
大阪市の松井一郎市長が2019年10月10日、ツイッター上で天王寺動物園に関する報道で反論を行った。
エサ代を払えないためコアラのアークが動物園を去ったとの記事で、松井氏が「デマ報道はやめなさい」と記事を引用RTした。果たして松井氏の言い分が正しいのか。
しらべぇ編集部も以前取材したことがある、アーク(記事上部写真)。今回の件について、あらためて天王寺動物園を直撃した。
■「エサ代」がキーに
松井氏が反論したのは「FNNjpプライムオンライン」のツイート。反論の影響もあってか、11日11時時点で当該ツイートは削除されてしまっている。
アークに関する記事は複数配信されているが、削除されたツイートのURLを検索すると「さよならアーク 英へ出発 エサ代払えず」との見出しの記事であった可能性が高い。
強い口調で配信先にツイートを行った松井氏。実はアークの「エサ代」に関する報道への反論はこれまでにもあった。
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エサ代を理由にアークがいなくなったとする報道と松井氏の反論。松井氏の元にはツイッターユーザーからの様々な意見が寄せられた。
では、こうしたネット上での騒動に加わっていない当事者の天王寺動物園はどう思っているのか。11日、しらべぇ編集部は天王寺動物園の事務所の担当者に話を聞いた。
まずアークが去った報道を見てもらった上で、単刀直入に報道と松井氏のどちらかが正しいかを聞くと、「微妙」と端的な回答があった。
「書き方に悪意がありますよね。嘘ではないけど、3000万円が払えないからという風に見える」
■エサ代が払えないわけではない
詳しく話を聞くとユーカリの木は現在よりも高い時期があったことも挙げて、「出せないわけではない」とエサ代が払えないとの報道をチクリ。
また、担当者はずっと前からコアラの飼育から撤退する計画があったとも話している。
■撤退そのものは15年に決定
担当者の話をもとに大阪市のホームページから「天王寺動物園基本構想」というものにたどり着いた。15年8月に策定されたもので、その資料に「天王寺動物園コレクション計画」がある。
この計画の中でコアラは方針として「自然減による撤退」そして備考に「維持困難」と書かれている。この段階で既にコアラの飼育からの撤退が決まっている上に資料にはエサ代の文字が見えない。また担当者は、こう話した。
「エサ代はフィーチャーされていないんです。アークがいなくなったら撤退のつもりだった。ただ、イギリスの動物園から依頼があって…」
■園にとっても苦渋の決断
松井氏の言う通り、アークが天王寺動物園で天寿を全うしてからの撤退を想定していたという。イギリスの動物園に行く話は担当者にとってもかなり急な話ではあったそうだが、「少しでも繁殖の可能性があるなら…」とアークのためを思っての決断だったそう。
「園のことだけを考えたらアークを10年縛り付けることもできた。でもそれをしなかったのです」
誰もアークを手放したくなかった。その思いの強さが電話口から伝わってくる。新しい獣舎の計画まであったそうだ。しかし、アークの生きる道を考えたときに何が最善なのかを考えた時、今回の決断が正しかったのかもしれない。
「アーク父ちゃん」とも呼ばれ動物園の人気者だった生活から新しい家族との生活へ。アークにはぜひとも幸せになってほしいものだ。
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