海宝直人&昆夏美「ドタバタコメディーを楽しんで」 日本オリジナルの新作ミュージカル『ロカビリー☆ジャック』に挑む二人にインタビュー

SPICE

2019/10/11 20:00



2019年12月にシアタークリエで開幕する新作ミュージカル『ロカビリー☆ジャック』。『SONG WRITERS』(13・15年)が好評を博した、森雪之丞(作、作詞、楽曲プロデュース)&岸谷五朗(演出)のタッグで送る注目作だ。ロカビリー音楽をテーマにした本作で作曲を手掛けるのは、斉藤和義、さかいゆう、福田裕彦と、豪華な顔ぶれ。キャストも、屋良朝幸、海宝直人、昆夏美、青柳塁斗、岡千絵、平野綾、吉野圭吾と個性豊かな面々が揃った。

SPICEでは、主人公の売れないロカビリーシンガー・ジャック(屋良朝幸)を支える、マネジャー・ビル役の海宝直人、ジャックと恋に落ちる女性シンガー・ルーシーに扮する昆夏美にインタビューを実施。『レ・ミゼラブル』(以下『レ・ミゼ』)でマリウス(海宝)とエポニーヌ(昆)として長年共演し、来年には『ミス・サイゴン』も控える二人の、息のあったクロストークをたっぷりとお届けする。

豪華クリエイターこだわりの衣裳&楽曲&濃厚キャラのTheコメディー!


ーーミュージカル『ロカビリー☆ジャック』にご出演が決まったときの、率直な感想から教えていただけますか?

海宝:日本でオリジナルミュージカルをつくるという、素敵な企画だと感じました。シンガーソングライターの斉藤和義さんが楽曲を提供されるというのは、ミュージカル界にも音楽業界にもセンセーショナルなことですよね。初めてご一緒する演出の岸谷五朗さんもエネルギッシュな方で、稽古が楽しみです。稽古を進めていく中で、台本も役者に合わせてどんどん変えていく方、と聞いているので、刺激的な現場になるだろうなと思っています。

:豪華なクリエイター陣ですよね。キャストも個性豊かで、素敵な作品になるだろうな、と予想しています。
昆夏美
昆夏美

ーーロカビリーファッションに身を包んだメインビジュアルが印象的です。撮影時は岸谷さんがスタイリストさんと一緒に衣裳を選ばれたとか。

海宝:そうなんです!

:スタイリストさんが作品の雰囲気に合ったものを何着も用意してくださって、岸谷さんを交えて、こっちの組み合わせの方がいいんじゃない?なんて話しながら決めていきました。舞台のビジュアル撮影ってシーンと静かで緊張することも多いんですけど、今回は音楽をジャンジャン流しながらの撮影で、楽しかったです。髪型も奇抜だけど、印象的でいいですよね。私の前髪も、どうしちゃったの?ってくらいクルッとしてます(笑)。

海宝:舞台のビジュアル撮影って、作品とのファーストコンタクトみたいなところがあるんですよ。まだ稽古も始まっていない、そこまで作品のことが分かっていない状態で、結構緊張するものなんです。今回もドキドキしながら撮影現場に入り、ヘアセットしてもらって、だんだんと立ち上がっていく髪の毛を見ていて……。

:海宝くんも髪型がクルッとしてるね。
『ロカビリー☆ジャック』チラシ
『ロカビリー☆ジャック』チラシ

海宝:そう、クルッと(笑)。完成したヘアメイクに、すごい!と思いながら、ちょっと恥ずかしい気持ちもありつつ撮影に挑みました。岸谷さんがすごく気さくな方で、「いいよー!カッコいいじゃん!」って乗せてくださり、楽しかったですね。初対面の屋良さんともツーショットを撮り、緊張しました。屋良さんが演じるジャックに、僕が演じるビルは憧れているという設定なんですが、屋良さん自身がすごくカッコよくてまさにジャックだなと。

:分かる! 屋良さんが出演していた『ドッグファイト』を観たんだけど、オーラがあって、舞台の真ん中にどっしりと立つ方だなと思った。

ーー台本を読まれて、どんな印象を持ちましたか?

