【REBELSオフィシャルインタビュー】雅駿介「PHOENIXも、REBELSとKNOCK OUTも、僕が引っ張って盛り上げるためにスアレック選手に勝つ」――「帝王」梅野源治の後継者という自覚と覚悟。

SPICE

2019/10/3 11:23


10月6日(日)、東京・後楽園ホールでおこなわれる『REBELS.63×KNOCK OUT』。メインイベントは「超攻撃型ムエタイ」スアレック・ルークカムイ(スタージス新宿)とのREBELS-MUAYTHAIライト級暫定王座決定戦に臨む雅駿介(PHOENIX)。

当初は同級王者・良太郎がスアレックと防衛戦をおこなう予定だったが、8月18日大田区総合体育館『K.O CLIMAX』で雅が良太郎に3RTKO勝利。その際、良太郎が眼窩底骨折の怪我を負ったため、急遽、暫定王座戦が組まれることとなった。

自らの実力で引き寄せたビッグチャンスを前に、雅は記者会見で「この1戦に人生を懸ける」と言い切った。その決意の裏にあるものとは何か。

【プロフィール】
雅駿介(みやび・しゅんすけ)

1994年5月4日、千葉県市川市出身。25歳。
PHOENIX所属。173cm、61kg(試合時)。
2015年3月プロデビュー。戦績17戦15勝(7KO)2敗。
ムエタイオープン、スックワンキントーン・ライト級王者。

(記事提供:REBELS)

■梅野源治にあこがれて名門PHOENIXへ――「安いチケットを買って、遠くの席から試合を見てました」


父は鉄筋工で自ら会社を経営。2つ上の姉と1つ下の弟の三人兄妹。

「親父は下町育ちで、昔気質で、子供の頃は怖かったです。友達から今も『駿介の父ちゃんって怖いよな』といじられるほどの名物父ちゃんです(笑)」

その父は「超」が付くほどの格闘技ファン。雅もその影響で格闘技にのめり込んだ。

「PRIDEとK-1は必ず親父と一緒にテレビで見て、その後は『格闘技ごっこ』をして遊んでました(笑)。子供の頃、僕にとって格闘家はあこがれのヒーローだったんです。リアルタイムだと『魔裟斗対KID』、あと須藤元気さんとか見てました。中学、高校の頃は、昔のPRIDEの映像とかを見まくってましたね」

高校生になると地元市川のジムでキックボクシングを始め、国士舘大ではキックボクシング部に入部。同時に、家と大学の間にあって通えるPHOENIXに入門した。

「一番強く影響を受けたのは梅野源治さんですね。大学生の頃はチケットを買って見に行ってました。安いチケットしか買えないんで遠くから(笑)、梅野さんとゲーオの試合とかポンサネーとの試合とか、携帯で動画を撮って『技術を取り入れよう』とかじゃなくて、単純に面白い漫画やドラマを見る感覚で家で何度も何度も見てました」

2014年、学生キックのライト級チャンピオンに輝き、2015年3月にプロデビュー。順調にキャリアを積んだものの、大学卒業時に人生の岐路に立った。

「めちゃめちゃ迷って、就活もしました。親父は『好きなことをやればいい』と放任なんですけど、母親からは『就職するか、家を出るか、どっちかにしなさい』と言われました。『もし好きなことをやるなら、実家を出て自分で生活しながらやりなさい。実家にいながら好きなことをやるのは無理だから』と」

雅は家を出て、一人暮らしをしながらキックボクシングを続ける選択をしたが、生活のためのアルバイトと日々の練習を両立させるのは難しかった。

「フリーター生活は本当に厳しかったです。それで、国士舘大キックボクシング部の1コ上の先輩で、今はテコンドーでオリンピックを目指している沖倉辰也さんに相談したんです。沖倉さんは株式会社ミライユという、格闘家に仕事先を紹介する事業や、タクシードライバーや警備員さんの人材紹介をしている会社に『実業団』という形で入社されていて。沖倉さんに『社長と話してみたら』と紹介して貰って、ミライユの岡田侑也社長とお会いして入社することが決まりました」

