20代で気づきたい仕事の「しなくていい努力」 第16回 トーク力が上達しないのはなぜ? 高め方を解説


「できる営業マン」というと、みなさんはどんなイメージを持っていますか? 営業職として社会人としてのキャリアをスタートした新人の私は、

・「立て板に水」のように、笑顔で流暢にプレゼンをする
・「面白い話」で相手のハートをガッチリつかむ
・厳しい商談も「口八丁、手八丁」で乗り切る

といった、まさに「話し上手の人」をイメージしていました。ですから私は、とことん「話し上手」を目指しました。しかし、3年が経っても私はできる営業マンにはほど遠い男でした。

○優秀な営業はペラペラと話さない

「優秀な営業担当から、その秘訣を学ぼう!」

そんなテーマの研修が行われました。若手の営業が優秀な先輩たちからヒアリングしてそのコツを学ぶ、というのがその内容です。に30歳を過ぎた総務部の私は、そのヒアリングに事務局として同席することになりました。

そこで私は、頭をハンマーで殴られたような、衝撃を受けるのです。多くの、自他ともに認める優秀な先輩営業たちは、まるで口裏を合わせたかのように、

「話さない=お客様の話を聞く」

ことが最も営業で大事なことだと口々に話したのです。
○相手の話を聞く3つの理由

その理由は、大きくは3つです。まず、なんといっても、「聞かなければ、相手が本当に何を望んでいるか分からない」からです。

たとえば、商談相手が「その商品は要らない」と言ったとします。20代の私はそんなとき、「お客様にピッタリとマッチする商品です。なぜなら理由は3点あって……」とここぞとばかり、畳みかけるように「営業トーク」を繰り出していました。

ところで、なぜ、相手はその商品はいらないのでしょうか? 本当は何を望んでいるのでしょうか? それは……もっと聞かないと分からないのです。

営業が聞く姿勢を示すと、相手はその理由を話し始めます。そして、その理由が、「値段が高いので」という場合と、「本当は欲しいけど、上司を説得する自信がない」場合とでは、当然、営業としてのその後の対応や提案も変わってくるのです。

二つ目は、こんな状況を考えてみてください。

皆さんは悩みを持って上司に相談に行きました。さて、二人の上司がいます。上司Aは、まずあなたの悩みをじっくりと聞いてくれます。その上で「君もここは直した方が良い」と耳の痛い提言をします。一方上司Bは、「悩みがあるんです」と言った瞬間に、「君もここは直した方がいい」と耳の痛い提言をします。

2人の提言内容が、一言一句同じだったとしましょう。では、その提言の「受け取りやすさ」は同じでしょうか? そうです。Aさんの提言の方が圧倒的に受け取りやすいはずです。

人は「自分の話を聞いてくれた人の話だけを聞く」のです。どんなに正論でも、一方的な話には、反発をしてしまう生き物なのです。だから、聞いてほしければ、まず自分の方が、相手の話をきちんと聞く必要があるのです。

最後の理由は、もっともシンプルです。

私の研修の中で、「お互いの悩みを5分間聞く」というワークをすることがあります。終わった後に、「話し手」の人に、「話して良かった、この5分間は有り難かった、という人は?」と聞くと、ほとんど全員が手を挙げます。

ということは、「話し上手」と「聞き上手」では、どちらの人が人気者になるでしょうか? もうお分かりですよね。話している方が圧倒的に楽しいのであれば、それを聞いてくれる人の方が、人気が出るのです。
○「話し上手」になる前に、「聞き上手」になる

それなのに「話し上手」を目指した私は、

・相手のニーズも分からないのに思い込みで見当違いの提案をベラベラと話す
・後輩の話を聞きもしないで、一方的にいきなりアドバイスをして嫌われる
・常に自分ばかり話し続けることによって、どんどん人に煙たがられる

といった「しなくていい努力」をどんどんと重ねていくことになっていったのです。「話し上手」になる前に、私は徹底的に「聞き上手」になる努力をすべきだったのです。そして最後にもう一つ、注意しなければならないことがあります。

コミュニケーションには大きくわけて「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つがありますが、さて、学校では、どこを重点的にトレーニングしてきたでしょうか? 「読む」「書く」を徹底的にやって、「話す」こともやって……そうです、学校では「聞く」トレーニングはほとんどしないのです。

これだけ大事な「聞く力」ですが、ほとんどゼロの状態で、我々は仕事をしているのです。

○筆者プロフィール: 堀田孝治
クリエイトJ株式会社代表取締役1989年に味の素に入社。営業、マーケティング、"休職"、総務、人事、広告部マネージャーを経て2007年に企業研修講師として独立。2年目には170日/年の研修を行う人気講師になる。休職にまで至った20代の自分のような「しなくていい努力」を、これからの若手ビジネスパーソンがしないように、「7つの行動原則」を考案。オリジナルメソッドである「7つの行動原則」研修は大手企業を中心に多くの企業で採用され、現在ではのべ1万人以上が受講している。著書『入社3年目の心得』(総合法令出版)、『自分を仕事のプロフェッショナルに磨き上げる7つの行動原則』(総合法令出版)他。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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