アニソンシンガー・亜咲花、20歳の誕生日に発売の1stアルバム『HEART TOUCH』語る「"成長"が鍵」


●“押し付け”はNG! “伝える”ことをさらに深く学べた、田淵智也との楽曲制作
2016年にCDデビューを果たし、2018年にはTVアニメ『ゆるキャン△』OPテーマ「SHINY DAYS」で一躍脚光を浴びたアニソンシンガー・亜咲花。彼女が自身の20歳の誕生日当日に、待望の1stフルアルバム『HEART TOUCH』をリリースした。これまで歌ってきたアニメ主題歌を全て詰め込みつつ、新曲・初音源化曲も6曲収録。この3年間の成長はもちろん、本作の制作を通じた成長も感じさせる充実の1枚について、存分に語ってもらった。

○これまでの集大成を、人生で一度きりの記念日に発表

――1stフルアルバムのリリースは、20歳の誕生日当日になりました。

そうなんです。デビュー当初から1stフルアルバムを出すのは「人生で1回しか味わえない大人になる瞬間」の時が良いなと思っていまして。リリース日も20歳の誕生日当日にさせていただきました。そういうところも含めて、他の人にはなかなか出せないような個性の詰まった1枚にできたと思っています。

――その『HEART TOUCH』というタイトルの由来は、やはり……?

……はい(笑)。「すごくネイティブに言うと、"ハタチ"に聞こえない?」っていうことで(笑)。ただ、そういうダジャレみたいな部分の他にも「いかにみなさんの気持ちに、近い存在でいられるか」という意味合いがあって。音楽って移動中に聴くことも多いじゃないですか。そういうときもずっと一緒にいられるような近い存在でありたいな、という気持ちも込めました。

――今回は、新曲・初収録曲計6曲はもちろん、これまでご自身が歌われてきたアニソンも全て収録されています。それもやはりこだわり?

そうですね。アニソン歌手という夢をずっと追ってきて今もこうして活動させていただいていますし、やっぱりアニソンが大好きなのでここは外せませんでした。
○背伸びをせずに、自分の気持ちを素直に描いたリード曲

――では、新曲のうちまずリード曲「Raise Your Heart!!」についてお聞かせください。作曲を田淵智也さんが、編曲を堀江晶太さんが手掛けられましたが、亜咲花さんからは楽曲についてどんなオーダーをされましたか?

それが、あまり細かく言うと田淵さんにお願いした意味がなくなっちゃうと思ったので、大まかに「明るいロックを歌いたいです」とだけお伝えしたんですよ。アニソン大好きな自分としては、田淵さんの個性あふれる”ゴリゴリの田淵アニソン”を歌いたかったので。そうしたらめちゃくちゃ速い、田淵節全開の曲が返ってきました(笑)。

――歌詞は田淵さんと共作で亜咲花さんが手掛けられていますが、特にこだわった点はどういったところでしょう?

「背伸びをしない」いうところです。私、今まで作詞をさせてもらったときにはそれこそ小説を書くかのように、自分からかけ離れた第三者の気持ちを描いていたんですよ。なので、今回初めて「亜咲花っていうのはこういう人間で、こういう気持ちでステージに立っているんだよ」というコンセプトで書いたんですけど、それを言葉だけじゃなく歌でも伝えられるように「ライブがある日の亜咲花の1日」をテーマに書いていきました。ただ、その「伝えたい!」という気持ちがネックになってしまったところもあって……。

――それは、どんな部分で?

2サビに「大好きになる!」っていうフレーズが何回も繰り返して出てくるんですけど、元々その部分をはじめ、2サビはほとんど違う歌詞だったんです。全部頭の部分に来る「1」とか「2」につながるように、「幕が開いて」「気持ち高ぶって」みたいな別の言葉が入っていて……。でもそれを田淵さんに見せたら、「若い子ならいいんだけど、おじちゃんが聴いたら頭に入ってこない」って言われたんです。「キャッチーさがない」って。そのとき、自分の「伝えたい!」っていう気持ちが行き過ぎていて、受け手がどう聴くかまで考えられてなかったことに気づかされたんですよね。

――そんなアドバイスが……。

そうなんです。それで、「だったら前半では1サビを全部引用して、後半は『大好きになる!』を3回繰り返してもっと気持ちを伝えたほうがいいよ」と言われて……「さすが!」って思いましたね。おかげで元の歌詞よりも断然気持ちが伝わりやすくなりましたし、「ただ『伝えたい!』だけじゃなくて、同じ歌詞を引用したりしてキャッチーさを出すのも大事なことなんだな」って気づかせてもらいました。

――そんなこの曲、レコーディングはいかがでしたか?

