平塚直隆インタビュー~オイスターズ新作公演『みんなの力』が10月14日まで名古屋でロングラン上演中

SPICE

2019/10/5 06:00



名古屋を拠点に活動し、近年は外部演出や脚本提供などでも活躍する劇作家・演出家の平塚直隆率いるオイスターズが、2019年10月4日(金)から14日(月・祝)まで名古屋・丸の内の「損保ジャパン日本興亜人形劇場ひまわりホール」にて、新作『みんなの力』で14ステージに及ぶロングラン公演を行っている。
オイスターズ『みんなの力』チラシ表
オイスターズ『みんなの力』チラシ表

同劇場及び「愛知人形劇センター」の30周年記念事業のひとつであり、現在愛知で開催されている【あいちトリエンナーレ2019】の連携企画事業「思いと人形の間」(「愛知人形劇センター」が主催し、8月から海外招聘作を含む人形劇などを連続上演している)のトリを飾る作品でもある本作。オイスターズの公演でありながら、劇団員の出演は黒一点の芝原啓成のみ、その他のキャストはオーディションで選んだ女優10名(うち2人はWキャスト)という特別作だ。

平塚はこれまでにも『音 女子校版』(2013年・2014年上演)、『あの匂い』(2015年・2018年上演)と、女性キャストのみの作品を手掛けてはいるがいずれも短編で、芝原の出演はあるものの、ほぼ女優のみで進行していく長編を書くのは今作が初となる。この試みに加え、キャストの半数が初顔合わせという2つの初体験が重なり、かつてないほど創作に苦しんだ、という平塚に公演直前インタビューを敢行した。

── 『みんなの力』というタイトルにされた時に、もう内容は決めていたんですか?

学校の話にしようと思ったんですよね。みんなで力を合わせて何かを成し遂げる、みたいな話を書こうと思ってこのタイトルを付けたんです。それで、どんな学校にしようかな?と思って最初は小学生で書こうと思ったんですけど、紆余曲折があって高校生になりました。高校生が文化祭の出し物を決める会議をしている、という話です。みんなで力を合わせて文化祭を成功させたいんだけど、それがなかなか決まらない。全員がずっとしりとりで喋っていて会議の話は進まないんだけど、結局力を合わせてひとつのことをやっている、ということに見えないかな、と。

── 平塚さんが以前から目指していらっしゃる、いろいろなことがちょっとずつズレながら、会話が面白いことになっていく、というようなことですよね。

そうです。話していることは決まらないけど、脱線していることはちゃんとチームワークがいい、みたいな。その辺のことが可笑しく出ないかなとは思ってるんですけど、全然うまくいかないんですよね(笑)。
稽古風景より
稽古風景より

── 昨年『あの匂い』を再演されて、「また女の子だけの作品を創ってみたい」と仰っていましたが、あの作品の続きのような感じで考えていらっしゃるんですか?

そうなんです。最初はそれを書こうとしてたんです。2~3人ぐらいの女の子が話していて、話の流れから別の複数の人たちの会話にいつの間にか流れていって、ここがどこなのかも時間がいつなのかもわからないけれども、話だけがフーッと流れていくようなものを書こうとしていたんです。それでキャストにもそうやって説明していたんですけど、書いていくうちに、あれ、ちょっと難しいな、と思って。

── 『あの匂い』の時はスムーズに書けた感じですか?

あのやり方になったのは、幾つか書いたうちの最後だったんですけど、書き出したら早かったですね。あの時は、“匂いから通じる記憶”で1本筋が通っていたから書けた気がしたんですよ。今回はみんなの力を合わせる、ということしか無くて、筋になるものが無かったな、といま話していて思いました。
稽古風景より
稽古風景より

── キャスト一人ひとりのキャラクターづけはされている?

いや、今回そこが一番ネックで、キャラクターづけをせずに書き始めてしまったので大変なことになっているんだと思います。去年上演した『無風』という作品もキャラクターを決めずに書いたので、今回もそれをやってみようと思ったんですけど、どうも上手くいかない。今書いているものが不条理じゃないんだと思います。いつも書いているみたいな不条理な設定にしていないから、ちゃんとキャラクターをつけないと変な感じになってるんだな、と。

例えば、『ここはカナダじゃない』(2016年初演。第61回岸田國士戯曲賞の最終候補作にノミネート。2018年に名古屋で再演された)でいう、「カナダに行ったと思ったら、名古屋だった」というようなことなんですけど、何かズレている状況だとか、なんかちょっとおかしなことが起こっているとか。でも今回はたいして何も起こっていないから動かないのかもしれないですね。そこが弱いのかもしれない。文化祭のことを喋っているだけではただの会議で面白くないからしりとりで会話させていて、その様子はなんか面白い気はしているんですけど、それはなんでなんだ? って。
稽古風景より
稽古風景より

── 『音 女子校版』の時は、7人の女子高生たちのキャラクターが全く違っていて、それも作品の魅力になっていると思いました。

そうですよね。いま考えると、今回はキャラクターを作るのを避けていたみたいです。本当に全員がその他多数、みたいな感じで書き始めて。“みんな”というのを意識しすぎて、僕が勝手に縛られているのかもしれない。後半の方向性を見直していけば、なんとかなるような気がしてきました(笑)。
オイスターズ『みんなの力』チラシ裏
オイスターズ『みんなの力』チラシ裏

その後、どうにか台本は書き上がった様子で無事開幕を迎えた『みんなの力』。その台本に平塚の演出が加わることで、どんな仕上がりになっているのか、劇場でぜひお確かめを!

取材・文=望月勝美

当記事はSPICEの提供記事です。

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