三足のわらじをはく副業リーマンも。効率よく稼ぐ秘訣は?

日刊SPA!

2019/10/19 15:52

「働き方改革」に伴い、政府も副業を後押しする昨今。スキマ時間に手軽にできるものから、まとまった元手や時間を要するものまで、その内容は多種多様だが、果たしてその明暗を分かつものは何なのか?

◆三足のわらじをはくフルタイム会社員

副業を行っている人の内訳は非正規や個人事業主などが多く、会社員をしながら副業をしている人はまだまだ少数派。総務省「就業構造基本調査」などによると、正社員の中で副業をしている人の割合は約2%とごくわずかだ。それでは実際に副業OKの会社でフルタイム勤務をこなしながら、副業で稼いでいる人はどんな生活を送っているのか?

専門学校を卒業後、IT系の会社を中心に職を転々としてきた高橋修一さん(仮名)は、現在、副業OKの会社で正社員として働いている。会社では広報などを担当しているが、前職の経験などを活かして副業で広告代理業をやっているという。

「前職のWebサービス会社でブログメディアの立ち上げや運営を担当し、自社サービスのPRのため広告代理店とやりとりするようになって、広告に興味を持ちました。広告代理業の副業では経営面や営業などを回す仲間と会社もつくっていて、僕はEC事業のマーケティング戦略の設計や構築といった実務の担当です。起業してまだ半年ほどで浮き沈みもありますが、ようやく軌道に乗ってきて本業の倍くらい稼げるようになってきました」

もはやどちらが副業か本業かわからない高橋さんだが、現在の会社に転職したのはパソコンさえあれば基本どこでも働けるため。シフト制のパラレルワーカーとなった。

「広告代理業ではWebがメインのPR支援やマーケティング支援もやっていて、リスティング広告やSNS広告の運用も行っています。広告用のクリエイティブ制作はコストも結構かかるので、自分達で画像や動画を制作します。Macに標準装備されているiMovieや、最近ではAdobe系のソフトも触れるようになってきました。アウトソースするよりも、自分たちでやってしまったほうが早いですし、新たなスキルを身につけるのは楽しく、キャリアが多様化します」

そんな高橋さんだが実は音楽アーティストとしても活動している。

「一応、アメリカやヨーロッパなど海外の音楽レーベルと契約して音源のリリースを行っています。販売ルートはiTunes StoreやAmazon Musicなど基本はデジタル販売。売れたら1曲あたり120円前後、Spotifyなどストリーミングは1配信1円くらいが相場です。iTunesの場合は日本の代理店を使っていて、曲とジャケットのデータを渡すだけ。月額の固定費だけで売り上げは100%バックです。海外の代理店はいい加減なところも少なくないですが、日本の代理店はレポートなどしっかり細かくやってくれるので、音楽をやっている人にはおすすめです」

◆「週10時間の作業で2曲」「ライブはコスパが悪い」

音楽活動は趣味も兼ねており、稼ぎとしては月に数万円程度とのことだが、その活動の中身は独特だ。

「音楽制作の作業時間は週10時間、1曲5時間で週2曲つくると決めています。僕がやっている音楽はジャンル的にも1万枚とかの大ヒットをつくれる世界ではないので、とりあえず数でいこうと。リリースに至らなかった曲は、著作権フリーの音源を集めた『Audiostock』などに少し編集を加えて登録・販売しています。フリー素材ってイラストや画像が有名ですが、最近は音楽や映像でも増えていて。同様の海外サービスなども活用すると、制作にかけた労力を回収しやすいです」

プロモーションも基本的にSNSで展開しており、所有するSNSアカウントは20を超えるという。

「日本と違い、ヨーロッパ圏などではそれなりにメジャーなジャンルなのでFacebookと相性がよく、ファンがよく集まるSNSコミュニティにリリース情報や曲を投下すると聴いてもらいやすい。曲を気に入ってもらえればシェアしてくれますし、有名なDJがラジオで流してくれたり、Spotifyのプレイリストに入れてくれたりするとグッと伸びます。

SNSはタダでできるプロモーションなので、みんなもっと活用すればいいと思いますが、日本人は消極的な気がしますね。僕も英語に明るいわけではないんですが、そもそも音楽の世界は多言語なので日々様々な言語で感想や問い合わせがくるし、Google翻訳とかに頼ればFacebookメッセンジャーのやりとりくらいなら問題ありません」

音楽の場合、多くの人に聴いてもらえるかどうかは当然センスなども問われるだろうが、少なくとも言語の壁などを感じることはあまりないようだ。高橋さんは昨年レーベルも立ち上げ、ほかのアーティストの作品もすでに5枚リリース。年内にはCDとレコードも出す予定だとか。

「取り分としては、販売代理店さんへの手数料を抜いた利益をアーティストと50%ずつ折半しています。契約の細かいニュアンスの部分とかで、グーグル翻訳の限界も感じて、そこは少し苦労しましたが。レーベルをやっていると世界中からいろんな音源が送られてくるので面白いです」

ちなみに学生時代はDJやバンド活動もしていたそうだが、リアル音楽イベントは「コスパが悪い」らしく、今はほとんどやらないとのこと。

「僕のようにパラレルで動いているととにかく時間が貴重です。イベントをやると、拘束時間やスケジュールの調整も増えてしまいますから。今のような音楽を本格的に始めて5年くらいですが、基本、常に曲を作りながら広告の管理画面を見ているという感じで、DTMはパソコンさえあればどこでも作業できます。デジタルな音楽をやっているのは、もちろん好きというのもあるんですが、パソコンだけで活動を完結できるように戦略を考えた部分もあります」

仮想通貨やFXなども興味半分で手を出してはいるが、「基本的には手を動かして制作するのが好き」という高橋さん。広告代理業での仕事も自身のアーティストとしての強みになっていると語る。

「SNSでどう展開してフォロワーを増やしていくか、広告代理業のクライアントさんから相談されることもありますが、動画やバナーをつくるために培ったiMovieやPhotoshopのスキルもMVやジャケット制作など音楽で活かせます。人に本業を聞かれて本当に言いたいのはやはり音楽なので、基本的にはアーティスト活動を軸に、音楽を続けるためのスキルを仕事の中で磨いていきたいです」

会社勤めをしながら副業を続けるためには本業、あるいは私生活の趣味や楽しみと、いかに紐づけて相乗効果を生み出せるかが大きなポイントとなるようだ。

<取材・文/伊藤綾 取材協力/副業アカデミー>

【伊藤綾】

1988年生まれ道東出身。いろんな識者にお話を伺ったり、イベントにお邪魔するのが好き。SPA!やサイゾー、マイナビニュース、キャリコネニュースなどで執筆中。毎月1日に映画館で映画を観る会"一日会"(@tsuitachiii)主催。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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