「スカーレット」5話。芸術よりも生活を選んでいるおとうちゃん

エキレビ!

2019/10/5 08:30



(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)
連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第1週「はじめまして信楽(しがらき)」5話(10月4日・金 放送 演出・中島由貴)

「おなごに学問は必要ない」の? 
紙芝居を見ることができず(正確には、お金を払わないとポンせんべいをもらえないが紙芝居は見ていいと情けをかけられたにもかかわらず意地になって帰ってきてしまった)、代わりに、学校を休んで自分で紙芝居をつくる喜美子(川島夕空)。
健気である。
しかも絵が巧い。芸術を見る目がありそうな草間(佐藤隆太)に一目置かれるほど。
だがしかし、その紙芝居は、いわゆる紙芝居の体(てい)を成していない。「たぬき」と「直子」(やくわなつみ)と「琵琶湖」の三枚の絵だった。

なんでかといったら、喜美子は漢字が読めないからだろう。漢字が読めないってことは文章がほぼ読めないので物語を作ることができない。このように基本的な知識がないから、「日本人じゃない」とか「ゴミ」とか「最悪」とか不躾な言葉遣いが不躾だとわからなかったのかもしれない。

喜美子も学校に通い始めたから次第に学びを得て、成長していくのだろう。と思ったら、いけない。常治(北村一輝)は酔った勢いで「おなごに学問は必要ない」と豪語し、真に受けた喜美子が学校でお父ちゃんにそう言われたと話してしまう。

「勉強できんでもかまへん」と親が言うとは由々しきことと、さっそく照子(横溝菜帆)が父親・熊田(阪田マサノブ)にご注進。熊田の経営する窯元で働いている常治は恥をかいてしまう。「おなごに学問は必要ない」と本気で言ったわけはないだろう。義務教育とはいえ学校にちゃんと通わせているわけだし。

喜美子のこれをどう解釈するか。
言葉を額面通りに受け取ってしまう性分なのか、それともその場しのぎの悪知恵か、判然としないが、未成熟な喜美子がこれから成長していく、いまはそのとば口であることは確かだ。

きっかけがあると学習意欲も高まるもの。おせっかいな照子が開いた勉強会で、興味ある「じゃがいも栽培」に関する文章を読んで、やる気になる。

ところが、そんな矢先、草間さんが出ていってしまって……。

喜美子は草間さんに紙芝居代を集金するなんて言わなきゃよかったと後悔したのではないだろうか。
現に草間は「紙芝居代」としてお金を置いていった。それは給食費を払えるくらいの金額だった。

そして、草間の残した手紙を喜美子は読めない。うう…つらい。
つらいけれど、「作品」、「紙芝居」、「お金」、「読めない文字」……と草間登場の3話から5話まできれいにまとまっている。
朝ドラ的なアイコンを用いているとはいえ、視聴者のツッコミ待ちのような部分を作らず、物語を着々と書き進めている感じには好感が持てる。

草間が「紙芝居代を払って」と言われてお金がないから逃げたのかと一瞬茶化した想像をした私は自分を恥じる。ああもう毎日謝ってばかりだ。

おとうちゃん
酒に弱い。酔うと、大きな口をたたいてしまうが、ほんとうは気が小さいお父さん。
喜美子の描いた絵を見て、「落書きだ」と言ってしまうが、草間がうまいでしょうと言うことには一応、「ああ」とか「そやね」とか相槌を打って、否定はしていない。口は悪いが人は悪くないタイプの人。芸術よりも生活を選んでいる人なのだ。
北村一輝は愛嬌もノイズもあるので、こういう役、合っている気がする。
「ごごナマ」にもさっそく登場した。

「ごごナマ」で面白かったのは、司会の西川きよしと、きよし師匠の相方・横山やすしを演じたことのある北村一輝が並んだこと。
あと、関西出身の北村は、標準語の芝居をするとき、台本を一回関西弁に直して感情を理解してから標準語にしているという話。イントネーションよりも感情が大事なのだなと思うし、手間をかけていることがすばらしい。北村一輝の芝居に対するぎらぎらした情熱はハンパない。10年後には大河ドラマの主演をやりたいと希望を述べた北村一輝。夢がかなうことを祈る。

「おはよう日本関東版」は高瀬アナの名物朝ドラ送りをツイートして全国に広げるようになったし(今日はなかった)、昨日は「あさイチ」に佐藤隆太、今日は「ごごナマ」に北村一輝と、宣伝体制はばっちり。視聴率もちょっとずつ上がっている。

なんといってもSuperflyの「フレア」がいい曲で、気持ちよく朝がはじまる。Superflyが主題歌歌うドラマがヒットするのはあのよく伸びる澄んだ声が気持ちをぐっと引き上げてくれるからと思う。

脚本:水橋文美枝
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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