「スカーレット」4話。作品を「ただのゴミ」「最悪」扱いし「一生懸命作った人に失礼だ」と叱られる主人公

エキレビ!

2019/10/4 08:30



(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)
連続テレビ小説「スカーレット」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第1週「はじめまして信楽(しがらき)」4話(10月3日・木 放送 演出・中島由貴)
デリカシーのない喜美子
今日も謝らなくてはならない。
第三回のレビューで、妹の直子(やくわなつみ)が小憎らしいと書いたが、喜美子(川島夕空)もさほどいい子ではなかった。陶芸家の慶乃川(村上ショージ)の茶碗をボロクソに言って、草間(佐藤隆太)に「今日ひどかったね」とたしなめられるのだ。

草間に厳しく言われてすぐに反省して謝りに行く素直さは買う。が、いきなり「なにこれ」「あかんわ」「こんなんただのゴミやん」「最悪や」なんてたたみかける自由気まま度は、妹とどっこいどっこいだなと認識した。

冷静に考えれば、一話でいじめられたからとはいえ暴れていたし、草間には「日本人じゃない」などとびっくり発言をするくらいだから、単なる“良い子”ではないことはわかる。空気が読めないタイプかもしれない。それにしても「ただのゴミ」「最悪」とはとても悲しい言葉だった。

その一方でうきうきする気持ちもある。だって優等生過ぎたら面白くないもの。

やんちゃなところもあるけれど、喜美子も直子も姉妹。何かと行動をともにする。喜美子は紙芝居とポンせんべいを求めて紙芝居屋さんのもとに。でもお金がないからポンせんべいをもらえない。
「お金」が人間の生活にいかに重要か、喜美子はここで噛みしめる。

心が動くのは
「戦後」「貧しさ」「田舎」「細やかな生活描写」「家族愛」「主人公に影響を与えるすてきな人」「主人公がちょっとはみだし者」「主人公と対局にある女の子」「感じのいい同級生男子」「いじめっこ」……朝ドラで有効なカードが次々切られるなか、「主人公に影響を与えるすてきな人」草間さんは、慶乃川に暴言をはいた喜美子を、子供のしたことだと甘やかさない。

「人の心を動かすのは作品じゃない」
「作った人の心が作品を通してこちらの心を動かす」
「子供だからってああいう態度はいけないよ。一生懸命作った人に失礼だ」

第一週から、「ものづくりの心」を訴えかける。さらに、慶乃川を通して、芸術と仕事との違いを語る。陶工は仕事で作ること。陶芸家は自分だけの作品をつくる芸術家。「カーネーション」的にいえば陶工はプレタポルテ。陶芸家はオートクチュール。
朝ドラ101作め、“朝ドラらしさ”を大事にしようという「作った人の心」がそれこそ伝わってくる。

かつて琵琶湖に底にあったからこその信楽の土の風合いについても語られたこの日、「あさイチ」に佐藤隆太が早くも登場し、滋賀県特集が組まれた。

脚本家の水橋文美枝とは
1~4話まで見て、前の回で引っかかりを作った部分に次の回で答えを出すパターンにデジャヴュを感じて記憶をたぐると「半分、青い。」だった。「半分、青い。」の脚本家・北川悦吏子は61年生まれ。水橋文美枝は64年生まれで広い意味では同世代といっていい。バブル世代、フジテレビドラマ全盛時代だ。

私にとっての水橋文美枝は、「映画ホタルノヒカリ」(12年)でスペイン広場の階段を綾瀬はるかに「ゴロゴロ」させた作家。そういえば、部長役は「なつぞら」で剛男を演じた藤木直人だった。
「干物女」ブームというのもがあった。ひうらさとるの人気漫画を原作に、綾瀬はるかが演じる干物女(職場ではしっかりしているが家では何もしないでゴロゴロしている)が「部長」と恋愛するドラマは日本テレビで07年に放送され人気で、10年に続編、12年に映画化と盛り上がったものだ。
映画公開の翌年13年、朝ドラでは「あまちゃん」がはじまって、テレビの時代も「あまちゃん」以前、以後で変化したと言っていい。あまちゃん以前、干物女ブームを生み出した脚本家は令和の朝ドラをどう書くか、これはもう注目せざるを得ない。

脚本:水橋文美枝
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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