知ってるとツウぶれる、酒の味を大きく左右する樽の違い

日刊SPA!

2019/10/11 15:54

―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―

― 第67回 ―

ウイスキーやブランデーなどを熟成させる際は、木樽に入れて保管します。ワインをはじめ、テキーラや焼酎、日本酒も樽熟成を行うことがあります。

◆なぜ、お酒の熟成には樽を使うのか?

蒸留したての透明な原酒はアルコールが鼻につく刺激的な液体ですが、木樽に入れて長い時間をかけることで、まろやかになり風味豊かになります。樽の素材である木材のニュアンスもお酒に出てきます。その過程で、透明な液体は琥珀色に変化していきます。

ステンレスタンクでの熟成と異なり、木樽はある程度空気が出入りするので、酸化による変化も起きます。そのため、外部の室温や気温、気候の変化などにより、お酒が蒸発します。これをエンジェルズシェアと呼びます。

スコットランドなどの理想的な環境だと年に1~2%、アメリカのバーボンでは4~5%、南国で作られるラムだと7~10%となります。そのため、ラムやバーボンは熟成年数が短くても、凝縮感のある濃厚な味を楽しめるのです。反面、長期熟成は難しくなります。

樽にはオーク材が使われます。繊維の密度が高くお酒が漏れにくいうえ、熟成に適したタンニンやポリフェノールなどを含んでいるためです。アメリカンオークはタンニンが少なめでバニラの香りが強め、バーボン樽などに使われます。ヨーロピアンオークはタンニンが多めで複雑な味わいをもたらします。ジャパニーズオーク、つまりミズナラは日本固有の木材です。加工しにくいので、代替素材として使われていたのですが、実はミズナラ樽で熟成させると最高のウイスキーになることがわかりました。長い年数を経ると、白檀の香りが特徴的です。

樽のサイズも重要です。小さいほど短期間で樽の影響が出て、大きいほどゆったりと熟成が進みます。よく使われるサイズは4種類で、バーボン樽の「バーレル」サイズは、180~200リットル、一度使ったバーレルを解体して230~250リットルにした「ホグスヘッド」、400~500リットルサイズの「パンチョン」、シェリーを熟成させる「バット」の容量は480~500リットルです。

◆樽の使い回しがダメなバーボン樽の行方

バーボンは法律で新樽を使うように決められていますので、樽の使い回しは禁止されています。とはいえ、もちろん樽が捨てられてしまうわけではありません。全世界の他の蒸留所に販売され、他のお酒の熟成に活用されています。他には、シェリーの熟成に使用した樽も熟成に利用されています。

バーボン樽で熟成したウイスキーにはバニラ香が付き、シェリー樽で熟成するとフルーティで華やかなウイスキーになります。バーボンやシェリーを出した直後に詰めたものはファーストフィルと呼び、樽の個性が一番強く表れます。何年か熟成させて取り出したあと、別の原酒を入れて熟成させるならセカンドフィルとなります。2回目以降の詰め替えの場合はまとめてリフィル樽と呼ぶこともあります。

一般的にはシェリー樽を使ったウイスキーが人気ですが、どの樽をどのタイミングで何年利用するかは、作り手の腕の見せ所です。手間をかけるほどコストも上がりますが、狙いが的中したときのボトルは最高に美味しくなります。

お酒を熟成する途中で、樽を変えることもあります。たとえば、以前紹介した「GLENMORANGIE NECTAR D’OR(グレンモーレンジ ネクタードール)」の場合は、10年間バーボン樽で熟成させたあと、貴腐ワインのソーテルヌワインを熟成させた樽に詰め替えて2年間熟成させています。

ウイスキーを飲んで、その香りや味わいから利用している樽がわかるようになると、さらに楽しめるようになります。今晩、バーでウイスキーを飲むときには、樽も気にしながら頼んでみてはいかがでしょうか。

―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―

【柳谷智宣】

お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2年前に海底熟成ウイスキーを扱う「トゥールビヨン」を立ち上げ、現在販売中

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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