【REBELSオフィシャルインタビュー】「超攻撃型ムエタイ」スアレック・ルークカムイ&江口真吾スタージス新宿代表――「PHOENIXの選手は勝ちに徹してくるからなー」(江口代表)

SPICE

2019/10/3 10:54


10月6日(日)、東京・後楽園ホールで開催される『REBELS.63×KNOCKOUT』。注目のメインイベントは「超攻撃型ムエタイ」スアレックと「帝王・梅野源治の後継者」雅駿介(PHOENIX)がREBELS-MUAYTHAIライト級暫定王座を巡って激突する。

スアレックは日本語が堪能だが、シャイな性格もあってなかなか「踏み込んだ話」ができない。そこで、今回はスアレックのすべてを知る江口代表との対談で、ムエタイ選手らしからぬ「超攻撃型スタイル」を貫いてきた理由、スーパーライト級から1階級下げた訳など、スアレックの知られざる「強さの秘密」に迫った。

【スアレック・ルークカムイ】

スタージス新宿所属
1986年3月16日(33歳) タイ国ウボンラチャタニー県出身 身長166cm
戦績145戦99勝(32KO)35敗11分
元ラジャダムナンスタジアムフェザー級7位
元REBELSーMUAYTHAIスーパーライト級王者

【江口真吾】

スタージス新宿代表
1977年11月11日、青森県出身
元全日本キックミドル級、スーパーウェルター級1位

(記事提供:REBELS)

■再来日後、なかなか試合が組めなかった――「REBELSで育てて貰いました」(江口代表)


江口代表は2012年よりスタージス新宿ジムで代表を務めている。2015年11月に「スアレック招聘」をしたのは、ジムの会員からもたらされた情報がきっかけだった。

江口代表「ウチの会員さんがタイでロン(スアレックの愛称)と出会って『日本に来たがっているタイ人トレーナーがいる』と紹介されました。来た時は結構おとなしくて、ホントに喋らなかった(笑)。仕事はとっても真面目で、ご飯を食べに行って飲んだらよく喋るようになりましたね(笑)」

スアレック「(笑)」

スアレックは、2010年~2012年に日本でトレーナーをしながら試合に出て、ムエローク杯59キロムエマラソンJapan2011優勝、M-1ライト級王座獲得などの実績を残している。

再来日後、スタージス新宿でトレーナーを務めながら、再び試合をすることを望んでいたが、なかなか試合が組めなかった。

江口代表「半年以上、ずっと試合が組めなかったです。やっとJ-NETで翔・センチャイジムと試合したんですけど(スアレックTKO勝ち)、その後もなかなか決まらなくて。山口さんがREBELSに出してくれるようになって、それからコンスタントに試合に出れるようになって。だからロンはREBELSさんで育てて貰いました」

スアレック「試合ができなかった間は練習だけしてました。会長は真面目な人で、ちょっとボクが練習をサボると『あれ、練習は?』って(笑)」

REBELSでは、ハードパンチを武器に日本人トップ選手たちを次々とKOし「超攻撃型ムエタイ・スアレック」はエースとなった。

江口代表「日本人だと試合をたくさんして調子が上がったりしますけど、翔の時が3年ぶりの試合?」

スアレック「5年ぶりです」

江口代表「それだけ空いてるのに凄い試合をして、ブランクはまったく関係なかったんです。子供の頃から試合しているから経験が違いますし」

スアレックの「凄さ」について、江口代表は「柔軟性」だという。

江口代表「パワーとかそういうことじゃなくて、なんでも吸収しようとして、こっちが『こうじゃないの?』というとなんでもやってみる。本人の引き出しも多いんですけど『いや、自分はこうだから』は無いですね。日本人だと練習して積み上げて、練習してきたことだけを試合に出しますけど、ロンは試合前に教わったテクニックをパッと試合で使ってしまう。運動神経が凄くいいのもあると思うんですけど」

スアレック「ボクは、見ればすぐ『こうすればいい』『ここを直せばいい』と分かります。相手の試合を見たら、パンチとかキックの強さ、クセも分かります。あと、ボクシングが好きだから、パッキャオとか有名な選手の試合やミット打ちの動画をいつも見て、打ち方とかを勉強してます」

