理屈で行き詰まったら理屈を超えるしかない?

日刊SPA!

2019/10/17 15:50

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第126回

六本木の国立新美術館で「カルティエ時の結晶」展が始まった。世界的な高級宝飾ブランドであるカルティエが、これまでにどういったものをモチーフにして、アクサセリーや時計を製作してきたのか、その創作の歴史を振り返る展示会となっている。

展示されている作品はヘビのブレスレットやオーキッド(蘭)のブローチといった動植物をモチーフにしたもの、中国の庭園風の置き時計やスフィンクスのネックレスといった世界各地の文化をモチーフにしたものなど様々だ。音声ガイドでは、「カルティエがモチーフにしたものを集めると世界を一周できる」と説明されていた。

特に面白かったのが「クラッシュ」という腕時計だ。この時計はベゼルが耳の形のように歪んでいる。この歪んだ腕時計は、クルマで踏み潰してしまった腕時計が工房に持ち込まれた時に生まれたという。このように発想や創造はゼロからではなく、すでにあるものをモチーフにすることで生まれるものだ。

「世の中にあるものを自分の仕事に生かす」というのはカルティエに限らず、誰でも真似できる発想だ。マジックテープはオナモミから生まれたし、アルキメデスの原理は湯船につかった時に発見された。自分の仕事というのは、自分以外の人や物に触れた時に見つかるものだ。

ヘビも蘭もスフィンクスもカルティエとは関係がない。その関係のないものをカルティエはアクセサリーや時計という自分の仕事に生かしている。言われてみれば当たり前のことだが、当たり前のことほど見過ごされるのは世の常だ。

自分や自分の仕事について考えるようとすると、つい部屋で一人で考え込んでしまいがちだ。しかし、そんな風に考えても、ただ悶々とするだけで納得のいく答えは出てこない。なぜなら自分とは、自分以外と接することで初めて明らかになるものだからだ。

「カルティエ時の結晶」展はこのことをアクセサリーや時計といった具体的な物体によって教えてくれる。美術展は「すごい人のすごい作品を見て終わり」ではない。自分との共通点を見出すことで、自分の生活や仕事に生かせる、そんな自己啓発的な側面を持っている。

先日、あるトークイベントで美術展に行くメリットについて話したところ、イベント後に美術オークションに携わる方に声をかけられ、名刺を交換する機会があった。彼によると、アートに対する興味関心が愛好家に限らず一般の間でも高まっているらしい。「ロジカルに考えるだけではうまくいかないことがわかってきて、生活や仕事のヒントをそこに求めているのではないか」と話していた。

もちろん単に宝飾品として見るだけでも、普通に暮らしていたらまず見ることのないような宝石のまばゆい輝きは目の保養に十分なる。「カルティエ時の結晶」展は12月9日まで約2か月間開かれている。もし興味がわいたなら、ぜひ行ってみてほしい。きっと参考になるものが見つかるだろう。

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

【佐々木】

コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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