「毎月10万円プレゼントする」SNS詐欺。騙されるわけないとバカにしたら…

日刊SPA!

2019/10/9 15:53

 毎月10万円をプレゼントする――。そんな甘い言葉で人々を誘惑し、カネをだまし取ったとして9月25日、男女5人が詐欺の疑いで大阪府警に逮捕された。

およそ10万円の「情報商材」を購入する形でカネを投資すれば、大富豪の投資家を名乗る人物のFX運用によって利益が上がり、半永久的に毎月10万円が振り込まれる、などと謳っていた。宣伝動画内には「本当に儲けた」などと体験談を話す人々も登場していたが、これらはサクラだったことも明らかになっている。

このグループによる詐欺の被害者はなんと3000人以上。とはいえ、こんな「うまい話」に乗ってしまう人が本当にいるのだろうか? と疑問に思ってしまう。いったい、どのような人たちが詐欺に騙されてしまったのか。それぞれの事情を紹介する。

◆SNSに潜む“プレゼント詐欺”…その正体は?

滋賀県在住の会社員・藤村キミヒコさん(仮名・40代)は、大阪市内の上場企業に勤務する堅実派のサラリーマンだった。ネットには疎く、初めて買ったスマホは「iPhone7」だというから、ネット歴、スマホ歴も人並以下だった。SNSを始めたのも、この1年ほどだという。

「ツイッターを始めて少し経った頃に、アパレル通販サイトZOZOTOWNの元社長・前澤友作さんが100人に100万円をプレゼントするという企画をやっていました。すごいことをやる人がいるもんだと目を丸くしていると、同じようなことをやっている人がたくさんいることに気がつきました。お金をあげます、ゲーム機あげますという類のアカウントです」

賢明な読者ならお気付きであろうが、このようにSNSを使って現金や高額商品を「プレゼントする」というアカウントの中には、詐欺も潜んでいる。

反応したユーザーをリスト化し、高額な情報商材を売りつけられたりと、詐欺のターゲット探しに使われているのだ。こうしたアカウントを馬鹿正直にフォローし、お金をください、商品をください、とマメにリプライを送っていたのが藤村さんだった。

結局、当選することがないだけでなく、案の定、情報商材を買わないかという宣伝のダイレクトメールが1日に何十通も届くようになってしまったが、そのメールに紛れ込んでいたのが、藤村さんも被害に遭った「10万円プレゼント」案件だった。

◆被害者の男性「前澤さんのような人もいると思って…」

「そりゃ、怪しいと思いましたよ。でも、前澤さんのように、本当にお金を配る人だっている。そう思い、思い切って投資するつもりで情報商材を買いました。すると、30万円投資すれば儲けは3倍、などと誘われたんです」

購入からすぐ案内されたのは、10万ではなく、そこに20万を上乗せしないかという追加融資の誘いだった。10万投資すれば、翌月に全額取り戻せる、あとは毎月10万円ずつの利益。だが30万なら、翌月以降からは毎月30万円の利益が転がり込む、といったこれまた甘い誘惑だ。

「投資で生活を、などといった妄想が頭をよぎりました。これはチャンスなんだと言われて舞い上がり、追加で40万円、計50万を支払ってしまいました」

もちろん、翌月の支払いはなかった。連絡が取れていたはずの「担当者」に何度連絡をしても反応はない。同じように誘われた人々がネットで被害を訴えているのを発見するまでは、自身が騙されているとも思わなかったという。

「50万円も騙し取られたなんて、妻には恥ずかしくて言えません。が、プレゼント詐欺がニュースになった以上、私も被害者団体などに入って、しっかり後処理をしなければならないと思っております。でも、あまりに馬鹿げた話に乗っかってしまい、恥ずかしくて打ち明ける勇気がない」

◆「騙されるわけがない」と馬鹿にしていたが…

東京都在住の大学生・三好光さん(仮名・20代)はさすがにネットネイティブ世代だけあって「情報商材になんて騙されるわけがない」と自信があった。

SNS上の「お金あげます」「儲けさせます」などのアカウントが詐欺であることも見抜いていたし、引っかかるのは「情弱だけ」と馬鹿にしてさえいた。しかしなぜか「10万円プレゼント」案件には興味を持ち、結局、投資のつもりで20万円を支払ってしまった。なぜか。

「もともと投資に興味があり、学生の投資サークルで知り合った友人から“本当に儲けた”と説明されました。あまりにおいしすぎるし、ありえないと思っていたのですが、宣伝動画を見て、詐欺だとしたら、こんなに堂々とできるものか、と。三日三晩考えて、10万円を捨てるつもりで商材を購入したところ、翌月本当に10万円が戻ってきた。友人も“本当だっただろう”と喜んでいて、こんないい話があるんだ、やってみなきゃわからないと思いました」

そんな三好さんのところにも、やはり「追加投資をしないか」と案内がよこされた。投資倍額なら、リターンも倍だという、藤村さんの時と全く同じ口説き文句。

「紹介してくれた友人も一緒に倍額投資をする、そう言うので二人で増資を決めました。しかし翌月から入金はストップ。返金を求めてものらりくらりとかわされて、最後は連絡が取れなくなりました」

相手を信じさせるために、初回の入金だけは行ってみせる、これも詐欺界隈ではよくある「テクニック」だが、ネット慣れしている、詐欺には引っかからないと自信満々だった三好さんはあっけなく騙された。

「騙されないと思っていたぶんだけ、最初に入金されたことに驚いて、嬉しくて……。俺を誘った友人も同じで、宝くじに当たったような気分でいたんです。結局、二人して騙されてしまったんです」

童話「北風と太陽」ではないが、詐欺に対して注意深い人を取り込むためには、ただ風を吹かすだけではダメで、それに応じたテクニックがある。詐欺師には全てお見通しだ。三好さんが訴える。

「騙されない、と思っていても騙される。甘い話はない、ということを今一度自分に言い聞かせたいです。20万の勉強代は痛いですが……」<取材・文/山口準>

【山口準】

新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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