スアレックの柔軟性はトレーナーとしても発揮されている。スタージス新宿には、期待の重量級ファイターでデビューから4連続KO勝利中の吉野友規がいる。剣道で国体優勝、実業団でも活躍した後、29歳でキックを始め、昨年12月に32歳でプロデビューした異色中の異色、超遅咲きのキックボクサーである。

江口代表「ロンは、吉野にはムエタイはまったく教えてないですよ。前蹴りとか教えた時ある? 左ミドルは?」

スアレック「はい、教えてないです(笑)。ヨシノは体が硬いから(苦笑)、パンチをたくさん教えてます」

江口代表「練習では結構蹴らせたりはしてるんですけどね(笑)。試合前は『今日は左でいきます』というんですけど、試合が始まると右、右、右で(笑)」

スアレック「(笑)右のパンチは強いです」

今年からスアレックはライト級に下げており、今回は2階級制覇を狙う。

スーパーライト級(63.5キロ)で圧倒的な強さを見せたスアレックが1階級下げたのは理由があった。

江口代表「スーパーライトだと身長180cmぐらいの相手が出てきたり(苦笑)。ロンは63.5だと減量らしい減量もないので、正直、63キロではやらせたくないなとは思ってました。ベストは62キロかもしれないですけど、ライト級までは落ちるというので。選手も多いので、どんどん試合をしたいからライト級の方が、とは前から言っていたんですけど」

スアレック「今、普段は67ぐらいで、今日(試合1週間前)でラストのランニングが終わると65ぐらいです。だいたい試合の3日前から落として、ライト級は全然問題ないです」

現在、33歳。パワーは健在だが、怖いのは怪我。

スアレック「パワーはまだまだ、全然大丈夫ですね。ただ、お酒はちょっと弱くなってます(笑)。前みたいに一杯飲むと、頭が痛かったり、肩が痛くなったり(苦笑)」

江口代表「パワーはむしろ前よりも上がってるんじゃないかな。その分、拳を痛めたりもしてますね。前回の翔・センチャイジムの時(8月の「REBELS.62」)は、試合2週間前にスパーリングで拳を痛めて、それから全然練習でパンチが打てなくて」

スアレック「試合中にも拳を痛めて、蹴ったら足も腫れてきたから、2ラウンドが終わって『どうしたらいいかな?』って(苦笑)。それで3ラウンドは組みでいきました」

江口代表「いつもならもっと倒しにいくんですけど、あれ以上やると壊れちゃうんで(苦笑)。ダウンも奪ってるし、ロンは首相撲も本当に上手いので」

最近は日本人選手から「スアレックとやりたい」と名指しされることも多くなったが、江口代表からすれば「え?」と思う。

江口代表「前はこっちが無名で、ロンが頑張ってくれて試合もアグレッシブに、有名になるために『タイ人』という概念を壊す試合をしてきて。それで今、日本人の選手がいきなりツイッターで『やりたい』と言ってきたり。向こうはキャリアの糧になる相手でモチベーションが高いだろうけど、こっちからしたら『知らないよ』っていう(苦笑)。そういう選手とやるのは面倒くさいですね。だから、やりたい選手たちでトーナメントでもやって貰って、勝った選手とロンがやるとかしてほしいです」

■「人に聞いて対策しても、自分がやるのは難しい。試合では、できないと思います」(スアレック)


いよいよ2階級制覇をかけた雅駿介との試合が近づいてきた。

雅はREBELS公式インタビューで、スアレックと対戦経験のある梅野源治や杉本卓也から情報収集し、シミュレーションを重ねて万全の「スアレック対策」で臨む、と公言している。

これに対して、スアレックは「できないです」と言い切った。
スアレック・ルークカムイ
スアレック・ルークカムイ

スアレック「(対策しても)そんな変わらないと思います。人から聞いても、自分がやるとなると難しいです。ボクとの試合ではやれないと思います。昨日も試合の映像を見たけど、大丈夫、全然問題ないです(笑)。ボクも、アマチュアやトップのプロ選手とスパーリングしてきてるので」

