2001年に買った商品の価値は今? テレビ、クルマ、腕時計…

日刊SPA!

2019/10/20 15:50

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

腕時計投資家の斉藤由貴生です。

先日、私は中学校の同級生たちと、久々に母校に遊びに行ったのですが、もう中学校を卒業してから20年近い月日が経過したことに驚きました。私が中学3年だったのは2001年ですが、2001年といえばまさに21世紀の始まり。90年代から「世紀末」という言葉をよく聞くなど、「21世紀は未来」という印象が強く、実際インターネット時代の幕開けや、ハイブリッドカーの登場など、90年代後半には時代が変わる出来事が多かったと思います。

◆あの高級プラズマテレビは今いくらで売れる?

2001年になると、「90年代に想像した未来がやってきた」という感覚になったわけですが、実際、生活空間でも大きく変わる出来事が起きています。

それこそが、テレビの薄型化なのですが、当時、比較的裕福な人を中心にプラズマテレビへの買い替えが流行っていたように感じます。

私の中学の同級生は、港区在住の人が多いのですが、彼らの中でも特に「カネ持ち」と言われる人がプラズマテレビを導入。同級生の会話でも、「あいつんちテレビ買ったんだって!」とか、「こいつんちは32インチだけど、あいつんちは42インチらしい」みたいな会話が盛り上がっていました。当時の中3の感覚では、「大きな薄型テレビ」こそが、お金持ちを象徴するモノだったといえます。

そのような会話を聴いていた私の腕には、パテックフィリップのアクアノートがあったのですが、誰もそれには見向きもしませんでした。

私は当時、自分の腕時計を褒めて欲しい、少しでも尊敬されたいと思っていたため、プラズマテレビを買ったクラスメイトが羨ましくて仕方がなかったことを覚えています。

当時の私の家のテレビは、ブラウン管だったのですが、全くプラズマに買い換える様子はなく、私も買い替えを推奨しませんでした。なぜなら、プラズマテレビは「いずれ安くなる」と思っていたからです。

2001年当時のプラズマテレビは、50万円以上といった価格帯。今では、32インチの薄型テレビが3万円程度で買える時代ですが、当時はその10倍以上したのです。

ちなみに、家庭用の薄型テレビは、99年にシャープから登場しましたが、当時のサイズは20インチでした。(小型液晶テレビはそれ以前から存在)

2001年頃から徐々に大型薄型テレビが「新商品」として注目を浴びるようになったと記憶していますが、その頃は大型の液晶テレビはなく、32インチとなると、プラズマテレビが主流だったのです。32インチなど、大型サイズの液晶テレビが主流になってしたのは、2000年代中盤だといえますが、2010年頃には、既に32インチが3万円台といった価格帯で売られるようになっていました。

つまり、32インチの薄型テレビは、2001年には「羨ましがられるアイテム」だったわけですが、2010年頃には学生でも買える価格帯となっていたことになります。ですから、その高級耐用年数は10年未満であるのです。

なお、もしも2001年に買ったプラズマテレビを2019年の今、売ろうと思ったらいくらぐらいになるでしょう。

私が調べた限りですが、2001年頃のテレビはたまに街中のリユースショップで売られている様子を目にしますが、その価格は1000円程度。買い取ってもらえばラッキーで、もしかしたら処分費がかかるぐらいの価値しか無いかもしれない状態だといえます。

プラズマテレビのように「新しさ」に価値があると思われる品物の“高級”耐用年数は、いつの時代でも短いと思います。

◆2001年式のベンツならいくらで売れるのか?

2001年の高級品の選択肢として、プラズマテレビは全く優秀ではなかったわけですが、高級車はどうでしょう。

メルセデス・ベンツといえば、いつの時代でも「高級品」というイメージがあり、ブランド自体の価値は普遍的だといえます。しかし、その車両本体の価値は、中古車になれば安くなってしまうため、普遍的とはいえません。

これは、メルセデス・ベンツに限らず、高級車・大衆車問わず、多くのクルマにいえることですが、新車⇒中古車となれば価値は必ず下がります。

ただし、条件によっては価値が下がりづらい側面もあるため、最近では残価設定型ローンという商品も存在。ですから、クルマの残価は、かなり優秀な部類だといえるかと思います。

とはいえ、もしも2001年に新車のベンツを買い、それを今売ったならば、やはりその残価はあまり残らないといえます。なぜなら、2001年のクルマは現在「18年落ち」だからです。

当時、新車価格390万円だったC180(W203)の中古車価格は、現在30万円ほど。新車価格1300万円のS500L(V220)でも50万円程度です。

SL(R129最終型)やGクラスの中古車価格は200万円以上であるため優秀な部類ですが、それでも、当時の新車価格から残価を算出すると、SLは17%程度、Gクラスは35%程度となります。

18年落ちでも、残価「35%」相当のGクラスは、クルマとしては驚異的な数字だと思います。

ちなみに、もしも当時、中古車で124型ミディアムクラス/Eクラスのワゴンを購入したならば、残価は100%となったかもしれません。2001年当時124は、旧型モデルとして安価でしたが、2000年代中盤から名車として評価。今では走行距離10万km以上の個体でも、けっこうな価格で販売されています。

しかし、そういった「残価100%」に限りない近い買い方をしたとしても、クルマの場合、税金や整備代等の維持費がかかるため、本体価格以外にも出費がかかるといえます。

◆最後に、腕時計の場合はどうか?

さて、最後に腕時計の事例をご紹介。

2001年当時、プラズマテレビの輝きを横目に、悔しがっていた私の腕にあったパテックフィリップはどうなったでしょうか?

私が当時保有していたのは、アクアノートの5065/1Aというモデルなのですが、中古62万円で購入しています。現在、5065/1Aの中古安値は400万円程度といった価格帯。実に、残価は645%となります。

値上がりした額は、338万円となるわけで、本体価格の5倍以上のリターンとなったわけです。

仮に今、ミスして200万円という安値で売却したとしても、その値上がりは100万円以上という水準。それに加えて、1回15万円で3回オーバーホールをしたとしても、90万円程度のプラスとなるでしょう。「20年で3度のオーバーホール」はあまり現実的でないと思いますし、中古相場の半額程度の売却値となることも稀だと思います。そういった不利な計算をしたとしても、アクアノートは「買った値段より随分高くなった」モノであるのです。

ただし、今に至るまで私はアクアノートを所有し続けているわけではないため、相場400万円で売ったわけではありません。いずれにしても、買った値段より高い価格で売却したため、プラズマテレビより遥かに良い買い物だったことに違いありません。

ということで、高級耐用年数が最も長いのは腕時計。2001年の段階で、プラズマテレビにムカつきながらも、腕時計を信じた私の感覚は大勝利だったわけなのです。

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】

1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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