楠木ともり・石川由依が語るTVアニメ『アサシンズプライド』の繊細な世界


●メリダが強く成長していく姿と、クーファとの距離感の表現には特にこだわりました
10月10日から放送がスタートするTVアニメ『アサシンズプライド』。主人公クーファ=ヴァンピールが、公爵家に生まれながら無才の少女メリダ=アンジェルとともに、裏の任務や各々の運命と対峙していくファンタジー作品だ。

今回はそのメリダ役・楠木ともりと、メリダの従姉妹であるエリーゼ=アンジェル役・石川由依へインタビューを敢行。作品への印象やアフレコの裏話、さらにはメリダとして楠木が歌うEDテーマなど作品全体についてたっぷり語ってもらった。
○『アサプラ』、そして演じるキャラクターの印象は?

――まずは、作品に初めて接されたときの印象からお教えください。

楠木 すぐ「面白そうな作品だな」とは思ったんですけど、読んでいくうちに「なにかひとつが欠けたら、この『アサシンズプライド』の面白さのバランスってすぐ崩れちゃうんだろうな」という繊細さが感じられて。そのバランスがちょうど保たれている素敵な作品だなと思ったんです。だから、普通にハマって結構なスピードでバーっと読んでしまって(笑)。作品独自の用語も多いんですけど、それにも何の抵抗なくスッと入り込めました。

石川 それにやっぱり、キャラクターがすごくかわいらしいですよね。それは絵ももちろんですけど、読んでいてどのキャラクターも平等に好きになってしまうぐらい、嫌になる部分がなくて。それって、メリダをはじめそれぞれがどうしても自分の力では抗えないものに必死に抗っている、すごいまっすぐなキャラクターたちだからなのかなって思うんですよ。家族間のあれこれとか、ちょっと胸が痛くなるようなこともありますけど……。

楠木 こんな幼い子に突きつけていいような問題じゃないですよね…?

石川 ホントに! だってメリダなんてまだ13歳じゃない? でも自分がアンジェル家の子であることを示そうと、能力がなくても必死に努力でどうにかしようとしている姿を観ると、もう「頑張れ!」って思います。

――続いて、それぞれが演じられているキャラクターについてお伺いできればと思います。

楠木 メリダは最初に資料のイラストを見たときには、「金髪ロングでかわいいなぁ」って思いました(笑)。でも先ほど石川さんもお話されていたように、その年齢には大きすぎるんじゃないか? っていうものを抱えている子なんです。だけど、そこに負けることなくまっすぐに立ち向かって、自分でどうにか抗おうとする必死で健気で強い姿には本当に憧れるというか……自分で言うのもなんですけど、私もなにか問題に直面したときにはまっすぐ向き合いたいなと思ってはいるんです。でも、自分がもしメリダと同じ境遇だったら、彼女のようには強くはいられないなと思ってしまう部分があったので、ひとりの女性として尊敬できる部分がたくさんあるんですよね。

――そこは同時に、共感する部分でもある?

楠木 そうですね。だから、メリダから寄り添って来てくれているように思えるぐらいに親近感も湧いてきて。“作品としてのキャラクター”というよりも“ひとりの人物”として受け取れる部分もあるので、その生々しさも含めて、原作を読み始めてからすぐに近い存在に感じられました。

石川 エリーゼは見た目の雰囲気から、感情をあまり出さないキャラクターだなっていうのが最初の印象でした。序盤は作品の中での見せ方としてもちょっと謎めいた雰囲気を持っていますよね。そうなった原因は、今後明かされていくんですが……でも色々なわだかまりが解け、メリダともちょっとずつ話せるようになっていってからのエリーゼが、本当の姿だったんだと今は思います。すごくテンションが上がるようなキャラクターではないんですが、いろんな表情ができるようになり、徐々に内面も見えてきて……それが、割とぽんこつなんですよ(笑)。設定としては戦闘能力の高い子のはずなんですけど、そのギャップがとってもかわいいんです。
○キャラクターの変化と成長、そして刻々と変化する距離感の捉え方