江口代表「週に1回、クロスポイント吉祥寺に行かせて貰ってて、スパーリングをしてます。あそこは選手が一杯いるので」

スアレック「今回は不可思と(鈴木)千裕とスパーリングしてます。不可思は4ラウンド、千裕と3ラウンド。その後はタイ人トレーナーとミットです。栗秋(祥梧)? いつも『今日は頭が痛い』って、ボクとはスパーリングしてくれないです(笑)」

江口代表「避けられてるみたいですね(笑)」

「千裕」の名前が出たので、10月4日「KNOCKOUT×REBELS」(後楽園ホール)のメインイベント、橋本悟(橋本道場)対鈴木千裕の予想を聞いてみた。

今回がプロ40戦目のベテラン「激闘大魔神」橋本悟か、キックルール2戦目ながら「クロスポイント吉祥寺NO.1」と言われる強打を買われて大抜擢された二十歳の鈴木千裕か。

スアレック「ボクは悟さんの試合は何回も見てて、パンチが本当に重いです」

江口代表「この前の公開練習でスパーリングもしたよね?」

スアレック「あれは遊びのマス(スパー)なので(笑)。パンチ力は分からなかったですけど、試合を見てると本当に重いです。タイミングが合ったら、相手は倒れます。ただ、千裕もパンチが重いです。ワンツー、ボディ、ストレートとか、得意なコンビネーションを持ってます。だから、先に当てた方が倒れる試合ですね」

スアレック対雅に話を戻す。江口代表は「PHOENIXジムのタイ人トレーナーが立ててくる作戦」を警戒する。

江口代表「ロンは、PHOENIXの梅野選手、前口(太尊)選手と試合をしましたけど、試合前に言ってることと真逆のことをしてきたり、前の試合から作戦を変えたりしてくるので。あまり『こう来るだろう』と固まって見ないようにしてますね。梅野選手との試合では、まさかあんなに守ってくると思わなかったです(苦笑)。ロンを倒しに来るぐらいくるかなと思ってたら、すごくディフェンシブに左ミドル主体で。『それがムエタイ』といえばそうなんですけど、言葉は悪いですけど『勝つためだけ』にやってきてて『お客さんのために見せる試合』はしないんで」

――では「激しい打ち合い」にはならない?

江口代表「PHOENIXのタイ人トレーナー次第じゃないですか(笑)。ローを蹴ってくるのか、ヒジで来るか、首相撲で来るのか。勝ちに徹してくるんじゃないかな」

江口代表は「ライト級のスアレック」に絶対の自信を持つ。

江口代表「負けないですよ。よく『試合を楽しめ』なんて言われますけど、ロンは本当に試合を楽しむんですよ。練習のスパーの方が緊張してるよね?(笑)。クロスポイントに行く日はずっと下を向いてて(笑)」

スアレック「クロスポイントでスパーリングをする時は、いつも相手が二人待ってて(苦笑)。一人が終わると、次にもう一人の元気な人が来るので疲れます(苦笑)」

江口代表「試合に向けて、気持ちをグッと上げていくのは本当に凄いですよ。ロンを見ていたら試合前に緊張するのがバカくさいというか、試合前のロンはいろんな選手の参考になると思いますよ。吉野もロンを見てるから変わってきてて、試合前に向けてグっと気持ちを上げるのが上手くなってます。試合前のロンはリラックスしてて怖がるとかは一切なくて、緊張はしてるんでしょうけど、本当に『勝つために必要なこと』だけをしてる感じです。戦いなんで『怖がっていたら、やられちゃうぞ』という」

スアレック「試合は楽しいんです。練習はとても長いから、スタミナが心配(苦笑)」

最後に、スアレックは力強く「KO宣言」をした。

スアレック「倒します。長い試合になると疲れるから(笑)。(雅は)試合を見ると攻撃が軽いです。パンチは重くないし、ヒジもそんなに危なくはないです。(雅は)良太郎のパンチも結構効いていたので、ボクのパンチを受けたらもっと効いてしまうでしょう。ボクが倒して、REBELSのライト級チャンピオンになります」
(了)

取材・文 茂田浩司
『REBELS.63×KNOCK OUT』は10月6日(日) に開催
『REBELS.63×KNOCK OUT』は10月6日(日) に開催

当記事はSPICEの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