS27時間テレビ』

今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、フジテレビ系大型バラエティ特番『FNS27時間テレビ にほんのスポーツは強いっ!』(11月2日18:30~3日21:54)。

今年のテーマはスポーツ。自国開催のラグビーワールドカップが盛り上がり、2020年の東京オリンピックが間近に迫るなど、スポーツへの注目度が増している中、タイムリーなテーマと言えるだろう。

しかし、最大の注目点はそこではなく、「原点の生放送に戻る」「72歳のビートたけしが27時間生放送に挑む」の2点。3年ぶりに復活する「ラブメイト10」も含め、何かとハプニングが期待できそうだ。

また、かつては夏の風物詩であり、ここ2年間は9月だったが、今年はさらに2カ月遅い11月の放送。しかも連休のため、どんな影響があるのか? 興味深いポイントが多い。

■木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者。毎月20~25本のコラムを寄稿するほか、解説者の立場で『週刊フジテレビ批評』などにメディア出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日の視聴は20時間(2番組同時を含む)を超え、全国放送の連ドラは全作を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの聴き技84』『話しかけなくていい!会話術』など。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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