「スカーレット」17話。布団のうえでブリッジ、戸田恵梨香の運動神経に目をみはる

エキレビ!

2019/10/19 08:30



(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)
連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第3週「ビバ!大阪新生活」17回(10月18日・金 放送 演出・中島由貴)
今日も美猫出た。
まとめて一気に撮影しているのだろうか。
「世界ネコ歩き」ならぬ「セットねこ歩き」の日があったとしたら楽しそう。これをスピンオフにしてほしい。

「これ、荒木荘の仕事ですか」
大阪の生活もだいぶ慣れた喜美子(戸田恵梨香)。近所のマスター(オール阪神)とも仲良くなって、新装開店のコーヒー無料サービス券を一枚多くもらうほどだ(それはあとで、ちや子に一枚あげるといういい話になっている)。

仕事の合間を見て、下駄箱にイラストつきの名札を貼ったり、ペン立てを作ったり、生活に彩りをもたらす。それを見た大久保(三林京子)はいいとも悪いとも言わず、むすっとした表情で、そんなことをする間があるなら…とストッキングのつくろいをやるように指示する。それも大量に。

「それ、荒木荘の仕事ですか」と喜美子は二回聞く。そこはしっかり者である。業務外の仕事をやらせられてはかなわない。それはいつの時代も同じ。

結局、大久保の迫力に押され、なんだか腑に落ちないまま喜美子は夜なべして、丁寧につくろいものをする。ボールらしきものを下敷きにして縫っていた。なるほどこういうふうにするのかと参考になった。ストッキング縫わないけど(この時代はストッキングが贅沢品だったのだなあ)。

がんばり過ぎて、朝、寝過ごしてしまう喜美子。合間にやれと言われたにもかかわらず、根を詰めてしまうのが喜美子らしいってことなんだろう。

大久保はうまいともダメとも言わず、ストッキングを追加してくる。
きーっとなって喜美子は枕を大久保に見立てて、柔道の技をかける。このへんは、師匠が理不尽に弟子を鍛えるアクション映画のような感じである。戸田恵梨香のみごとな運動神経。大久保がいるため給料が正規の分支払われないとしったときの激しさといったら。布団のうえでブリッジには拍手したい。

お給料1000円
ある日、荒木商事にお弁当をもってくると、下着のファッションショーの準備が行われていた。みんなお化粧のレッスンをしていて、会社のなかは光に満ちていて華やか。戦後、女性が着飾ることを覚えて元気になっていく様子は「カーネーション」や「べっぴんさん」を思い出す。
元気のないとき、口紅をつけると元気になるという話が印象的。スカーレットだけに、赤が、女性を元気にさせるというモチーフになっているのだなと思う。

お茶を煎れる準備をする喜美子、このとき、茶器入れの蓋の開ける所作がじつに自然。戸田恵梨香は料理をするのが好きで、「SPEC」の撮休のとき家でカレーをつくって翌日スタッフ・キャストに振る舞うなんてこともしていたくらいなので、ちょっとした生活の所作が手慣れて見える。だからといってふだん料理をしない俳優が料理のできる役はできないわけではない。殺人の経験がなくても殺人者の役はできるというやつである。やったことのあることしかできないのでは俳優の意味はない。料理のプロや前科者に頼むほうがいいってことになってしまう。やったことのないことをやるとき、いかに演技でやり慣れて見せるかが俳優の腕の見せどころなのだ。ただ、経験も役に立つものだから、いろいろ経験していて損はないと思う。戸田恵梨香の場合、料理とアクション経験(少林寺拳法)が喜美子の役に役立っているのだろう。

帰りがけに、さだ(羽野晶紀)から給料をもらうが、たった1000円(大学出の初任給が6000円だったとナレーションで説明される)。まだ大久保に研修を受けている期間であるからと説明され、喜美子にとって大久保は給料を奪う邪魔者になる。冷静に考えたら、教えてもらっているのだから、仕方のないことなのだが(お豆さんを煮る時間だって教わっているわけで)、こんなに働かされて(時間外労働も強いられて)ナットクいかないのも無理はない。まだ15歳だし。

ただ、これが単なる先輩のシゴキではなさそうで、この後、どうなるか……なんとなく想像できるところが親切設計だなと思う。誰が見ても作り手の意図が容易に読みとれるものでないとSNS時代には喜ばれないのである。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめ
●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 絵がうまく金賞をとるほどの腕前。勉強もできる。とくに数学。学校の先生には進学を進められるが中学卒業後、就職する。
川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいるらしい。
川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。
熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。
大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。

●滋賀で出会った人たち
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を
「ゴミ」扱いされる。
草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいた。帰国の際、離れ離れになってしまった妻の行方を探している。喜美子に柔道を教える。
工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。

保…中川元喜  常治に雇われている。
博之…請園裕太 常治に雇われている。

●大阪 荒木荘
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対する。
酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。
庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者で不規則な生活をしていて、部屋も散らかっている。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて引きこもり中。
静 マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。

あらすじ
昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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