“愛を下さい”現代社会の縮図を描いた名曲!ECHOES「ZOO」

UtaTen

2019/10/8 05:00

タイトルを『ZOO』(=動物園)としたのは、なんともうまい皮肉だ。

複雑な社会を、群れながら生きる人間模様を見事に動物園に見立てている。

その観察力や表現力は、さすが人気作家・辻仁成だ。

楽曲のリリースは1989年。それから約30年の時間が流れたが、人間という存在はいつも変わらない。変わらず、窮屈な世界を生きている。

自分は何者なのだろうか




「この街」というワードから、あくまで舞台は「街」にあることが読み取れる。

動物園を眺めながらヒトを重ねているのではない。街ゆくヒトを動物たちに重ねているのだ。

歌詞には次々とヒト以外の生き物が登場する。どれもヒトの生きざまを重ねた生き物たち。

その比喩は実に的を射ている。

せかせかした日々のなか、本当の心は誰にも見せず、表面上だけうまく付き合う。

そんな暮らしに、誰もが少しは心当たりがあるだろう。

皆違うやり方で生き抜いていく




二羽向かい合ったフラミンゴはハート型にも見える。失恋しても片足で踏ん張る…なんと切ない表現だろう。

頑張り方も踏ん張り方も人それぞれだ。皆それぞれのやり方で、コミュニティを生き抜いている。

けれど、俯瞰で見れば滑稽な風景なのかもしれない。ヒトに生まれておきながら、本当は何をしたいのだろう。何になって、何処へ行きたいのだろう。

夢見る飛べない鳥もいれば、夢見ることさえ放棄する者もいる。

君は一体何者で、どう生きたい?いつからカメレオンになったのか?いつまでもハイエナでいいのか?

歌詞に共感する一方で、大きな課題を投げかけられた気持ちになる。

愛を下さい…たったひとりに認められたい




楽曲のタイトルを『ZOO』ではなく「愛を下さい」だと誤って記憶している人は多い。それほどこのフレーズが印象的なのだろう。

今にもなくしてしまいそうな、生まれたままの素直な自分を守るためには、愛が必要だ。

この世で誰か、たったひとりでもいいから、なにもない自分に無償の愛を注いでくれる人がいたら…きっとヒトは「あるがまま」で生きられる。

自分とは何者なのか


「自分」という個性を認めてくれる存在を、誰もが欲している。

『ZOO』を聴くたび、都会の孤独に想いを馳せる。にぎやかで、モノに溢れ、一見すると何不自由ない街。


けれどそこには孤独が溢れている。自分ではない“何か”にならなければ、生きていくことは難しい。そんな時代だ。

けれど、ヒトは人に生まれて自分になる。うまく取り繕うことを覚えたとしても、それはあくまで処世術だ。

自分は何者なのか、どこへ行きたいのか、それをいつでも忘れてはいけない。

自分は自分として生きていきたい、愛されたい、認められたい。

そんな叫びが聞こえるような気がする。

いつの時代にも、世間を皮肉ったり、真実を直球で投げかける代弁者が存在する。

辻仁成が約30年前に投げかけた問いは、現代人の心を揺さぶり続けている。

TEXT シンアキコ

当記事はUtaTenの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