「スカーレット」6話。土曜日の衝撃、少女たちのキス

エキレビ!

2019/10/7 08:30



(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)
連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第1週「はじめまして信楽(しがらき)」6話(10月6日・土 放送 演出・中島由貴)
思えば、月から土まで見られる朝ドラは「スカーレット」で見納めだ。
次作「エール」からは働き方改革も手伝って月から金の週5となる。第一作「娘と私」(61年)以来の週5体制がどうなるかはまだわからないが、とりあえず今は、最後の週6回をたっぷり味わいたい。
と思って見たら、喜美子(川島夕空)と照子(横溝菜帆)のキスという攻めたシーンがあってびっくり。

少女たちのキス
照子の戦争で亡くなった兄が恋人らしき人物と行っていたことの再現を照子がしてみて、喜美子はショックを受けるという、おませな子と奥手の子による微笑ましいエピソードと受け止める人もいるだろうし、尊い百合シーンと喝采する人もいるだろう、さらには、やたら「友達になってあげる」と押し付けがましいところに、照子の心の問題が隠されていそうと思う人もいるだろう。子供にこんなことさせて…と思う人もいるかもしれない。
川島夕空と横溝菜帆にとってファーストキスだと思う。ちゃんと映してないから触れてないかもしれないけれど。子役もここまでやらなくちゃならないのだから大変だ。

喜美子にキスしたからといって
照子が好きなのは、信作(中村謙心)らしい。
病気で臥せっている彼を墓場まで呼び出す。
ませた照子は「いけないことをしたくなるのが人を好きになるってことなのよ」とうそぶく。
ここで主題歌「フレア」の「恋をして胸を焦がしたい」の歌詞が浮かんだ。「恋をして」が立つような曲調になっているので、主人公もやがて燃える恋をするんだろうなと想像する。

だが信作は照子の行為が「もうつらいねん」「考えるとしんどい」と喜美子にだけ明かす。この「つらさ」は
たぶん、亡くなったお兄ちゃんへの想いを一緒に引き受けさせられることなのかなと思う。照子の気持ち、根深そう。

いろんな思いが渦巻くが、朝ドラは、再放送中の「おしん」のおしんと加代や、「あまちゃん」のアキとユイ、「花子とアン」の花子と蓮子など数奇な運命に翻弄されながら固く結ばれる女の友情が描かれることが多い。これがうまく描ければ名作となる。「スカーレット」はどうなるだろうか。

お父ちゃんのお風呂シーン
「まんぷく」の萬平さん(長谷川博己)に続き、北村一輝のお風呂シーンが登場。とはいっても北村一輝も50歳になったそうなのでサービスってこともないか。適切な火加減で風呂焚きをする喜美子を描くことは、ゆくゆく窯の火加減を見て陶芸をやっていくことの前ふりであろう。でもそんなんいうたらこの時代の人、みんな陶芸家になっちゃいそうだけれど。

さて。借金とりが信楽にもやってきて、逃げる困ったお父さんである。

「スカーレット」の登場人物、一見明るそうで、その実、ネガティブなものを抱えた人が多い気がする。戦後間もないから無理もない、なんて知ったようなことを書きながら私は戦後を知りません。が、昔の横溝正史シリーズなどを好んで見ていたため、戦後は都会も田舎もなにかとほの暗いというイメージがあるのです。それがものすごいパワーで復興したのだからすごいなあと思う。

というわけで、第一週の登場人物のまとめ

川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 漢字が読めなかったが、勉強してすぐ読めるようになった。絵がうまい。
川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。丸熊陶業で働く。
川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。
川原百合子…福田麻由子 昭和22年時、まだ赤ちゃん
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死している。
熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。
大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退する。喜美子に作品を
「ゴミ」扱いされる。
草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいてそこで何かあったらしい。喜美子の良いところと悪いところを指摘して影響を与えながら、ふらりと信楽を出ていってしまう。

●第一週の勝手に注目賞:直子役のやくわなつみ よく見せようという自意識のない無造作な動きが良かった。

●第一週の朝ドラカード:「戦争」「貧乏」「だめ父」「女ともだち」「田舎」「幼馴染の少年」「主人公に影響を与える他者」「家族愛」「へんなおじさん」
補欠「お風呂」

脚本:水橋文美枝
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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