自分で作詞をして曲と向き合う時間が長くなった分、自分の中であまりにも理想が大きくなりすぎてしまっていたんですよ。なので、いざレコーディングすると「意外とここ早口でろれつ回んないな」みたいに、現実にぶち当たってしまうところもたくさんあって。でも自分で世界観を作ったこの曲に込めた気持ちがいちばん伝わるよう、田淵さんに千本ノックみたいにディレクションをいただきながら、録っていきました。

――また、この曲ではMVも制作されています。

今回は初めてMVでも、自分からコンセプトを細かく提案させてもらいました。たとえば、自分の昔の写真を貼りつけてハート型にしたいとか。曲は20歳に限らずずっと変わらないような自分の気持ちを描いた曲なんですけど、MVはやっぱり初めて亜咲花を知る人も観るものだなと思いました。

「亜咲花ってこういう子だったんだ」っていうのを5分間でわかってもらえるようなMVにしたくて、実家からちっちゃい頃の写真を全部送ってもらいました。それに、”亜咲花の一日”も感じてもらえるMVにしたくて、朝起きるところから始めて「心から歌を楽しんでいるよ!」っていう気持ちで撮りました。

――ライブシーンのようなカットもありましたね。

そうなんです。ガールズバンドっぽく。そんな形で女の子を引っさげてMV撮るのも初めてだったので、学校でガールズバンドをやっていたこともあったので、その時を思い出したりしながら楽しく撮影できました。

●ファンから教わった大切なことを、今度は自分から発信するもう1曲の自作詞曲
○アンサーソングから新境地まで、本作にも挑戦と成長は満載!

――さて、続いてその他の新曲や初音源化の曲についてもお聞かせください。まずTVアニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』異世界編のEDテーマに起用された「神の数式」からお願いします。

今回も志倉(千代丸)さんの曲というのを知っていたので、「どんな感じの曲がくるんだろう」って楽しみにしていて。間奏がちょっとフラメンコ調で、今まで歌ってきた志倉さん楽曲とはまたちょっと違うタイプの曲のように思いました。

――力任せに歌われていない点が、 現世編OP曲「この世の果てで恋を唄う少女」に通じるように感じたのですが、レコーディングはいかがでしたか?

志倉さんの曲になると、私にはもう「難しい」としか言えないんですが……(笑)。ただ、「この世の果てで――」は歌詞も含めて無機質な曲だったので感情を”無”にして歌ったんですけど、こっちは若干歌詞に感情が入っているので、この曲は特にサビでちょっと感情を入れつつ歌っていきました。

――また、曲順としてはふたつ戻っての「Turn Up The Music」は「SHINY DAYS」のアンサーソングのように感じました。作家陣も同じ顔ぶれですね。

そうなんです。まさに「SHINY DAYS」みたいな洋楽風でPOPな楽曲を作りたくて、だったら同じ作家陣のほうがいい世界観を作ってもらえるんじゃないかなということで、おふたりにお願いをしました

――歌ってみてどうでした?

すごくしっくりきました。EDMもいいんですけど、歌い上げるソウルフルな曲のほうがやっぱり自分は歌っていて気持ちいいし、聴き心地も声に合っているのをすごい感じましたね。ゆったりとしたモータウン的な感じの曲が、相性がいいように思いました。

――そこから2曲挟んで置かれているのが、「GET DOWN」です。

これは、初めて怒りをテーマにした曲なんですよ。18歳から2年間の”大人でも子どもでもない年齢”って、すごく複雑だったんです。たとえば「もう大人なんだからちゃんとしなさいよ」って言われるし、でも仕事で「まだ子どもだからできなくてしょうがないよ」ってちょっと甘やかしてもらうとか……そういうなかで、見えてしまった部分があるというか。それこそ愛想よくいたら軽いって言われちゃうし、真顔でやったら愛想悪いって言われる。「じゃあみんな、何を求めているの?」って思ったんですよ。

でも、そういうやるせない気持ちって私だけじゃなくて、みなさんも感じる日常的な不満とか怒りだと思うんですよね。なのでこの曲には自分の気持ちや怒りも入れつつ、みんなの思っている怒りを代弁するような気持ちで「代わりにストレス発散するよ」みたいな感じで(笑)、歌わせてもらいました。

――この曲の聴きどころ、どんなポイントですか?

