海外ツアー中に旅行会社が破綻したら…自力帰国に備える「旅行の必需品」

日刊SPA!

2019/10/7 08:30

 イギリスの旅行代理店大手トーマス・クックが破綻した。これにより、トーマス・クックのツアーを利用した英国外の観光客が帰国の手段を失うという事態が発生した。宿泊予定のホテルはキャンセルされ、トーマス・クック傘下の航空会社も営業を停止してしまったのだ。

このような光景は、日本人にとっては初めてではない。2017年に破綻したてるみくらぶの騒動を思い出した人もいるはずだ。旅行代理店によるパッケージツアーは、もはや「絶対安心」と言い切れるものではなくなっている。利用者はこうした事態を想定した、最低限の用意が必要だ。

◆海外ツアー旅行中に代理店が破綻したら…何をすべき?

トーマス・クックとてるみくらぶは共に「顧客を国外に残した状態で破綻した旅行代理店」であるが、その会社規模や歴史は「雲泥の差」とも表現できる。てるみくらぶは設立から20年足らずの中小企業だったのに対し、トーマス・クックが団体旅行の取り扱いを始めたのは1841年。時のイギリス国王はビクトリア女王である。

コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズやアガサ・クリスティーのミステリー小説にも「クック旅行社」という会社が登場するが、それはトーマス・クックを指している。そのような名門企業が破綻したのだから、イギリス政府がそれを黙って見ているはずがない。旅行先で足止めされたトーマス・クック利用者は15万人と言われているが、政府は1億ポンド(約132億円)を急遽捻出して世界中の旅行者の救済を開始した。

此度のトーマス・クックの破綻は、各国の観光業界に深刻な影響を与えると推測されている。では、もしこのような事態にツアー参加者が遭遇した場合、まず何をすべきか?

◆絶対に持っておきたい「デビットカード」

現地に取り残されたツアー参加者がまずやるべきは、「現金の確保」である。これは特に、日本人にとっては耳の痛い話だろう。日本人は「クレジットカードを持たない国民」と世界でも評判だ。てるみくらぶが破綻した時も、クレジットカードを持っていなかった故に路頭に迷ってしまったという例がある。

また、クレジットカードがあっても設定上限が低額だった場合や、キャッシング枠を設定していなかった場合もやはり難儀することになる。そこで役に立つのが、国際クレジットブランドが付与されたデビットカードである。

これはクレジットカードとは違い、指定先の銀行口座の残高から引き落とされる仕組みだ。言い換えれば、残高の目途が立ってさえいればいくらでも利用できるということでもある。

デビットカードを使って、現地のATMから数日分の生活費を調達する。無論、ホテル代も考慮しなければならない。先述のように、旅行代理店が破綻した場合は宿泊予定だったホテルはキャンセルされている可能性が高い。

◆ガイドブックよりスマホを持ち歩こう!

こういう状況でもうひとつ用意したいのが、スマートフォンである。これは現地で簡単に購入することができる。日本のスマートフォンや携帯電話は長年SIMロック端末が主流だったが、海外で流通している端末の殆どはSIMフリー。もちろん、この端末には現地入手のSIMカードを自分で挿入して使う。

スマホ自体は値の張るハイエンドモデルである必要はない。日本円で1万円程度でも充分実用に値する端末が手に入る。

無論、日本から持ってきたスマホでも海外ローミングを実行することができるし、それに越したことはない。しかしこの点もクレジットカードと同じで、そもそもスマホ自体を所有していないというツアー旅行参加者も少なからず存在する。

特に定年退職を経た中高年参加者に多いのが、「スマホはないがガイドブックは持っている」という例だ。だがそのガイドブックを見てみると、数年前に発行されたものだったりする。海外旅行経験のある知人から譲り受けたのだろうが、中には図書館から借りてきたものを持参している例すら見受けられる。

海外の情勢は日本よりも流動的で、数年前のガイドブックに取り上げられている情報が全く役に立たないということもよくある。だからこそ、リアルタイムの情報が得られるスマホを必ず所持しておくべきだ。いざという時、スマホがあるのとないのとでは安心感が全く違うことはここに明記しておきたい。

◆発行されなくなった「トラベラーズチェック」

ところで、旅先で現金を入手する手段として少し前まではトラベラーズチェックというものが使われていた。

これは旅行者用の小切手で、紛失しても現地の提携先金融機関で再発行できる代物だ。ならばデビットカードなどなくても、トラベラーズチェックを持っていれば十分ではないか? と問われるかもしれない。

2019年の時点で、トラベラーズチェックを発行している金融機関は日本には存在しない。これはやはりクレジットカードとデビットカードに置き換わった結果で、トラベラーズチェックを世界で初めて発行したトーマス・クックですらも2006年にその販売を終えている。海外を旅行する上で、「クレカ嫌い」の癖は身の危険をも招いてしまうのだ。<文/澤田真一>

【澤田真一】

ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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