博報堂ケトル代表・嶋浩一郎さんの本棚を拝見!「同じ本を、時を隔てて二度買うこともある」

日刊Sumai

2019/10/19 17:50

クローゼットや机の引き出しと同様、なんだか覗いてみたくなる他人の本棚。各界の大の本好きに、普段は見せない「奥の院」を見せていただきます。
「本は出会ったときに買わなきゃだめ」
嶋さん宅
築6年の注文住宅は、玄関、階段、リビング、書庫とあらゆる空間の壁に、本と雑誌が並ぶ。ひと月に読む雑誌は約30誌、新聞は5紙購読中。大変な量だが、不思議と雑然とした感じや圧迫感がない。
「建てるとき、妻に『床はあげるから、とりあえず壁はもらっていいかな?』とやんわり頼みました。だから、今は床にものを置くと、異常に怒られます(笑)。でも、壁全面が本だと息苦しいので、ガラスとコンクリートが見えるよう設計しました」
嶋浩一郎さんの本
カラフルなチップは付箋。『スタジオ・ボイス』『エスクァイア』など雑誌のバックナンバーは貸し倉庫にも保管している。毎月30誌は目を通す
嶋浩一郎さんの本
本の並びに秩序はない、とのこと。エッセイ、ノンフィクション、実用書、小説、マンガが混在。にもかかわらず整然と見える不思議
嶋浩一郎さんの手帳
愛用しているモレスキンの手帳10 年分。本や雑誌に付箋を張り、1か月後に判読。重要部分を書き写している
同じ本を、時を隔てて二度買うこともある
嶋さん宅
嶋浩一郎さんは、東京・下北沢の本屋B&Bの経営者でもある。ブックとビールという2大好物の頭文字を店名にしたという。なるほどこの書棚にも、ビールに関する本が散見される。じつはこの「散見」が特徴で、好きな小津安二郎、チェコの小説、国際政治、微生物、浦沢直樹の漫画、文具の本、日本書紀、ワインの本などが無秩序に隣り合い、あちこちに点在する。ジャンルや年代、作家で分けたりしない。そのほうが落ち着きがいいらしい。
嶋浩一郎さんの本
嶋さん宅
幕の内弁当のように、いろんなおかずが詰まった、見るからに楽しい書棚だ。買い方もまた潔い。
「雑誌は定期購読すると発見がないので、本屋で買います。本は二度と出会えないかもしれないので、いいなと思ったら買う。うっかり同じ本を買っても、前買ったときと今と、気持ちが違うから読み方も変わる。それでいいんです」

人が注目しないものに注目している本が好き
ウディ・アレンと原節子関連の本は無条件にすべて買ってしまう。前 者は不条理をユーモアでくるむコンセプトに惹かれる
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京都本をよく読む。数ある中でも鷲田さんの本は哲学者の目線で京都が描かれていていっぷう変わっている
いま当たり前と思っているすべてのものが、その形になったのには理 由がある、ということがわかる本。ニッチなテーマがおもしろい
いま当たり前と思っているすべてのものが、その形になったのには理 由がある、ということがわかる本。ニッチなテーマがおもしろい
15分悩み、好きな本の1冊に、工学者ペトロスキー著のフォークの歯についての本を選んだ。
「僕らがいま当たり前と思っている製品ほど、それができるまでにイノベーションがあり、ビッグストーリーが潜んでいるんです。そこがおもしろいなと。ほかにも、冥王星とかクマムシとか大腸菌とか、人が見向きもしないものに注目していたり、目に見えない小さなものが実は大活躍しているんだみたいな話が大好きです」
変人に興味がある。エルデシュは絹のパジャマしか着ない数学者。『フ ァインマンさんの流儀』は奇人の物理学者ファインマンを描く
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チェコの作家フラバルの小説。彼の作品には必ずビール工場が登場。 自分もビール好きなので引き込まれる。もともと南米の小説が好き

日本書紀や古事記、ギリシャ神話、ローマ神話、旧約聖書はさまざまな訳を読む。三浦さんの口語訳は読みやすく、脚注があるから便利
書店員の同士と本屋大賞を立ち上げた。だがきっと、本読みは仕事のためなんかじゃない。本当に好きでたまらないのだと、本を語るときのまなざしからわかった。
嶋さんへのQ&A
嶋さん
Q どんなタイミングで本を買いますか?
A 書店を経営していますが、自分の店とは別に1日1回は本屋に行くと思います。知らない町でも10分空き時間があれば寄る。3分いればいろんな情報のシャワーをあびることができます。
Q 本が天井まで積み上がられているこのお部屋は?
A 自宅2階です。ステップフロアになっていて、本と雑誌とオーディオを収納しています。正面奥は階段で、そこにも本を積んでいます。自宅に入りきらないので、貸し倉庫にも収納しています。
Qよく行く書店は?
A 南阿佐ヶ谷の書原、代々木上原の幸福書房、神保町の東京堂
嶋浩一郎さん
博報堂ケトル代表・クリエイティブディレクター。1968 年生まれ。『広告』(博報堂)編集長を経て2006 年、既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する博報堂ケトル設立。本屋大賞の立ち上げ、エリアニュースサイト「赤坂経済新聞」編集長のほか、本屋B&B( 内沼晋太郎との共同事業)運営など幅広く活躍。『企画力』(翔泳社)ほか著書多数。
取材・文 大平一枝
撮影 本城直季
※情報は2016年3月発売「リライフプラスvol.20」掲載時のものです

当記事は日刊Sumaiの提供記事です。

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