最後のサビ以外は、ほとんど全部歌声にエフェクトをかけているところです。あんまりフィルターを通して歌を届けたことがなかったので、ちょっとデジタルロックっぽくてすごくいいなと思って。ライブで盛り上がること間違いなしな1曲になってます。

○初のElements Gardenとのタッグで、大切にしたのは”バランス”。

――そして「Childhood's End」は、ゲーム『グリザイア:ファントムトリガー』のEDテーマです。

一見ミドルテンポで爽やかな感じのする曲なんですけど、歌詞を汲み取るとちょっと別れを彷彿とさせるようなシーンもあったりする曲なので、レコーディングのときにはちょっと切なく寂しい気持ちになっちゃったのを覚えています。なので、歌うときは、寂しすぎず・明るすぎずっていうバランスを取るのがすごく大変でした。というのも、曲調自体はすごく爽やかなので、あまり重くしすぎちゃうと逆に曲調に合わなくなっちゃうんですよ。でも明るすぎると、今度は歌詞に合わないし……っていうところで、すごくバランスを考えながら歌いました。

――この曲は藤間仁さんが作編曲を手掛けられたということで、Elements Gardenさんとの初タッグの曲になりました。レコーディングには藤間さんもいらしたんですか?

そうです! 初めてお会いしたんですけど、すごく物腰の柔らかい方で、「パパさん!」みたいな(笑)。優しさとか、「頼れる背中だな」みたいな感じで。その藤間さんの優しいオーラのおかげで、初めてのエレガさんのスタジオでのレコーディングも、悪い緊張は全然ありませんでした。

――そしてアルバムのラストを飾る曲が、こちらもご自身で歌詞を手掛けた「終わらない夢」です。

今年のアニサマのテーマソング「CROSSING STORIES」みたいに、みんなで手をウェーブさせて合唱したくなるような曲が亜咲花には1曲もなかったので、そんな感じでライブでアンコールにしたい楽曲が欲しくて「壮大なバラード」という大きなジャンルでお願いしました。あまり難しいメロディにはしないでいただいたので、ライブでみんなと一緒に歌えたらいいな、と思っています。

――この曲のテーマはなんですか?

「感謝」です。今まで、みんなの存在の大切さを歌に乗せたことがなかったんですよ。「Raise Your Heart!!」も「楽しい!」という気持ちしか書いていませんから。なので、私が今までどれだけみんなに支えられてきたかを書くように、すごく意識しました。

――作詞はスムーズにいきましたか?

すごくスムーズでした。なかでも1サビの「言葉より大切なもの 君が教えてくれたんだ」ってフレーズは、いちばん最初に決まった部分なんですけど……MCにも歌にも共通しているのって、”言葉”だと思うんです。だから「とにかく言葉でなにか伝えなきゃ!」っていうことにこだわって、ライブやラジオ、Twitterもやっていたんですよ。でも、今年のツアーの時期にいろいろなことが重なって、ふとしたときステージに立つのが苦しくなってしまったことがあって。

そんなとき、とにかくみんながステージの目の前に笑顔でいてくれるだけで、すごく救われたんですよね。「いつも応援しているよ!」とか「亜咲花の曲好き!」って言葉に出していたわけでもないのに……だから、そのとき「言葉が全てじゃないんだな」ってみんなに教わったから、逆に今度は私がみんなにそれを伝える番だと思って、その思いからできた部分なんです。

●言葉と行動の両面からにじみ出る、キャリアを重ねた”先輩”としての自覚
○「SHINY DAYS」がなければ、今の”アーティスト・亜咲花”はなかったかも

――アルバム完成後、ご自身で聴かれて成長を感じた部分はありましたか?

やっぱり最初の2曲、「Raise Your Heart!!」から「Open your eyes」ですね。その2曲だけで「こんなに声って変わるんだ!」って思いましたもん。「Raise Your Heart!!」は「もう10年ぐらいやっているんじゃないか?」っていうぐらいのシャウトから始まるんですけど(笑)、逆に「Open your eyes」にはすごく初々しさがあるし、レコーディング慣れしてないからか声もすごくつやつやしているんですよ。

――その間の成長のきっかけになった出来事、たくさんあるとは思いますがあえて挙げるなら?

やっぱり「SHINY DAYS」かな? アニメのほうばかりを向いていた自分にアーティスト心が芽生えるきっかけになって、自分の活動のジャンルをすごく広げてくれた曲なんです。

――表現の幅を広げてくれた。

そうなんです。それまでに歌ってきた曲は、自分の等身大と違ったクールなEDM系の楽曲だったので、「歌うときには演じて、背伸びをしなきゃいけない」っていう固定概念が自分の中でできつつあったんです。でもこの曲が、「もっと等身大の自分をさらけ出してもいいんだ」って気づかせてくれたんですよ。だから、この曲がなかったら今の”アーティスト・亜咲花”っていなかったかもしれない。そう思っているぐらい、大切な曲なんですよね。

――実際には、どのように広がっていったんですか?

