「スカーレット」16話。戸田恵梨香、裏返った声で「荒木荘でございます」大島優子は極上の笑顔

エキレビ!

2019/10/18 08:30



(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)
連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第3週「ビバ!大阪新生活」16回(10月17日・木 放送 演出・中島由貴)
今日も美猫出た。
美猫過ぎるのでどこかの飼い猫なのだろうかなどと想像する。

大阪は荒木荘で女中として働き始めた喜美子(戸田恵梨香)。生活がばらばらな下宿人のために、食事の内容も出す時間もその都度、臨機応変に対処する。掃除の場所によって箒も変える。家の仕事を突き詰めようと思ったらいかに大変かということが描かれた15回。
朝4時には起きて働くという15歳の少女には大変な仕事量のようだが、実家への手紙には「楽しい」と書く健気さはドラマによくあるし、現実でもよくあることかもしれない。

「荒木荘でございます」
16回では、電話の出方を習う喜美子。電話のある家がまだ少ないので、近所のひとにも使ってもらうようになっている。
ここで近所の地図が出る。「まんぷく」でもかんたんな周辺地図を公式で出していたし、「半分、青い。」でも商店街の地図がドラマの中で出てきた。地図によって世界観がつかめると楽しいものだが、いずれも細かいリアリティーを追求できるほどの精度のある地図ではないところが惜しい。

「なめられんように大人のええ声だすんやで」と大久保(三林京子)に言われ、声をひっくり返しながらがんばる喜美子。
「荒木荘でございます」と「サザエでございます」ふうに言う。
そうか、人が気取った作り声を出すのはなめられないためなのだな。

お父ちゃん、泣く
その頃、信楽では、大野家に電話がつき、ここでもまた近隣の人にも使ってもらえるようにしてあった。
常治(北村一輝)は雇っている若者たちに食事させ酒を飲んで酔っぱらい、忠信(マギー)に介抱され大野家につれてこられて、その脇に電話があるものだから、荒木荘にかけてみる。

取り次ぐ喜美子。でも先方は黙ったまま。
「荒木荘でございます」ととびきり作った声で言う(ちょっと笑ってしまっているところがおかしい)。
常治が声聞くだけで胸いっぱいらしく、一言も発しないうちに切れた電話を前に泣き崩れる。
北村一輝は、すっかり、みごとに常治の不器用キャラを作り上げている。

その後、喜美子は、ちや子(水野美紀)が記事を書いた淀川で溺死した人が酔って川に落ちたことを知り、
大酒飲みの父のことを心配する。ここだけ妙にリアリティーが…。
だがこの場面は、それよりも、喜美子がもってきた信楽焼のかけらに価値があるかもしれないとちや子が言って、
喜美子がうはうはになるところこそが重要(戸田恵梨香のうはうは演技がハマっている)。
まさか、陶芸の道に進む理由は芸術的な興味でなくて、お金なのか。
喜美子は「カメラはないけどラジオはあります」と言う。貧しさは強いモチベーションになるのである。

この喜美子とちや子の会話は、新聞記者であるちや子と貧しく信楽から出てこざるを得なかった喜美子の状況
説明から、喜美子の運命が転がっていくきっかけまで、おしゃべりの話題がどんどん切り替わるようにして書いていて巧い。

ぱあっとした大島優子
喜美子の「楽しい」というはがきは、直子(安原琉那)と照子(大島優子)を刺激する。
直子は大阪に行きたいと騒ぎ立て、照子は36個も「楽しい」と書いた返事を書く。
照子は、信作(林遣都)に写真を撮らせそれも同封する。
そのときの笑顔が、さすが、元アイドル。
「ああ楽しい ぱあ~!」と言いながらポーズをとる照子に、信作は「偽りの笑顔」と指摘するのであった。ふふ。

(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめ
●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 絵がうまく金賞をとるほどの腕前。勉強もできる。とくに数学。学校の先生には進学を進められるが中学卒業後、就職する。
川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいるらしい。
川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。
熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。
大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。

●滋賀で出会った人たち
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を
「ゴミ」扱いされる。
草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいた。帰国の際、離れ離れになってしまった妻の行方を探している。喜美子に柔道を教える。
工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。

保…中川元喜  常治に雇われている。
博之…請園裕太 常治に雇われている。

●大阪 荒木荘
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対する。
酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。
庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者で不規則な生活をしていて、部屋も散らかっている。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて引きこもり中。
静 マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、新装開店する予定らしい。

あらすじ
昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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