【動画5分】広瀬すず、志尊淳が十代の恋を鮮烈に!~NODA・MAP 新作「 『Q』: A Night At The Kabuki 」開幕へ/ゲネプロレポート

SPICE

2019/10/7 11:20



NODA・MAP 2年半ぶりの新作、第23回公演「 『Q』: A Night At The Kabuki 」が2019年10月8日(火)から東京芸術劇場プレイハウスで開幕することに先駆けて、6日(日)、公開稽古(ゲネプロ)が行われた。(下記、動画をご参照のこと)

【動画】NODA・MAP 「 『Q』: A Night At The Kabuki 」ゲネプロ

映画『ボヘミアン・ラプソディ』がメガヒットしたQUEENから、映画がヒットするよりも前、今から2年前に名盤『オペラ座の夜(A Night At The Opera)』を使った演劇を作らないかと直々に持ちかけられた野田秀樹が、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を下敷きに、舞台を平安時代の日本に置き換えて、『オペラ座の夜』全12曲を散りばめたゴージャスな舞台を作り上げた。

「もしも、ロミオとジュリエットが生きていたならば……?」という発想で描かれるロミオとジュリエットの悲劇、その後日談。あの日、あの時、生きながらえたロミオとジュエットを上川隆也と松たか子が演じ、その前のーーいわゆる、出会って5日間で燃える恋をしたロミオとジュリエットを志尊淳と広瀬すずが演じた。


12世紀の日本、激しく敵対する源氏と平家が唯一休戦するある夜、パーティーの席で偶然出会った源の愁里愛(広瀬)と平の瑯壬生(志尊)は一目惚れ。敵同士でありながら転がりだした恋は止まらない。愛する人のために家も名前も捨てると思い詰める。そんな若気の至りのふたりを見守る、それからの愁里愛(松)とそれからの瑯壬生(上川)は、この恋を悲劇で終わらせないためにあの手この手を尽くす。はたして過去は変えることができるのか……。


お話はほぼほぼロミジュリだからわかりやすい。平安時代の源氏と平家がイタリアはヴェローナのモンタギュー家とキャピュレット家にうまいこと重なっている。松と広瀬、上川と志尊は同一人物を演じていて、常識で考えたら同時には存在できないが、過去と未来のふたりが時空を超えて同一空間に存在する状況を、映像を使わずアナログな工夫で見せるところはさすがの野田演出。ふたりのジュリエット、ふたりのロミオが一緒にいるところが、ときにユーモラスにときに幻想的に見える。


ロミジュリの恋愛の象徴的な道具・ベッドからイマジネーションを膨らませ、ベッドに別の役割をさせる手腕も鮮やかだ。見立ての発想力、徹底した身体表現と、つねに圧倒的な高クオリティーを誇るNODA・MAPだが、QUEENの楽曲を使用したことと、NODA・MAP初参加が主要の俳優10人中6人もいるところが新鮮だ。


初参加の広瀬すずと志尊淳がとにかく鮮烈で、十代の初恋を尊く見せる。


広瀬すずは初舞台。この間までヒロインを演じていた朝ドラこと連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)で高校演劇部に入るエピソードもあったが、ドラマが終わってついに本当に舞台に立つことになった。それも本格派の。「出来れば早く本番が始まってほしいと思っていたので、楽しみです。舞台ならではの生物の繊細さを、皆さんと表現できるよう、足を引っ張らないように努力します!」と言う広瀬。恋を知った少女が強さや感情の機微を獲得していく様をのびのび演じていた。声の聞き心地がよく、野田秀樹のセリフと相性がいいように感じた。




対する志尊淳は、「初めてのノダマップで、本当に素敵な皆さんと舞台に立てることができ、とても幸せに思います。ロミオとしての人生を全力で生きて、色んなものを感じたいです」と言う。目下、映画『HiGH&LOW THE WORST』で堂々たる喧嘩アクションを披露している志尊。舞台ではキラキラした王子様のようなオーラを振りまく。セットの高いところから降りるときもじつに軽やかで、その一挙一動に目が離せない。




このふたりが心中することなく生き残った姿を演じるのが、松たか子と上川隆也。ベテランの安定感で、歳月を経た人間的深みを見せる。松たか子の、まるでハイスピードカメラで撮ったように、ある瞬間をぎゅっと凝縮させる動きをする特殊能力には目を見張るばかり。


松は「運命を○○○する。……してはいけないこと?をしまくります。1回1回、とにかく精一杯生きようと思います。どうぞ野田ワールドについてきてください」と語り、上川隆也は「『楽しい時間程早く過ぎるのは絶対律だ』と綴ったらこれは言い過ぎになるのでしょうか。他の公演の倍以上設けられていた劇場入りからの日々もあれよあれよと今日のゲネプロを迎えました。きっと12月の大千秋楽も『気がついたら迎えていた』事になるのでしょう。なればこそ、今日のステージも含めて一回一回楽しみ尽くしたい思います」と本番への抱負を述べた。後半にいくに従ってぐんぐん調子が出てきて、クライマックスはぐいっと心をわしづかんでいく。




ロミオとジュリエットを取り巻く人々は曲者ぞろい。NODA・MAP初参加の竹中直人、橋本さとし、伊勢佳世と、NODA・MAP参加は四回目となる小松和重と、なんと21年ぶりに復帰の羽野晶紀。とりわけ、かつて別の演出家のもとで『ロミオとジュリエット』の神父を演じたことのある橋本と、ジュリエットを演じたことのある羽野が参加し、源氏と平家の人物を掛け持ちで演じて大活躍している。




竹中直人の平清盛は夢に見そうなインパクト。そして、忘れてならないのが野田秀樹。ジュリエットの乳母役で大暴れ。広瀬ジュリエットと髪型を同じにして、あれやこれやと絡みまくる。これが楽しい。クセがすごい人たちばかりだからこそ、若く儚いロミオとジュリエットの恋が際立っていく。




ロミジュリの生きて恋した5日間を「432000秒の恋」と秒に換算することで、5日間がより短く、より速く過ぎていくものに思え、若いふたりの恋が一層尊く思えた。時代や国が変わってもロミオとジュリエットの本質はそのままで、すっと心に染み込んでくる。それでいて、いつの間にか世界ががらりと色を変えていく衝撃はやっぱりNODA・MAPならでは。




NODA・MAPは毎回、主要メンバーのみならず、アンサンブルが重要な役割を果たすのだが、今回は、源氏と平家の人々を演じる19人のアンサンブル、ひとりひとりの動きや表情に注目したくなる。詳しくは見てのお楽しみ。上演時間は、1幕約95分(途中休憩15分)2幕約70分。


取材・文=木俣冬
写真撮影=福岡諒祠

当記事はSPICEの提供記事です。

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