SDGsはビジネスチャンス! 専門家「目標達成問われる時代」

OVO

2019/10/10 13:00


 蝶ネクタイが似合う著名投資家ジム・ロジャーズ氏がいま投資先として有望視するのは、朝鮮半島だ。優れた投資家は“千里眼”を持つのか、将来の南北統一さえ見込む大胆な見通しをメディアで示している。

2001年当時、米巨大投資銀行ゴールドマン・サックスのジム・オニール氏が、ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の4カ国を「BRICs」(ブリックス)と命名し、大きな経済成長と投資リターンが見込める「新興大国」として推奨した。予測は的中、中国はいまや世界第2位の経済大国だ。「BRICs」の提唱が、大きな投資を呼び込む“誘い水”になったことは間違いないだろう。

ゴールドマン・サックスはその後“二匹目のどじょう”ではないが、BRICsに続くべき新興国としてベトナムやインドネシア、フィリピン、イラン、トルコ、メキシコなど11カ国を「ネクスト11」と称し、有望視した。提唱後に「リーマンショック」(100年に1度といわれた世界的な大不況)の投資減退に見舞われためぐり合わせの悪さもあってか、ネクスト11は、BRICsほどには広く浸透しなかった。

国連で2015年に採択された「SDGs(エスディージーズ)」(持続可能な開発目標。環境破壊なしですべての人の幸福を目指す17目標を掲げる)。新たな経済成長要因として最近、、メディアでもたびたび取り上げられるが、かつてのBRICsのように、投資や経済の拡大潮流をつくる“呼び水”になるのだろうか。

日本格付研究所(JCR)のSDGs担当である梶原敦子・サステナブル・ファイナンス評価部長は、10月4日に東京都内で行われた講演で「国際環境計画の試算では、SDGs達成のために必要な投資ニーズは世界で年間5~7兆ドル(約535~750兆円)と大きい」と指摘。世界の先行企業は「SDGsに貢献することは、企業の“負担”ではなく、企業を成長させる“ビジネスチャンス”と捉えている」と述べ、経済成長の大きな要因になりうるとした。

その理由として、「国際的な証券業界団体ICMAは2018年の総会で、グリーンボンドやソーシャルボンドなどのSDGs債券商品を投資家が好んでいる現状に応える必要性を議論した」と、投資判断の際、「事業のSDGs整合性」が重視される傾向を挙げた。

また国際的な環境NGO(非政府組織)がSDGs達成に向けた取り組み状況の開示を企業に求める動きの広がりも指摘。「SDGs達成のパフォーマンス(成果)に回答できるような開示体制を築いていないと、ゼロ回答では投資対象評価を下げられ、今後国際的には生き残れない可能性が出てくる時代を迎えている」と話した。

SDGsと整合させた事業の先進事例紹介では、フランスのダノンの取り組みを紹介。原料の調達先である途上国の農家支援や社員の子育て支援などを取り上げ、解説した。

国内事例では、SDGs達成のために必要な環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の観点を重視する「ESG投資(金融)」の先行事例として日本の地銀の取り組みを報告。地域の環境負荷の軽減などを目的に水質浄化技術を活用したフグの陸上養殖事業を支援した滋賀銀行や、地域の観光振興も兼ねた地元産にこだわった酒造りに投資した佐賀銀行の試みを紹介した。いずれも「事業」の採算面だけでなく、地域の環境や観光、雇用など地域への貢献、波及効果にも着目した「ESG地域金融」と位置づけた。

梶原さんは、SDGsをめぐる今後の世界の金融動向にも言及。SDGs投資への関心が高まるにつれ、自国産業の保護も絡み、SDGs関連金融商品の枠組み、運用ルールの“国際標準作り”の主導権争いが先進国の間で激しくなるとの見通しを示した。

この標準作りで「日本は対応が遅れている」と強調し、一例として日本がリードするハイブリットカーに言及。「ハイブリットカーの技術・事業は、EU(欧州連合)では新基準が採用されると SDGs達成を推進するグリーンボンド(環境保全のための資金調達債券)の対象と して認められなくなる」という。

小泉進次郎環境相が9月の国連気候行動サミットのイベントで、地球温暖化の主要因である火力発電を減らす政策を、海外記者から問われて答えられなかったことは記憶に新しい。こうした環境対策も含めた“世界の問いかけ”に誠実に答える準備を常に怠らない企業は「SDGs時代」も成長企業として賢く生き残るだろう。

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