山寺宏一×水島裕×三石琴乃インタビュー~ラフィングライブの舞台「Out of Order」は“混ぜるな危険”の予感?!

SPICE

2019/10/26 13:15



山寺宏一、水島裕、そして演出家 野坂実が、笑劇を上演するために結成した演劇ユニット「ラフィングライブ」。第五回目となる公演「Out of Order」が、2019年11月28日(木)から12月2日(月)にかけて三越劇場で上演される。現代イギリスを代表する笑劇作家レイ・クーニーの作品。出演は山寺、水島の他、寿美菜子、岩崎ひろし、斎藤志郎、三石琴乃、高橋広樹、名塚佳織、岩尾万太郎、斉藤こず恵。このほど、山寺、水島、そしてラフィングライブ初登場となる三石という声優界の三人のレジェンドにインタビューすることが叶った。


■三石琴乃はコメディが「かなり好き!」


山寺 三石琴乃さん、満を持してラフィングライブ初登場です!

水島 初登場!(拍手)

山寺 三石さんとは長い付き合いで、「琴ちゃん」と呼ばせていただいている仲です。恋人同士役もしましたし、かつて「声・遊倶楽部」という番組で、一緒に司会もしていました。琴ちゃんの舞台も観ていたので、ラフィングライブを旗揚げした頃から「いつか出てほしい」と思っていたんです。

三石 思えば何年か前に、「一緒に芝居をやれたらいいね」と声をかけていただいたことがあったんです。私はお芝居が大好きなので、ぜひと答えました。そして今年のはじめに山寺さんと「アンパンマン」の現場で一緒になり、その収録後に呼び止められたんです。「琴ちゃんさ、芝居出ない?」って。「いいですよ」と答えながら、心の中では「よしきた!」ってガッツポーズをしました。その場で急に思い立って、誘ってくれたのかと思ってた。


山寺 いえ、ずっとタイミングを狙っていたんですよ。「Out of Order」で琴ちゃんにぴったりの役を見つけて、思い切って声をかけたんです。琴ちゃんは、以前にも翻訳物のコメディを舞台でやっていたよね? レイ・クーニーもやったことあるんじゃない?

三石 仲間と創立した劇団あかぺら倶楽部という声優さんが多く参加する劇団で、1997年に『パパ・アイ・ラヴ・ユー』をやりました。洋物喜劇をはじめてやったころは、コテコテの日本人顔なのに名前がジェーンとか、恥ずかしかったりもしたの。でもやってみたら「コメディ面白い! かなり好き!」となりました。


■レイ・クーニー ブーム到来


──「Out of Order」はイギリスを代表する笑劇作家レイ・クーニーが、1990年に発表した戯曲です。

水島 今回は過去に僕たちが上演した作品(レイ・クーニー『パパ・アイ・ラブ・ユー』『Run for Your Wife』、そしてマイケル・クーニー『Cash on Delivery』)以上に、「これ、読む分には面白いけれど、どうやって舞台でやるの?!」みたいなトリッキーな個所があるんだよね。

山寺 そう。でも演出の野坂さんは、作者レイ・クーニーが書いたとおりにやるのが一番面白い、という姿勢で演出される方です。「これは無理だからカットしよう」とはせず演出を考え出して、我々はそれを具現化するべく、汗をかき、走りまわるわけです。

水島 野坂氏は今頃、頭の中で汗をかいて考えているでしょうね!


──ラフィングライブは旗揚げ公演以来、レイ・クーニーの戯曲を今回含めて3作、息子マイケル・クーニーの戯曲を1作、取り上げてきました。他の団体でもあちこちでクーニー作品が頻繁に上演されています。

山寺 最初はラフィングライブをクーニー劇団にするつもりはなかったのですが、結果としてそうなっていますね。クーニーの毒と笑いのセンスと世界観を知ってしまうと、他の戯曲では物足りなくなってしまう。それくらいに面白い!