――そういった部分も含めて、おふたりが演じられているキャラクターは、この1クールの中で特に変化や成長が見えるキャラクターのように思います。

楠木 メリダは、それこそ最初はみんなから“無能才女”と言われて冷たい目で見続けられている状態だったので、演じるうえでも変化というものはすごく意識していました。メリダは、本当は強い心を持っているけれども、1話の段階だとそれをまだ出せずにいるんです。そこから、まわりの人たちに少しずつ認めてもらいながら成長もしていって、力がつくことで彼女自身の自信にもつながっていって……というふうに、彼女がひとりの美しい女性としてだんだん晴れやかに強く成長していく姿を出したかったので、だいぶこだわったつもりではいます。あとはクーファとの距離感にも、だいぶ気をつけていました。

――それは、どのように?

楠木 先まで読んでしまっていた原作がどうしても頭にあったんですけど、それとアニメの時点のふたりの距離感って違うじゃないですか? なので、クーファ役の小野友樹さんといろいろ相談をしたりスタッフさんから指示をいただいたりしながら、距離感については詰めていきました。

石川 あと、アニメと原作でストーリーの流れが若干変わっている部分もあったので、アニメの流れで「今、この子たちはどのぐらい仲がよくなってるんだろうか?」というのもみんなで話し合いながら進めていきましたね。エリーゼに関しては、徐々にというよりもきっかけのできごとを境に一気に解き放たれるので、そこまでの話数は「伝えたいことが伝わらない」っていうところで、演じている自分にも苦しい気持ちがあったのですが、そこに到達してからはすごい安心感のような気持ちが自分の中にも生まれて、伸びやかに演じさせてもらっていました。

●些細なことで受け取られ方が変わってしまう作品という点は、強く意識しました
○メリダを見守る、主人公・クーファをふたりはどう見る?

――そのクーファに対しては、おふたりはどんな印象をお持ちですか?

楠木 毎回、メリダのところに駆けつけるタイミングが絶妙じゃないですか? そのかっこいいところを全部もっていく感じが、クーファらしさなんでしょうかね(笑)。でもクーファも実は、すごくいろいろなものを抱えていて。メリダにすら言えないこともあったりするんです。だからこそメリダに誰よりも寄り添ってくれる存在だと思うので、メリダとしてもすごく心強いんだろうなぁって思いますし、身近に背中でいろいろ教えてくれる人がいるっていうのは素直に羨ましいです。

――ただ、実技の訓練は割とスパルタで。

楠木 “鬼畜教師”ですから(笑)。でもそこもまた、良さだなって思います。普段はクールなのに、メリダのことになると「どうしたんだ?」っていうぐらいアツくなる感じが、いいですよね。

石川 いやぁ、クーファは優しすぎるなって思います。

楠木 ですね!

石川 だからこそ、クーファの中でもいろんな葛藤があるんだろうなと思いますし……きっと暗殺者に向いてないんだろうなぁって。

楠木 それは明らかですよね(笑)。

石川 ねぇ(笑)。でもいろんなものを抱えながらも、優しいからいろんなものを見捨てられずに全部自分で背負ってしまうようなところは、やっぱりかっこいいなぁと思います。

――ちなみに、クーファはメリダのお付き兼家庭教師ですけど、おふたりは家庭教師がついた経験って?

石川 私、家庭教師はないんですけど兄が昔塾の講師をやってたんです。それで、あるとき次の日が数学のテストだっていうのがバレて……。

楠木 バレて?(笑)

石川 テスト範囲になってたプリントをイチから全部解き直させられて、終わるまで寝させてもらえず(笑)。泣きながらやった記憶があります。

楠木 私も家庭教師ではなくて塾に通っていたんですけど、家族にもよく聞いてました。ただ、高校に入ってからは元々苦手だった数学がよりダメになって(笑)、理系クラスの子に放課後めちゃめちゃ教えてもらいに行ってました。「これわかんない! これもわかんない!」って、つきっきりで教えてもらってましたね……でも家庭教師って、なんとなく憧れますよね?