:まさにコメディーですね。

海宝:そう、そして本当に面白い。それぞれの登場人物のキャラクターが濃くて、このメンバーが演じることで、もっと色濃くなるんじゃないかなって。詳しくはまだ言えないんですけど、(吉野)圭吾さんの役がすごい。

:チラシのビジュアルだけで、すでに只者じゃない感があるもんね。
左から 昆夏美、海宝直人
左から 昆夏美、海宝直人

海宝:実際に芝居が立ち上がったときに、すごく面白いことになるだろうなって思います。

:雪之丞さんの脚本が面白いんですよ。セリフにちょっとした合いの手が入って、クスッとさせられます。

ーータイトル通り、楽曲はロカビリーっぽい曲が多そうですか?

海宝:ロカビリーっぽい感じもありつつ、幅広いジャンルを感じさせる曲になりそうです。僕はまだ4曲しか聞いてないんですけど、今までのミュージカル曲とはちょっと違うテイストだなと。今デモ音源をいただいているのは、斉藤和義さん、さかいゆうさん作曲のものなんですけど、それぞれアーティスト、シンガーとして活躍している方のセンスを感じます。僕もバンドをやっているので、ミュージカルとは違ったアプローチができたらいいですね。

:私は今、2曲いただいていて、そのデモ音源は斉藤和義さんがギター1本で歌っているものなんです。最初聞いたときにすごい!CDみたい!って思っちゃいました。斉藤さんの楽曲の世界観を自分がどう歌いこなしていくか……、今までの自分にはない引き出しを開けないといけないなと思っています。

日本オリジナルのミュージカルは刺激的な挑戦


ーー新作、オリジナルのミュージカルに出演する意気込みを教えてください。

海宝:日本でオリジナルミュージカルを作っていくというのは、僕も今後やっていきたいことです。オリジナル作品に関われるのは役者としてすごく幸せなことなんですが、それでいて非常に怖い部分もあるんです。一から立ち上げていくわけなので、自分次第な面がありますから。今回、百戦錬磨のクリエイター陣、キャスト陣のなかで、自分がどれだけクリエイションできるか、緊張感を持って頑張っていきたいと思っています。こうやって、日本のオリジナル作品が作られて、ミュージカル界が活性化していったらうれしいですね。
海宝直人
海宝直人

:いかようにもできるところが、キャストとしての挑戦であり、楽しさであり、醍醐味だと思っています。この作品をちゃんとみなさんに楽しんでいただけるように、いい評価をいただけるようにしないと、という気持ちがこのカンパニーを一丸とさせるんじゃないかなと。私はあまりオリジナル作品の経験が多くないので、楽しみです。

海宝:いわゆる輸入モノの作品に出演することは、それはそれで勉強になるんです。ブロードウェイでオンに乗るまでに、様々なトライアウトをして、ブラッシュアップして上演されて。日本にやって来るときは一切隙のない状態で、海外から来た演出家に演出をつけてもらって、役者として勉強になることがたくさんある。オリジナル作品だと、昆ちゃんも言っていたように、自分たち次第ですから。僕は今年の初めに『イヴ・サンローラン』というオリジナル作品に出演したのですが、やっぱりすごくしんどい産みの苦しみみたいな部分もあって。自分たちが全力を尽くさないと、作品が立ち上がっていかないし、成立しませんから。名作と言われる『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』などは、作品そのものがもう完成されている。だけど新作は、自分たちがクリエイトしていかないと、完成しない。すごく刺激的だなと思います。

:そうだね。『レ・ミゼ』や『ミス・サイゴン』のような、世界的にロングランされているものは、素晴らしい作品という大前提があって、役者もその力に後押しされるところがある。初演だと前例がないから、ゼロから作り上げて、ブラッシュアップして、深めていかないといけないわけで。この作品はコメディーだから、お客様の反応から「ここがウケるんだ!もっとやっていいんだ!」と気付かされることも多そう。私、コメディーって緊張するんです。今までクラシカルで、暗い物語ばっかり出演してきたから。
昆夏美
昆夏美

海宝:アハハ、たしかに(笑)。

:海宝くんは、コメディーの経験ある?

海宝:そんなにやったことないかな。僕も比較的暗い作品が多い。

:共演者の皆さんの間や、岸谷さんの切り込み方を見ながら、勉強していかないとね。

2019年の『レ・ミゼ』を総括!


ーーお二人とも、長丁場の『レ・ミゼ』公演、本当にお疲れさまでした。長年出演しているお二人から見た、2019年の『レ・ミゼ』はいかがでしたか。

:私は今年で4回目のエポニーヌだったんです。海宝君は3回目だっけ?