2017年8月に株式会社ミライユに入社。最初は定時まで勤務をして、夜はキックボクシングの練習に打ち込んでいたが、今年からキックに重きを置いた勤務形態に変わった。

「最初は毎日定時まで働いて、夜は練習をする生活で、練習と試合をこなしながら仕事も営業だったんですけど表彰されたこともあって、自分で言うのもアレですけど両方を全力で頑張りました(笑)。それで、タイトルマッチの話をいただくようになったので『必ずタイトルを獲るので、キックに集中させてほしいです』と話したら、社長から『あと5、6年はキックに集中して、その後に会社に貢献してくれればいいから』と言っていただいて、今の週休三日の勤務形態に変わりました。月、水は午前中のみ、火、木は17時までの時短勤務で、金、土、日は休みです。空いた時間にフィジカルトレーニングや他の練習を入れることが出来るようになって、僕のパフォーマンスは少しずつ上がってきた実感がありますね」

雅は、2月のムエタイオープンで翔・センチャイジムに勝ってライト級王座を獲得し、6月のスックワンキントーンで永澤サムエル聖光に勝って同じくライト級王座を獲得して2冠王に。着実に成果を出してきた。

「会社にはめっちゃ感謝してます。生活の不安もなく、いい環境でトレーニングできて、試合には社長や社員の人たちもたくさん応援に来てくれるんです。自分が好きでやってることを、こんなに応援して貰えるのは素晴らしいことだなと思いますし、感謝しなければいけないと思ってます。たとえば、とても疲れていたり、他の誘惑がある時は『今日は練習を休んでしまおうか』という時もあるんですけど、会社を早上がりさせて貰ってる僕の給料は他の社員が働いて捻出して貰ったものなので『いや、もっと頑張らないと』と思います。応援してくれる人がいなければ、ここまでやれていないかもしれないですね」

■REBELSと「このベルト」への強い思い――「PHOENIXの先輩が戦う姿をリング下で見てきて、今度は僕がメインで、人の心を動かす試合を」


10月6日(日)、『REBELS.63×KNOCKOUT』(後楽園ホール)で、雅はスアレックとREBELS-MUAYTHAIライト級暫定王座をかけて対戦する。「超攻撃型ムエタイ」スアレックはこれまで様々な日本人キックボクサーをKOしてきたが、雅は「スアレック攻略」に向けて着々と準備を整えてきた。

スアレックの強打を完封して勝利した梅野からは様々なアドバイスを貰い、スアレックと対戦経験のある杉本卓也とはスパーリングをして「スアレック対策」を練った。
雅駿介
雅駿介

「梅野さんからは『実際にスアレック選手と対峙しないと分からない情報』をかなり聞きました。僕は前口さんや梅野さんがスアレック選手と試合した時、リング下で見ているんですけど、梅野さんに『え、そういう感じなんだ』と意外なポイントを一杯聞いてて、だいぶ勝率は上がってますね(笑)。卓也君にも聞いて、梅野さんとは言い方とかニュアンスは違うんですけど、言ってることは共通してて『やっぱりスアレック選手はそういうところがあるんだ』というポイントも見つけました。卓也君からは全部教えて貰ったので、卓也君が試合前に用意した『スアレック対策』は今度の僕の試合で生きてくると思います」

スアレック対策を練る中で、雅にとって嬉しいことがあった。

「いつも僕の対戦相手が決まると、梅野さんは知らない選手でもビデオを見てくれて『全然余裕じゃん』って言ってくれるんです。だけど、今回は『スアレック選手に決まりそうです』と話したら、初めて『スアレックは強いから、今の実力ならいける可能性もあるけど、相当頑張って練習しないと勝てないよ』と言われたんです。梅野さんの言葉は逆に嬉しかったですね。梅野さんが『強い』と認める相手と戦える位置まで来たんだなって。だから、余計に『勝たないと意味がない』と思ってます」