水島 笑えるし、ある意味、罪がない。同じレイ・クーニーの作品でも、やる人間が変わると作品の味わいも変わるんですよね。ラフィングライブは、野坂氏と山ちゃんと僕のユニットです。男2人で話を動かしていく戯曲が必要で、同時に“ラフィング”ライブだから、笑いに特化したい。となるとクーニー作品に行き着いてしまうんですよね。

三石 戯曲として完成されていますよね。落としどころも上手いから、絶望的状況になっているのに、観終わったあとは笑って劇場を出ていけるんです。でも、演じる側は大変。熱量とスピード感でお客さんをヨイショって物語にのせて、ラストまでもっていくのは大変なことです。それに喜劇だからこそ演者は真面目にやらなくてはいけません。私も心して取り組みます!


■豪華で特濃、“混ぜるな危険”の出演陣

<「Out of Order」あらすじ>
イギリス与党副大臣のリチャードは、臨時国会の行われている夜、ウェストミンスター・ホテルのスィートルームにチェックイン。妻・パメラとの思い出が詰まった部屋だが、今夜の目的は野党議員の秘書・ジェーンとの密会だ。誰にも知られず甘い一夜を過ごすはずが、思いもよらない大事件が発生!正直者の秘書・ジョージを巻き込んで窮地を脱しようとするのだが、ホテルの従業員やジェーンの夫など、部屋には次々と招かれざる客がやってくる。政治家生命のかかった人生最大のピンチを、果たしてリチャードは乗り切れるか!?
──第五回公演「Out of Order」の配役についてお聞かせください。

山寺 僕が副大臣のリチャードで、琴ちゃんがリチャードの妻パメラ。

──するとリチャードに振り回される、秘書のジョージが……。

水島 僕です(笑)。

山寺 たまには振り回す役、振り回される役を入れ替えてもいいんじゃない?とは提案したんですが。

水島 やっぱりキャラがありますから。……と言ったものの実は今回、人生でほぼ初めてのキスシーンがあるんです! どうなるのか、本当にどうしたらいいかわからない。どんな演出になるんだろう?

山寺 アニメや洋画の吹き替えなら、キスシーンも散々やってきたけれど。

三石 自分の手にね!(と、手の甲にキスしてみせる三石さん)

──山寺さんは過去の公演に引き続き、嘘に嘘を重ねトラブルを大きくしていく役どころですね。今回はさらに、不倫中という設定まで加わります。不倫相手のジェーンを演じるのが、寿美菜子さんですね。

山寺 はい。自分の嘘を誤魔化すために、次々に人を巻き込んでね……。こういう設定の役が続くと、僕の人間性まで疑われかねないところもありますが、すべては笑いのためです! ひどいキャラクターではあるのですが、どこか憎めない男として演じたいですね。


──いつも誰よりも台詞や動きが多く、大変そうな役です。

山寺 台詞は膨大、テンポも非常に重要。テンションも低くはありませんから、毎回、体重が2~3キロ、多い時は4キロ落ちたこともあるんですよ! 体力をつけ体調を整えて、全公演を全力投球で挑みます。

──共演される方々も豪華ですね。

山寺 毎回素晴らしい俳優さん達に出演いただいていますが、今回は素晴らしい上に「濃い」!

水島 岩崎ひろしさんに斎藤志郎さん、そして斉藤こずえさん! 岩崎さんは第二回、第三回、志郎さんは第一回と第四回にそれぞれ出ていただいたのですが、二人が顔をそろえるのは今回が初めてです。

三石 本当に濃いですね! “混ぜるな危険”を混ぜたような座組(笑)。でも、みなさん本番には、きっちり芝居を仕上げてくる方々なのだろうなって思うと、今から稽古も楽しみです。

山寺 ワクワクするでしょう? ところで琴ちゃんと裕さんは、これが初共演?

水島 初めてになるのかな。

三石 アニメの『全力ウサギ』に裕さんがゲストでいらしたことがありますよ。ただ、その時の裕さんの役は「アチョー!」しか言わない役だったので(笑)。

水島 そうそう! だから今回が実質はじめての絡み。初絡みで、まさかあんな……。

三石 あっ、それ以上は言っちゃだめですよ! 観てのお楽しみです!


■三石琴乃が芝居を好きな理由


──声のお仕事と舞台とで、演じる感覚に違いはありますか?

