ラグビーW杯南アフリカ戦直前。日本はなぜ、前回大会で勝利できたのか?

エキレビ!

2019/10/19 08:30

再び訪れる決断のとき。あす、リーチ・マイケル主将率いるラグビー日本代表は、初のW杯決勝トーナメント、南アフリカとの大一番を迎える。

南アフリカといえば、前回W杯で「スポーツ史上最大の番狂わせ」といわれる大金星を挙げた相手だ。

試合会場にちなみ「ブライトンの奇跡」として世界でも話題となり、『ハリー・ポッター』の作者J・K・ローリングに「こんな話は私には書けない」と言わしめたエピソードが懐かしい。今にして思えば、世界から見た日本ラグビーへの注目度はこの時から高まったともいえる。

あすの再戦を前に、今一度この大金星という結果を振り返るメディアは多い。が、権利関係の問題もあって試合映像は最後のトライシーンだけ、という場合がほとんど。あの試合に至るまでの日本の“弱小国”ぶりなど、当時の日本代表が置かれた境遇まではうかがい知れない。

そこで、復習教材として、さらには今大会をきっかけにラグビーを見るようになった人にオススメしたい映画がある。南アフリカ戦勝利までの軌跡を描いた『ブライトン ミラクル』(The Brighton Miracle)だ。今ならAmazonプライム、もしくはDAZNでいつでも視聴することができる。


エディ、リーチ、広瀬、五郎丸たちの「決断」の物語
物語は、2015年のラグビーW杯からさかのぼること1321日前。エディ・ジョーンズ(前)日本代表ヘッドコーチとの契約日から始まる。

2015年大会以前、日本代表のW杯戦績は7大会でわずか1勝のみ。95年の第3回大会では、オールブラックス相手に17対145という大会最多失点での大敗「ブルームフォンテーンの惨劇」も経験。そんな“ワールドカップ史上最低成績”を持つ日本が、過去2度の優勝を誇る最強軍団・南アフリカから、いかにして勝利を収めたのか?

ハイライトは、実際の試合映像をふんだんに使ったW杯南アフリカ戦の激闘であるのは間違いない。試合パートは15分近く。これだけでも一見の価値あり。

ただ、この映画の見どころは試合に至るまでのドラマパートにある。前回大会のキーマンである主将のリーチ・マイケル。前主将にしてTBSドラマ『ノーサイド・ゲーム』ですっかり人気者になった廣瀬俊朗。2015年大会の象徴的存在であるエースの五郎丸歩。そして、脳梗塞を患いながらもチームを率いた名将エディ・ジョーンズ本人たちの証言を挟みつつ、再現ドラマでその内幕を詳細に解き明かしていく。

なぜ、エディは日本を変えることができたのか? その変化に至るまでぶつかり続けた選手たちとの確執。協会との軋轢。さらにはエディ自身が脳梗塞を患い、大会直前には最愛の父との別れ……試合結果だけでなく、この過程だってJ・K・ローリングは「こんな話は私には書けない」と言ってくれるのではないか? という波乱万丈ぶり。

そんな日本代表の成長過程、そして試合そのものでキーワードとなるのが「決断」の2文字だ。

南アフリカ戦の勝因としてよく報道される内容に、最後の逆転トライを生んだ“選手たちの決断”がある。エディは「ペナルティゴールで引き分けを狙え」と指示したにも関わらず、ピッチ上の選手たちが自ら「スクラムからトライを狙う」と決めたからこそのプレーだった。

『ブライトン ミラクル』は、まさにこの“決断”に向かって、逆算するような作りとなっている。

対戦相手が南アフリカと決まって初めての記者会見。エディは「フィールドで戦うのは選手たちだ。自分たちで決断をしていく必要がある」と語る。

代表キャプテンを広瀬からリーチに変えた理由を記者から問われ、「自分を持っている。決断できる」と返すエディ。

試合直前には「南アフリカ戦、なにかあったら君が決断しろ」とエディがリーチに直接語りかける場面もある。こうした積み重ねの先に、あの奇跡のトライがあったのだ。

ならば、今回の自国開催W杯に向けて。そして、あすの大一番に向けて、現代表の面々が積み重ねてきたものは何か? そんな視点も持てるようになるのではないだろうか。

このほか、映画ではエディが選手たちに語った数々の名言が登場する。ラグビーと本気で向き合う男たちが発する言葉を味わうだけでも、大一番に向けてさらに気持ちを高めてくれそうだ。

そんなエディ名言のなかでも筆者のお気に入りは次の言葉だ。
「これまでの人生で、歴史を創る機会は何回あった? 歴史を創るのに必要なのは、あとたった0.5%の向上だ。人の記憶に残る人生をどう送るか」

あす、日本代表が新たな歴史を創る瞬間と、最高の決断を期待して。
(オグマナオト)

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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