今回のスアレック戦に向けた記者会見で、雅は「この試合に人生を懸ける」と言い切った。その裏には「自分がやらなければ」という強い思いがある。

きっかけは、今年3月に加藤督朗会長が独立して自らジムを立ち上げるために、PHOENIXを去ったことだった。

「会長がいなくなる時『これからはお前がPHOENIXを引っ張っていかないとダメだぞ』と言われました。今、PHOENIXには僕よりも下のプロ選手が全然いなくて……」

かつてのPHOENIXは、梅野源治を筆頭に、ハチマキ、郷州力(現・郷州征宜)、前口太尊、久保政哉といった個性と実力を兼ね備えたプロ選手を揃え、様々な団体で活躍していた。

だが、現在、PHOENIXに残っているのは梅野、ハチマキ、雅のみ。

「梅野さんがガーっと強くなって、有名になっていった時期は、よそのジムの選手から『練習させてほしい』とか『移籍させてほしい』という声がすごい一杯入ってきたそうなんです。それって梅野さんのパフォーマンスの力だから、これからは僕が引っ張っていかないと、という気持ちは強いです。それはPHOENIXだけじゃなくて、山口さんがインタビューで『REBELSは世代交代の時期』と発言してるのを読んで、僕らの世代が盛り上げるんだ、という気持ちはもっと強くなりました。昔は『どうせわき役だしな』というところがあったんですけど、今は違います。『今はわき役だろうと、絶対にオレが中心にいって、REBELSとKNOCKOUTを盛り上げてやる』という気持ちでやってます。そこの意識は変わりましたね」

雅には「REBELSのメインで、REBELSのベルトを掛けて戦うこと」に対する特別な思いがある。雅は、PHOENIXの末っ子的な存在として、先輩たちがREBELSでメインイベントを務める姿を、ずっとリング下から眺めてきたのだ。

「梅野さん、ハチマキさん、郷州さん、前口さんとPHOENIXの先輩たちがREBELSのメインで戦ってきた試合を、僕は全部セコンドの後ろ辺りで見ているんです。郷州さんと町田(光)さんの試合は半端なかったし、梅野さんや前口さんがスアレックさんと戦った試合や、ハチマキさんのタイトルマッチとかも全部見てきました。そもそも『REBELS-MUAYTHAIライト級』の初代チャンピオンはハチマキさんなんです。大好きな先輩ですし、その先輩が持っていたベルトだから、絶対にPHOENIXが取り返す、オレがジムに持ち帰るんだ、という気持ちはものすごく強いです。僕はデビュー戦が『WPMF×REBELS』のオープニングファイトで、4年半かけてREBELSのメインまで上がってきました。ずっとセコンドの後ろから先輩たちを見てきた僕が『今度は自分がやる立場だ』と思うと気合いも入るし『先輩たちを越えないといけない』と思っています。僕が、PHOENIXの先輩たちの戦う姿に強く影響されたように、今度は僕が見ている人に影響を与えるような試合をしないといけないと思ってます。僕は子供の頃、格闘家がヒーローだったんで、そういう存在になりたいです。昔の魔裟斗さんとか山本KID徳郁さんみたいな社会的な影響力のある選手になれるかは分からないですけど、僕の試合を見て貰って『明日から頑張ろう』とか、何かを感じ取って貰える選手にならないと。最初は一人でもいいですし、それが何百人、何千人、何万人にもなっていけたらいいですよね。スアレック選手が相手なら絶対に『誰かの心を動かす試合』ができると思ってます。ぜひ、応援をよろしくお願いします」

文・撮影 茂田浩司
『REBELS.63×KNOCK OUT』は10月6日(日) に開催
『REBELS.63×KNOCK OUT』は10月6日(日) に開催

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