「スカーレット」25話。スピンオフみたい。医学生・圭介の恋に協力する喜美子

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(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)

連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第4週「一人前になるまでは」25回(10月28日・月 放送 演出・佐藤 譲)
第四週の後半から、小児科の医師を目指している医学生・圭介(溝端淳平)が近所の犬を連れた女性(佐津川愛美)に恋をして、喜美子(戸田恵梨香)が協力を申し出る。第五週は、そこからはじまる。
恋のひとつくらい知っていると嘯いたものの、それは照子(大島優子)との事故のようなキスだから、やりようがわからない。
ちょうど拾ってきたぎんなんを分けると誘って、「荒木荘にようこそ」作戦を妄想するのだった。

その後、強面の男こと泉田工業の会長・泉田庄一郎(芦屋雁三郎)と女性がしゃべっているところを目撃。女性の名が「あき子」であることを突き止める。
「あき子」という名だけでもうっとりなる圭介。
でも「あきこ」なんて名前はよくあると、さだ(羽野晶紀)と雄太郎(木本武宏)はからかう。
このとき、さえずりのマスターの妻も「あきこ」だとわかるが、出てこない妻の名前があるにもかかわらず、マスターはマスターで名が出てこないところも笑いどころなのだろうか。

気を悪くした圭介が、恋と思ったのは勘違い、これからは勉強に励むと言うと、喜美子は額面通りに受け止める。が、
さだと雄太郎は「気持ちに嘘をついているだけ」と笑う。
しっかりしているようでこういうところは未だ子供の喜美子。一方、さだと雄太郎がやたらくっついていて夫婦かと思ってしまったけど、この距離感ありなのか。おこちゃま喜美子との対比なのか。

展開、はやっ
雄太郎も協力することになって、喫茶さえずりに、あき子の父が来たら、連絡することに。
すると、カットが切り替わると、さっそく、お父さんと向き合っている喜美子。
展開、はやっ。 
お父さんがやってきて、雄太郎が報告して、喜美子があたふたして緊張しながら「お話があります」みたいなことを言って席につく、みたいな流れをいっさいがっさい省き、本題から描くところはすばらしい。

その後は、
喜美子「とてもええ関係です」
泉田「あんた三年も関係続いてるの?」
雄太郎「ちゃいますよ この子は女中さんや」
という下手したら誤解を招いて大問題になりそうな行き違い。

泉田「しかるべき人」
喜美子「しかる人?」
というまたしても、言葉を知らない喜美子の幼さ。

ちや子(水野美紀)が新聞ではじめた「男と女のエロエロ、色々相談」コーナーに圭介が憤慨しつつも、眼をキラキラさせて読んでいると、突然、あき子が訪ねて来て、
解剖の授業でアルコール臭いからチューしたら嫌われるんとちゃう? とか言い出し、
「もうチューするんですか?」と喜美子が眼を丸くするドタバタ。

ほのぼのした笑いがまんべんなく描かれた。関西の笑いといったらよしもと新喜劇とすぐに浮かぶわけだが、そのようなテンションの高さと力技で押し通していく感じではなく、ふわっとした間合いで可笑しみをじわじわ描くもので(これはこれで関西独特のものである)、ともすればセリフとセリフの間にゆったりした間が空き過ぎそうなときもあるが、そこはぎやかな音楽で埋めて退屈にはならないように気を使っているのを感じる。

4、5週の演出を担当している佐藤譲は、名古屋局で秀作だった「お母さん、娘をやめていいですか」「マチ工場のオンナ」などに関わっている。朝ドラにも「てるてる家族」や「さくら」など何作も参加しているベテランらしく手堅い。

スピンオフみたい
25回を見ていて、この感じに既視感があるなあと思ったら、朝ドラスピンオフだ。本編と別に、本編では脇役を中心にした番外編を、本編撮影中にセットを利用して制作するもので、脇役の恋の話も少なくない。たとえば「花子とアン」の「朝市の嫁さん」や「べっぴんさん」の「恋する百貨店」などがある。これはこれで楽しめるし、本編より好きと言う声もあったりする。
過去、ダイジェストみたいな朝ドラもあったが、スピンオフみたいな朝ドラというのもあるのだと認識した。「とと姉ちゃん」も前半はたわいない日常を描いて人気だった。こうしてみると、あれも朝ドラ、これも朝ドラで、何が朝ドラぽいのか基準などあってないもの。視聴率が最も高かった絶対王者「おしん」を基準にすれば、「スカーレット」は朝ドラっぽくないことになってしまう。でも、好きだった朝ドラが帰って来たという声もある。
大きく分けると、「オンナの一代記」と「ほのぼの日常系」という感じか。

それにしても、溝端淳平。「めぞん一刻」で言ったら、イケイケじゃない面堂終太郎という感じか。キラキラと「荒木荘へようこそ」とかエロエロとかおちゃらけを担当し、ヒロインとまじ恋には絶対ならなそう。すこしは、もしかして? …と思わせても良さそうなものなのに、いきなりスピンオフみたいなエピソードで、これほどまったく本命感のない出方はいささかもったいない気もしないではない。せっかく蜷川幸雄の薫陶も受けているのだし、東幹久みたいにはならないでほしい(東幹久のことはそれはそれで意義深い存在だと思っている)。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめとあらすじ (週の終わりに更新していきます)
●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 絵がうまく金賞をとるほどの腕前。勉強もできる。とくに数学。学校の先生には進学を進められるが中学卒業後、就職する。

川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいる。家に泥棒が入り、
喜美子の給料を前借りに行く。

川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。高校生になっても友達がいないが、楽しげな様子を書いた手紙を大量に喜美子に送っている。喜美子とは幼いときキスした仲。

熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。高校で友達は照子だけだったが、ラブレターをもらう。
大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。

●滋賀で出会った人たち
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を「ゴミ」扱いされる。

草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいた。帰国の際、離れ離れになってしまった妻の行方を探している。喜美子に柔道を教える。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。

保…中川元喜  常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。
博之…請園裕太 常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。

●大阪 荒木荘
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対するが、辛抱して彼女を一人前に鍛え上げたすえ、引退し娘の住む地へ引っ越す。女中の月給が安いのでストッキングの繕い物の内職をさせる。

酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。妹を原因不明の病で亡くしている。
庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者で不規則な生活をしていて、部屋も散らかっている。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて俳優を目指すが、デビュー作「大阪ここにあり」以降、出演作がない。
静 マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。

平田昭三…辻本茂雄 デイリー大阪編集長 バツイチ 喜美子の働きを気に入って、引き抜こうとする。
石ノ原…松木賢三 デイリー大阪記者
タク坊…マエチャン デイリー大阪記者
二ノ宮京子…木全晶子 荒木商事社員 下着ファッションショーに参加
千賀子…小原華 下着ファッションショーに参加
麻子…井上安世 下着ファッションショーに参加
珠子…津川マミ 下着ファッションショーに参加 
アケミ…あだち理絵子 道頓堀のキャバレーのホステス お化粧のアドバイザーとしてさだに呼ばれる。

あらすじ
第一週 昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
第二週 昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。
第三週 昭和28年 喜美子15歳 大阪の荒木荘で女中見習い。初任給1000円を仕送りする。
第四週 昭和30年 喜美子18歳 女中として一人前になり荒木荘を切り盛りする。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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