燃えつきてしまった…頑張る人に起きやすい3つの症状

All About

2019/10/4 21:50

頑張りすぎると、心のエネルギーが燃えつきて「バーンアウト」を起こしてしまうことがあります。バーンアウトとはどんな状態なのか、それを防ぐ予防法・対策法を含め、解説します

「頑張りすぎた……」頑張る人ほど、燃えつきやすい

仕事、家事、人間関係、将来設計……。私たちを取り巻く環境は、ストレスだらけです。

そんなストレスフルな日常をこなしていくと、いつしか心身ともに疲弊して、やる気が起こらなくなってしまうことがあります。これが続いた状態を「燃えつき症候群」(バーンアウト)といいます。

バーンアウトは、対人サービスの仕事に就く人や、強いプレッシャーに長期間さらされながら頑張っている人、そして、頑張っても成果が得られにくい状況にある人によく見られます。

たとえば、サービス業、営業、教育、医療、介護など、「人相手」の感情労働はバーンアウトのリスクがとても高い仕事です。他人に合わせて感情を制御するのは、仕事とはいえ疲れるものですし、笑顔や優しさを投げかけても、受け取り方は人によってさまざま。必ずしも、期待通りのリターンが返ってくるわけではありません。

また、期待を込めて取り組んできた仕事に思うような結果が現れない場合にも、バーンアウトのリスクは高まります。立ち上げたプロジェクトがうまくいかない、開発した商品が売れない、新規事業の成果が出ない……、物やサービスが売れない時代、こうした結果からバーンアウトに向かう例は、枚挙にいとまがありません。

バーンアウトのリスクを抱えるのは、働く人ばかりではありません。

周りからサポートを得られず、孤独な気持ちで子育てをする母親、「勉強、勉強」と追いまくられているのに、思うように成績が伸びない子ども、就職活動に励んでも内定が得られない学生、いわゆる「婚活」や「妊活」がうまくいかない女性……「頑張る毎日」を続けながらも、思うような結果に結び付かない人は、心のエネルギーが燃えつきてしまうリスクを抱えているといえます。

バーンアウトを起こす人に見られる3つの症状とは?

自分自身の「バーンアウト」のリスクを知るために、参考になる指標があります。それは、アメリカの心理学者マスラックが開発した「バーンアウト尺度」というものです。

この尺度では、バーンアウトを起こす人によく見られる、次の3つの症状を測定します。

1. 情緒的消耗感……心身ともに疲れ果てた感じ
2. 脱人格化……人を人とも思えなくなる感じ
3. 個人的達成感の減退……取り組んでもやりがいを得られない感じ

このように、バーンアウトに近づくと、心や体にずっしりとした疲れを感じ、寝ても休んでも疲れが抜けない感覚を覚えます。

感情が摩耗して他人のことなどどうでもよくなり、事務的な対応しかできなくなってきますし、以前は情熱を燃やしてきたことにも、気持ちが動かず、やる気を失ってしまいます。

さらには、何かとイライラして気持ちが落ち着かなくなったり、「自分は無力だ」と自己否定感にさいなまれてしまうこともあり、既にうつ病になっている例もたくさんあります。

バーンアウト対策1. 一つのことだけにのめり込みすぎない

こうしたバーンアウトを防ぐためには、どうしたらいいのでしょう? まずは、一つのことだけにのめり込みすぎないことです。

バーンアウトをしやすい人は、「これだ!」と決めるとそのことに昼夜を問わず邁進し、頑張りすぎてしまう傾向があります。

たとえば、働く人は、就業時間が終わっても研修会や勉強会に熱心に参加し、休日も仕事のための情報収集。一日中「オンタイム」の感覚で、仕事のことばかり考えていたりします。

育児中心の母親、受験勉強や就職活動に追われる学生、婚活や妊活に励む女性もそうです。興味や生活のほとんどが「そのことだけ」に占められ、その目標を達成するために、身を削って頑張りすぎてしまうのです。

「そのこと」だけに邁進しても、必ずしも良い結果が得られるとは限りません。たとえうまくいったとしても、「そのこと」だけに思考や生活がとらわれたままでいたら、いずれは疲弊してしまいます。

一つのことだけに熱心にならず、他にいくつもの「ステキなこと」「大切なこと」があることに気づき、情熱の矛先を分散させることが、バーンアウトを防ぐためにはとても大切なことなのです。

たとえば、仕事だけでなく「家族との時間」も楽しんでいる、子育てだけでなく「自分の時間」もキープしている、勉強や就活だけでなく「部活」や「友だち付き合い」も充実している、結婚や妊娠への努力だけでなく「仕事」も大切にしている……このように、情熱の矛先をいくつかに分散させておくと、それぞれが適度な気晴らしになります。

また、一つの領域でうまくいかないときには、他の領域があることで自分の心が支えられます。

バーンアウト対策2. 気分転換の方法をいくつか持つ

また、気分転換の方法をいくつか持つことも大切です。毎週楽しみにしているテレビ番組がある、休日にはプールに行ったり、ライブに行ったりしている、たまにはブラブラ目的もなく街歩きをする……こんな何気ないことこそ、すばらしい気分転換になります。

多様な気分転換方法を持つことを「コーピング・レパートリー」といいます。あくまで気分を変えるための手段なのですから、難しく考える必要はありません。

目的もなくそのへんを歩きながら、「ああ、気持ちのいい散歩だ」と感じたり、偶然入った映画館で観た映画で気持ちをスカッとさせたり、店先で心ときめくコーヒーカップに出会ったり……。そんな小さなことこそ、自分を心からリラックスさせてくれるものです。

また、たまには友だちと会ってじっくり話すことも、とてもよい気分転換になります。グチをこぼすだけでモヤモヤしていた気持ちが楽になりますし、漠然と感じていることを言葉に出し、それを受け止めてもらうだけで、楽になれるものです。

バーンアウト対策がうまくいかないときには

「自分はバーンアウトしているのかも」と思ったなら、まずは上の2つのポイント(一つのことにのめり込りすぎず、情熱の矛先をいくつかに分散させる、気分転換をする)を試してみましょう。

「やってみてもうまくいかない」「うまく取り組めない」という場合は、カウンセリングを利用してみてもいいと思います。

カウンセラーに話すことで、自分の考え方や行動のパターンを理解することができますし、無理のないライフスタイルや気分転換の取り入れ方を発見し、自分らしいライフスタイルを考えるきっかけにもなります。

また、上の2つのポイントについて、「する気も起こらない」「何をしたらいいのか考えがまったくまとまらない」という場合、治療が必要なほど心が疲れ切っているのかもしれません。そうした場合、メンタルの専門医への相談を検討してみるといい思います。

受診をすれば、必要に応じた薬の処方など、その人にあった治療法を提案してもらうことができます。治療が必要な場合には、早めに治療を開始するほど、早めの回復が期待できます。

また、生活改善の指導を受けたり、必要に応じてその人に合った社会資源を紹介してもらえることもあります。
(文:大美賀 直子(公認心理師・産業カウンセラー))

当記事はAll Aboutの提供記事です。

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