「70点でも素早く仕上げることの大切さ」を学校では教えてくれない/ひろゆき

日刊SPA!

2019/10/10 15:54

―[ひろゆき連載コラム「僕が親ならこうするね」]―

◆完璧を目指すよりまずは「出す」ことが重要な時代に

Webサービスを作る上で重要な考え方に、フェイスブックを創業したマーク・ザッカーバーグの有名な言葉があります。

「Done is better than perfect.」という言葉で、「“出来上がり”は完璧よりも良い」という意味です。

以前、スクウェア・エニックスという会社が『ファイナルファンタジーⅧ』というゲームを開発した際、バグなどの穴がないよう完璧なクオリティで作り込んでからゲームを発売したことがありました。発売後にゲームが途中で止まるとかの不具合が起きると回収騒ぎになってしまい、再度作り直して配布すると巨額の損失が出てしまう、という理由からです。

これを聞くと普通のことだと思う人は少なくないと思います。ところがWebサービスの時代というのは、そうではありません。

ある程度カタチになったらリリースしてみて、何か問題があったら後から直すのが当たり前だったりするのですね。Webサービスというのは、基本的にいつもでインターネット経由でデータを書き換えて直せる強みがあるので、完璧なクオリティにしてから世の中に出すのではなく、ある程度のクオリティになったら世の中に出してしまうのが当たり前なのですね。

こういった経緯から最近のファイナルファンタジーではこの方式が当たり前のようになっていて、発売時に完璧にしなくても、ある程度のクオリティで問題ない、という時代になっていたりします。

税理士のように後から修正すると問題が起きたり、医者のように後から修正できないような問題が起きてしまうことを仕事にしている場合は別なのですが、世の中の会社で行われているだいたいの仕事というのは、時間をかけて完璧にするよりも、ある程度で納品して次の仕事に移ったほうが売り上げは多くなったりするものなのですね。

例えば、マクドナルドのビッグマックのバンズにのっているゴマの数は約350個と決まっているらしいのですが、300でも400でも気にしない人がほとんどなんですよね。いちいちゴマの数を調べて微調整する人がいても、人件費がかかるだけでウザいのが現実です。お客さんからしても、大雑把でも安価ですぐに商品を出してもらったほうが嬉しいと感じる人のほうが多いと思います。

もちろん完璧を目指す人もなかにはいると思いますが、完璧を目指して手間をかけるのは会社にとってはむしろ足手まといと見なされることも多いのが現実です。

完璧なクオリティを目指しノークレームでいくために追加の1000万円の補修費用を払うのと、多少のクレームを覚悟して対応費用100万円を払うのであれば、ビジネス的にはどちらが正解?というのには、答えはありません。

金銭的なことで言えば後者が正解となるわけですが、長期的なブランド価値を考えると前者が正解とも言えるからです。

ただ、こういう選択自体をしない人が多いような気がします。

今はインターネット経由での、リリース後の問い合わせや対応ができるうえに、物流も進化しているので、昔とコストがかかる場所は違うんですよね。

こういう「変化」について、教育の場ではまだまだ対応できてなくて、従来型の考え方が多い気がするんですよね。

◆70点でも素早く仕上げることの大切さを教えるのは親の役目

いまや「完璧を目指すより、まずはリリースすること」を優先するほうがメリットは大きくなっています。それなのに、いまだに完璧を選ぶのが当たり前だと感じている人は少なくなかったりします。

学校教育でも、社会に出ると「そこにこだわる必要全くないよね」ということであっても、完璧さを要求されることがありますよね。

例えば、学校では漢字の“書き順”を間違うと注意されますけど、社会に出てから漢字の書き順を知っていてもほぼ無意味で、書道家でもない限り、気にする人もいないのが現実です。ほかにも「2970人のお客さんに3050円のチケットを売った」という会社の会議でありそうな問題も、学校では正確な数字を求められますが、本当の会議中ならば暗算に時間をかけるより、ざっくり900万円と大まかに把握できたほうが会議はスムーズに進むし、正確さもエクセルを使うほうがいいわけです。

人件費を考えれば、正しい書き順で時間をかけて書類を作られるよりも、間違った書き順でも読める書類を素早く作る人のほうが会社にとってはありがたいですし、計算に時間をかけるよりもコンピュータに任せたほうが会社にとっては嬉しいわけです。

でも、「今の社会ではある程度のクオリティであればスピード感が評価されることが多い」という事実を学校では教えてくれません。

学校では、算数のテストでも一通り解いたあとに時間が余ったら、検算をして完璧さを求めさせるのが普通だったりしますよね。日本の教育では制限時間内に完璧を求めてテストで100点を取ることが褒められるので、時間が余ったら検算することを教えます。社会に出てからは短い時間で70点を取ることも正解とされるわけですが、素早く70点を取って検算をしない子は叱られたりするのですね。

当然、クオリティとスピード感、両方とも取れれば完璧なのですが、現実にはリソースの問題などで、なかなか難しい場合が多いです。

「目指すべきところが何なのか」を見極める基準が教えられればいいのですが、こういうのは考え方の問題なので、「これが正しい」という答えはありません。

社会に出てからであれば、「ある程度のクオリティであれば1週間で納品できますが、完璧なクオリティを目指すのであれば、追加費用と1か月の納期遅れが発生します」という感じで、発注者にクオリティとスピード、どちらを優先すべきかを聞くほうが正確です。

そして、スピードを優先されることもあるので、クオリティを上げる力だけでなく、早く仕事をこなす能力というのは、一つの才能だったりすると思うのですね。

今の時代、社会ではある程度のクオリティで早く仕事をこなす人は重宝されます。

これは、社会に出たことのない先生が授業をする学校教育では教えることは難しいと思うので、親が補完して教えるしかありません。

そのためには、子どもがある程度のクオリティで早く仕事(勉強)をこなした場合にも叱らずに、褒めてあげると良いのではないかと。

そのうえで、「もうちょっと丁寧にやって点数が上がるともっといいよね」という感じで、クオリティを上げることを褒めていくと、社会に出てからの対応力が身につくのではないでしょうか。

―[ひろゆき連載コラム「僕が親ならこうするね」]―

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)’76年、神奈川県生まれ。フランス在住、たまに日本。2ちゃんねる・ニコニコの元管理人で、英語圏最大の掲示板サイト『4chan』現管理人。SPA!誌面にて11年間にわたり「ネット炎上観察記」を連載。近著に『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)など

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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