水島 全然違います。一番の違いは、お客さんがいるかいないか。お客さんの笑い声に応援されますし、それによって「ああ、楽しくなってきた!」ともなります。

山寺 本番で、お客さんの笑い声が初めて気づかせてくれる演出の意図もあるくらいです。舞台はお客さんと一緒に作るもの。特にラフィングライブは、お客さんの笑いがなければ成立しません。

──舞台作品ならではの楽しみがあれば、お聞かせください。

三石 声の仕事の時は、たとえ恋人同士の役で共演しても、映像の中の相手に気持ちをかけるのである程度の距離感を保てます。ところがお芝居だと、体から絡んでいく上に、稽古で集中する密度も違います。一緒にいる時間も長くなりますから「この人には、こんな一面があったんだ!」という発見があったり。共演者の人となりが垣間見えて、より深く関われるところは、お芝居が好きな理由の一つです。

山寺 声の仕事では仲良かったけれど、ラフィングライブをきっかけに嫌いになる人が出てくるかもしれないね。

三石 たしかに。昔から知っているつもりだった人に、「え?!」と思うことだってあるかもしれません(笑)。

水島 あれ?そのパターンに該当するのは、山ちゃん?(笑)

山寺 そうだ。急に心配になってきた……。へこんだり悩んだり、だらしないところも見せると思うよ?

三石 それがいいんですよ! そういうのも含めて、お芝居が好きなので。

山寺 琴ちゃんに嫌われないように、俺がんばる!

一同 (笑)


■「野坂実が一番だと思っています」


──演出の野坂さんについてもお聞かせください。

水島 信頼しています。僕ら、“野坂塾”の塾生ですから。

三石 野坂さんの演出は、私も別の舞台で受けたことがありますが、優しいんですよ。演出家として俯瞰でみてくれているので、安心してお任せできる。

山寺 すごく穏やかだし、理路整然としている。ただし……。

山寺・水島 しぶとい!

三石 (笑)

水島 前回の公演では、楽日(公演最終日)にまで山ちゃんの台詞のタイミングを調整していたね。


山寺 散々やってきたシーンについて、「ここをもう少し短く」と楽日の開演前に! 「今さら?」と思うわけですが、その通りにやると、昨日までお客さんの笑いがなかったところに、笑いがおこるんです。

三石 野坂さんは、このタイプの戯曲を得意としているから、特に演出にも熱が入るし、こだわりも強くなるでしょうね。

山寺 彼は「笑劇の演出は誰にも負けない」という思いがあるはずですし、我々も、彼が一番だと思っています。

──以前、取材で稽古の模様を拝見した際は、山寺さんが自主的に、ある場面の演技を様々なパターンでトライし、野坂さんは黙ってそれを近くで見守っておられました。

水島 野坂氏は、頭の中に自分なりの正解をもっています。聞けば何でも答えてくれるし、立ち位置まで指定する。けれどもそれを押し付けたりはしないんだよね。

山寺 役者の芝居をみて「それもありだ」と思えば、自分のやり方にはこだわりません。けれども、そのシーンに関しては、演出の意図を見出すのに苦労したことを覚えています。いつも、やっていくうちに段々分かってくるのですが、それをすぐに汲み取れるようになりたいですね。ラフィングライブも5回目ですから。


──山寺さんは、どんな役も器用にこなされるイメージが強いです。お芝居で苦労を感じられことがあるのですね。

山寺 声優としては器用だと言われますし、実際に声の仕事の時は、演出家やディレクターの意図を汲み取ることに自信がありました。それが芝居だと難しいんです。舞台では本当に不器用なんです!

水島 こういうところ、山ちゃんはすごく真摯なんですよ。

三石 (深くうなづく)


■「ラフィングライブにしかできない舞台をしています」


──今年も開幕が楽しみです。最後に読者の方に向けてメッセージをお願いします。

三石 先輩たちと一緒にお芝居をできることが最高の喜びです。その幸せを味わいつつ、お客さんに楽しんでいただける時間と空間をつくれるようがんばります。劇場でお待ちしています。

水島 あなたが思いきり笑顔になれるよう、一生懸命に汗かきます! ぜひ三越劇場へ! 毎回言っていますが、今回で最後になるかもしれませんしね!

山寺 そうですよ! 最高のメンバーとともに、持てるものすべてをぶつけます。レイ・クーニーがちょっとしたブームとの話もありましたが、その中にあっても、ラフィングライブにしかできないことをしているという自負があります。ぜひ三越劇場へお越しください。


取材・文=塚田史香  撮影=中田智章

当記事はSPICEの提供記事です。

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