石川 憧れる! 実際はどうなんだろう?

楠木 受けたことないですからね……。逆に先生目線から考えると、クーファもやっぱりメリダが成長してるのを観ると嬉しいんですかね? 「俺が頑張ったからメリダが……!」って。

石川 だからこそね、愛のムチを(笑)。

楠木 “鬼畜教師”ですからね(笑)。

――きっと、誇らしいと思ってるんでしょうね。

楠木 ……やっぱ、暗殺者に向いてないですよね(笑)。

石川 ねぇ、ホント(笑)。教師とかのほうが向いてそうだよね。

○現場により明確な方向性と団結をもたらした、監督の意向で行われたこととは?

――続いて、アフレコ現場の雰囲気についてお聞きしたいのですが。

石川 ずっとわいわいしてたよね?

楠木 そうですね、すごくにぎやかで。でも、収録が始まると皆さんガッとスイッチが入っていましたね。

石川 みなさんオンオフがきっちりされているからね。休憩中は結構、クーファが「見えない部分で、こんなこと考えてるんじゃない?」っていう妄想とかを女子たちで話したりして(笑)。

楠木 おかげで話しやすい環境が自然とできていて、原作を見ながら自分が演じるキャラクター以外の解釈の話とかも、結構していたんですよ。

石川 監督さんとも結構お話させていただく機会もあったので、すごく意見もしやすいし相談にも乗ってもらいやすい現場でしたね。しかも、みんなすぐ仲良くなれた感があって。

楠木 毎週のように小野さんが「今日ごはん行きますか?」みたいに声をかけてくださって、アフレコ後にみんなでごはん行ったりしたのもあるんでしょうかね? すごく雰囲気を作ってくださって……。

石川 たしかに。引っ張ってくださってたよね。

楠木 それに、監督のご意向でアフレコ期間中に打ち入りをやらせていただいて、1話の映像をみなさんで一緒に観る機会を作っていただけたのもすごくありがたかったですよね。「あ、こういう方向性にしたいんだ」っていうのをアフレコが終わる前に知れたので。

石川 キャスト陣も結構揃ってて、すごく盛り上がってたんですよ。応援上映したいぐらいにみんな「きゃーっ!」って言ったりして(笑)。でも後半は、みんな見入っちゃってたよね。

楠木 結末知ってるのに「はぁぁ……」とか言って観てましたね(笑)。そのとき私は映像の空気感から原作小説と同じ繊細さを感じて、「この作品はラノベ原作だけど、アニメっぽい演技よりもナチュラルなほうが雰囲気出るのかな」と思ったんです。BGMのないセリフだけのシーンも結構多いので、あまり“アニメ”というのを意識しすぎると作品としてメリダが浮いてしまいそうに感じたんですよね。だから、その独特のリアルな生々しい空気感を出すには、あまり作った演技よりもまっすぐに向き合ったほうがいいのかなと思って、終盤はアフレコに臨んでました。ナチュラルめに、というのは元々意識してはいたんですけど、それを観てからはよりいっそう意識が強くなったかもしれません。

石川 本当に、さっきともりる(=楠木)が言ったように、ラノベ原作でキャラクターもすごくかわいいけど、例えばセリフの言い回しひとつでみなさんの受け取り方が変わってしまうような内容の作品だと思うんです。なので、そういうところをちゃんと意識して演じていかないといけないなと思いながら、アフレコしていました。

●繊細な物語を美しく締めくくる、EDテーマにも要注目!
○メリダの想いを乗せた、心に沁み入るED曲は演者もとりこに!

――そしてそのきっかけになった1話では、いちばんいいシーンでEDが流れてきます。

石川 ……そうなんですよ!

