トヨタ式で「日々のストレス」を解消 - その行動は無駄だった 第3回 会議資料の読み上げという、不要な行為をなくす方法


トヨタの現場でPDCAを身に付け、動線思考を軸に講演活動や企業コンサルを行う原マサヒコさん。"ムダを無くすプロ"である原さんに、サラリーマンが日々直面する「通勤」や「会議」のムダを解消いただきます。

○原さんの回答

会議で資料を読むだけというのは本当に時間の無駄ですよね。そもそも会議という字は「会って議論する」という字なのに、日本企業の会議は議論がなく無駄が多いように思います。

私がトヨタで整備士をしている時、現場でも多少の会議はありましたが"無駄が削ぎ落とされたもの"ばかりでした。その後、IT業界へ転身してからというもの非常に多くの会議に参加することになり、「ムダな動きも多いなあ」と感じることが増えていきました。
○会議でのムダをなくすには

なかでもよくあったのが、ご質問にあったような"膨大な資料を人数分用意して配り、それを手にしながら行う会議"ですね。こういった会議になると多くの場合、手元の資料をペラペラとめくることに集中してしまって誰かが話していても耳を傾けないということになってしまいます。これは会議とはいえません。

そもそも話をする時に聞き手に下を向かれてしまうというのは、"視線の動線"としてもマイナスです。せっかく大勢の貴重な時間を使う場なのに、全てが意味のない時間になってしまいかねません。有名な話ではありますが、トヨタの場合は大抵の会議資料は紙1枚に概要がまとめられており、それを口頭で補足的に説明しながら議論をしていきます。

ですから、議題によってはスライドの投影1枚だけを見せて、口頭で議論していき、そこで出た意見をホワイトボードにまとめていくことが一連の流れになっていました。いずれにしても膨大な資料を用意するのは今日からでもやめるべきでしょう。
○会議は事前の議題共有が必須

では資料の準備をやめて何をするかといえば「議題の共有を予めしておく」ということです。トヨタの会議では昔から「代案を用意せよ」という言葉をよく耳にします。会議で「その案は良くないと思います」と発言するのはただの「感想」であり、小学生でもできるわけです。

反対の表明だけでなく「もっとこうすると良いのでは」とプラスアルファの意見を加えなければその人の存在価値はない。そうした“意味のある場”にするためにも、事前に議題を共有して代案があるなら用意してもらう必要があるというわけです。

ちなみにGoogleでも『24時間前までにアジェンダを必ず共有しておく』というのがルールとして決まっているようですから、事前共有というのは"グローバルスタンダードのたしなみ"だといえるのです。
○会議は座る位置で駄目になる

会議資料の読み上げが日々行われているとしたら是非とも異議を唱えてほしいのですが、そのためには会議室での座る位置から考えないといけません。日本企業の会議では「上座・下座」といった古びた慣習があって、座る位置によってパワーバランスが明示され過ぎています。

「部長の言うことは絶対」などという社風では、そもそも会議をすることに意味はありません。いろんな角度からの意見を総合しながら物ごとを進めていくのが会社組織なのですから。

ちなみにトヨタでは役員会議が円卓で行われることでも知られています。横並びで誰でも意見が言いやすいように、という意図があるわけです。

一般社員の場合には必ずしも円卓ではなく普通の会議室で会議をするわけですが、是非とも会議の席はフリーにさせてもらい、"その会議をどうしたいかによって座る位置を意図的に変えていく"ということをしてもらいたいです。
○会議は動線を意識する

例えば、会議の主導権を握りたい時には、ホワイトボードの近くの席に座ったほうが良いといえます。すぐにホワイトボードを使って意見を出せるからです。また、他の参加者との位置関係からも座る位置の意味は変わってくるでしょう。

たとえば目の前に座った人とはコミュニケーションが取りやすいのですが、意見が対立した場合には反撃を受けやすくもなります。逆に隣り合わせに座ると心理的に親近感がわくので、攻撃を受けにくいという特徴があります。

ですから、予め「この人には反対意見を出されそうだな」という場合には隣を狙って座ると、会議が円滑に進んだりするものです。そういったことも考えながら、会議室に入ってからの動線を意識すると良いでしょう。

まずは「資料を読むだけの会議はやめませんか?」と提案し、その代案として「事前にアジェンダを共有しておく」会議を提案してみてはどうでしょうか。そして、会議室での座る場所はフリーに。それだけでも、きっと大勢の時間が無駄にならなくて済むはずです。

○筆者プロフィール: 原マサヒコ(はら・まさひこ)
1996年、神奈川トヨタ自動車株式会社に入社し、技術力を競う「技能オリンピック」で最年少優勝。カイゼンのアイデアを競う「アイデアツールコンテスト」でも2年連続全国大会出場を果たすなどメカニックとして活躍。現在はトヨタの現場ノウハウを伝える書籍の執筆や全国での講演活動に力を入れている。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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