海宝:そう。昆ちゃん、もう大ベテランだね。

:いや、お局かも(笑)。今年は、マリウス役に二十歳の三浦宏規君、コゼット役に19歳の熊谷彩春ちゃんが入ってきて。エポニーヌにも本当にぴったりな屋比久(知奈)ちゃんが入って、私はすごく刺激を受けました。海宝君もそうだと思うんだけど、初心に戻れたんですよね。新キャストの方々が吹かせた新しい風を感じて、今までの固定概念を捨てて、エポニーヌをもう一度考えてみようって思えた年でした。

海宝:あと、演出補が、15、17年のエイドリアン・サープルさんから、19年はクリストファー・キーさんに変わったのが、大きかったです。マリウスって、毎年求められるものが変わるところがあって。今年のクリスさんのリクエストは、シンプルにリアルに伝えて欲しいというものでした。持っている情熱や思いは伝わっているから、もっと自然にシンプルにしても大丈夫だよ、と言われて。昆ちゃんも言っていたように、今年入った宏規は若くてフレッシュで、あの年代にしか出せないものが確実にあって。僕自身も最初にマリウスを演じた時の写真を見ると、あぁこんなに若かったんだな、と思うんです。実際の若さやフレッシュさにはかないませんから、今年は、若さを演技で作るのではなく役を掘り下げ、向き合ったマリウスでした。17年の時は、とにかくテンションを高く、パッションをぶつけてと言われていたので、今年は本当にシンプルな芝居になりましたね。改めて『レ・ミゼ』の奥深さを感じました。

海宝直人
海宝直人

:エポニーヌが最期を迎える「恵みの雨」で、多くの気付きをくれるのが海宝君のマリウスなんです。今年の札幌公演の初日で、改めて「あ、こういうことだったのか」と気付かされたことがあって。もちろん何度もやらせてもらっているので、自分の中で腑に落ちた状態で演じてはいるんですけど。海宝君とはずっと一緒にやらせていただいているからこその安心感と信頼がありますよ。私もそう思ってもらえていたらいいんだけど……。

海宝:思ってるよ!昆ちゃんの方が先輩なんだから!(笑)

:『レ・ミゼ』の話からはズレちゃうのですが、7月に放送された「FNSうたの夏まつり」で『ミス・サイゴン』の「世界が終わる夜のように」をデュエットした時も、海宝君は初役とは思えない完成度で歌っていて。皆さんご存知、さすが海宝直人!と思いました。

海宝:アハハ、ありがとう(笑)。
左から 昆夏美、海宝直人
左から 昆夏美、海宝直人

:どう来るんだろう、という不安は全くなくて、自然な流れで歌えて。15年から『レ・ミゼ』で一緒にやらせていただいた信頼があってこそですよね。

海宝:もう4年も経ったんだね。僕が15年に入った時は新キャストがすごく少ない年で。エポニーヌは、昆ちゃんの他に、笹本玲奈ちゃん、平野綾ちゃん、綿引さやかちゃんと4人いて。先輩エポニーヌたちに「失礼します!」という気持ちで緊張しながらやっていたよ。

:そんなことないでしょ?

海宝:すごく緊張していて、リードしてもらって頼りっぱなしだった。

:へー!

海宝:「恵みの雨」もそうだし、他のシーンも、もちろん決められた動きをしてはいるんだけど、昆ちゃんと芝居していると、その場で感じたことをお互いにやりとりして、リアルなコミュニケーションが出来てるって感じる瞬間がたくさんあってすごく楽しかったよ。

ーーお二人の信頼関係が垣間見えるエピソードをありがとうございます。来年の『ミス・サイゴン』を控え、まずは『ロカビリー☆ジャック』での共演が楽しみです。

海宝:そうですね、僕も楽しみです。

:屋良さんを第一に考える海宝君が見られるんじゃないかなと思います。今回は私との絡みはあんまりなさそうかな。

海宝:そうだね、役柄的にあまり一緒のシーンはないかも。

:私は、海宝君が屋良さんに翻弄される姿を、イチ観客として楽しもうかと思ってます。

海宝:僕は、不幸にならない、死なない、革命をしない昆ちゃんが楽しみ。

:そうだね(笑)。

海宝:明るいドタバタコメディーを、お客様に楽しんでいただきたいですね。
左から 昆夏美、海宝直人
左から 昆夏美、海宝直人

取材・文=永瀬夏海 撮影=荒川潤
<海宝直人>ヘアメイク:AKANE
<昆夏美>ヘアメイク:五十嵐友美、スタイリング:津野真吾(impiger)、衣装協力:GOLDY、RPKO

当記事はSPICEの提供記事です。

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