――それが、メリダとして楠木さんが歌われている「異人たちの時間」ですね。

楠木 ああいうふうに使っていただけるなんて全然知らなくて! メリダのセリフのあとにスーッと入ってくるのを観て「な、なんて素敵なことをしてくれちゃったんだ!」って(笑)、感動しました。

石川 しかもちょうど1話って、ランカンスロープとメリダが戦ってるときに「お母さんが……」っていう話が出てくるじゃないですか? そのあとに「ねぇ、ママ……」っていう歌い出しがきたら「メリダーーー!!」ってなりますよね(笑)。しかもそのあとの話数でも、いろんなところで効果的にこの歌が入ってくるんですよ。

楠木 そうなんです! 今回みたいに主題歌が作品と一体化して本編の一部になれることってめったにないので、嬉しいです。

石川 だから私、好きになっちゃって毎回Vチェックのときも飛ばせないんですよ(笑)。特に、お話の途中から入ってくるときには物語の一部のように音楽が入ってくるので、すごく身体に沁みるんですよね。曲も素晴らしいし、ともりるの歌声もスーッと入ってくる感じがして。

楠木 ひぃー……嬉しいです……!

○本編同様、“繊細”に形作られていったEDテーマ

――楠木さんは、最初にこの曲を聴いたときどう感じられました?

楠木 実は、仮歌の段階では割と壮大さを感じる曲だったんですよ。なので私も「華やかな感じで終わるんだな」と思っていたんですが、レコーディングのときにオケ音源を聞いたら、今の完成版の感じに変わっていたんです。最初はメリダのかわいさをすごく出して「キャラソン!」っていう感じで歌っていたんですけど、「もっとナチュラルめに、メリダの弱い部分や内に秘めているものを出してほしい」という指示があったんです。その他にも結構細かく指示をいただいたので、ニュアンスにもかなり気をつけました。

――どんなディレクションがありましたか?

楠木 「メリダが本当に語りかけていたり、独り言をこぼしてしまったりしているような感じが欲しいから、メロディラインを追うより、歌詞に沿って出てきた言葉にメロディがついてくるぐらいに感情を乗せてほしい」というお話をいただきました。だから歌い出しの「ねぇ」も消え入るような、「呼びかけたいけど誰にも届かない」ような雰囲気を出してみるなど、いろんな表情にチャレンジしました。その「ねぇ」も複数回出てくるので、それぞれのニュアンスの変化にもすごく気をつけましたね。

――「ナチュラルに」という点、アフレコで意識されたことにも通じるように思うのですが。

楠木 そうですね。メリダをナチュラルめにやろうと思ったのも、EDのレコーディングでナチュラルさを求められたことが大きく影響しているんですよ。「本編もそうかな?」と感じたので。

石川 音楽を作られた高橋(邦幸)さんも「フルで聴いてほしい」っておっしゃっていたので、早くフルで聴きたいです。

楠木 しかもフルサイズも、ただ1サビのあとに2番が続くのではなくて、また別の要素が間にあったりするんですよ。そこの歌詞もめちゃくちゃいいので、「早く聴いて! フル!」って思ってます(笑)。

――では最後に、オンエアを楽しみにされている読者の方々へひと言ずつお願いします。

石川 エリーゼは序盤はまだまだ謎めいている存在ですが、これからきっと気持ちが解放されるときが来ると思うので、そんなキャラクターたちの変化や成長などを含めて、物語を楽しんでいっていただけたらと思います。あと、監督はじめスタッフさんたちからお聞きしたんですけど、BGMの入るタイミングや戦うときの剣の音などにもすごくこだわったとのことなので、ぜひそういった部分まで耳を傾けていただいて、作品全部を楽しんでいただけたら嬉しいです。

楠木 誰よりも楽しみにしていたんじゃないか? っていうぐらい『アサシンズプライド』の放送を楽しみにしていました。スタッフさんもキャスト陣も作品に対しての愛が強くて、現場の雰囲気にもそれがあふれ出るなかで作られた作品です。繊細でありつつも非常にシリアスで、みなさんをぐっと惹き込んでくれる作品だと思いますし、私たちもそうなっていただけるよう必死で演じて作品作りに参加させていただいているので、細かいところまで観て楽しんでいただきたいです。そして何よりメリダの成長をみなさまに暖かく、応援しながら愛を持って見守っていただけたら嬉しいです。ぜひ放送を楽しんでください!

(C)2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員会

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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