『19BOX』のときにはジャズ・ロックを歌いたくて「KILL ME One More Time?」を作ったり、R&Bみたいな曲を歌いたくて今回「Turn Up The Music」が入ったりと、デビュー当初はまったくそんなこと思ってなかったのに、アニソン以外のところですごく遊びたくなったんですよ。そのおかげで、「いろんな曲書きたい」とか、最近では「誰かに歌詞を提供したいな」とまでも思うくらい、自分のやりたいことや好奇心が増えているんですよね。

それは、今回のリード曲の「Raise Your Heart!!」もそうで。自分のアーティスト心とリスペクトしている”田淵アニソン”への気持ちが半々で重なったことがこの曲が生まれたきっかけですし、いい曲になった要因でもあると思うんですよ。なので、この経験を活かして今後もこういうふうにふたつの気持ちをうまく混ぜていって、曲を作っていきたいです。

――そして今回の豪華盤には、ライブ映像が収録されていますね。

はい。高校卒業記念でやった去年3月の初ワンマンと、約1年前の19歳の誕生日を記念したバースデーライブの映像なんですけど、この2回のライブって半年しか間が空いてないのに、歌い方とか立ち居振る舞いも、顔とか容姿的な意味でもガラッと変わっているんですよ。それは、上京や初アニサマっていう自分の人生の中での結構大きな転機を迎えていたからかな? と思うんですよね。そういうふうに、自分でも自分の成長が目に見えてわかるぐらいなので、みなさんにもぜひ子を見守る親のような気持ちで(笑)、観てもらえたらと思います。
○成人を迎えた亜咲花が、今抱く目標とは?

――さて、リリース当日の10月7日に20歳を迎えられます。月並みで恐縮ですが、抱負をお伺いできますか?

最近後輩が増えたのもあって、「優しいなぁ」とか「この人にずっとついていきたい」と思ってもらえるような先輩に、徐々になっていきたいと思っています。そうなると、後輩としていろんな先輩方の背中を追っていた側から、だんだんと追われる側にもなると思うんですよ。

だから先輩たちを追いながらも、自分も背中をちょっとずつ磨いていかなきゃなとも、最近すごく思うんですよね。これから活動を続けていくうちに若い子もたくさん出てくると思うんですけど、そういうときに「目指しているのは亜咲花さんです」みたいに言ってもらえる日が来るよう、歌だけじゃなく人としても大人になっていきたいですね。

――では最後に、読者へメッセージをお願いします。

今日お話していて、学校に行きながら名古屋から東京まで新幹線で通っていたときの苦労は決して無駄じゃなかったんだな、ってすごく思いました。だから、この年齢の私からみなさんに言うのもなんなんですが、ちょっとした努力は惜しまないほうがいいなと思います。苦労したことや努力したことって必ずいいこととして返ってくるから、嫌だなと思ってもちょっと耐えていれば、いつか来るであろう報酬につながると思うんですよ。

私自身はこの1年は歌もそうですし、ライブもイベントもラジオも、いろんなことに積極的にトライしていける年にしたいです。20歳になって、責任を負わなきゃいけないからって臆病になって亜咲花らしさをなくすのは嫌なので、問題にならない程度にハチャメチャに猪突猛進でいろんなことに挑戦して、ときには失敗もして大人になっていきながら、将来的には「アニソンといえば亜咲花だよね」と言ってもらえるような歌手になれたらと思っています。

○『HEART TOUCH』

発売日:10月7日
【通常盤】CD
価格:3,500円(税抜)
【豪華版】CD/Blu-ray
価格:6,800円(税抜)
・CD
1.Raise Your Heart!!
2.Open your eyes
3.Play the game
4.Eternal Star
5.Marine SNOW
7.Turn Up The Music
8.この世の果てで恋を唄う少女
9.神の数式
10.GET DOWN
11.Edelweiss
12.Childhood's End
13.終わらない夢
・Blu-ray
「Raise Your Heart!!」Music Video
Music Videoメイキング映像
「亜咲花1stワンマンライブ~graduate from LJK~」ライブ映像
「亜咲花 19th Birthday LIVE ~Make It Happen LTB~」ライブ映像
※ライブ映像にオーディオコメンタリーを収録

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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